私たちの生活になくてはならない「電気」
この電気を製造し、送電や蓄電する中で最も重要な要素といわれるのが絶縁です。また、絶縁に関しては様々な電気を使用した機械の製造はもちろん、半導体の製造や水の精製工程などありとあらゆる電気に関する作業において、とても重要な要素です。
今回はそんな絶縁を把握する計測器「絶縁抵抗測定器」についてご紹介します。
このページの目次
絶縁抵抗とは?
まずは絶縁という状態がどんな状態なのか?そして絶縁抵抗とはどのような数値なのかについてご説明します。
ここで説明する絶縁ですが、一般的な人間関係を絶つという意味合いの絶縁ではなく電気的な関係性を絶つ意味での絶縁です。
電気的な絶縁とは、ある物質に電圧をかけてた状態でその2点間に電気が流れない状態の事を指しています。
「与える電圧が弱い場合には通電が起こらないが、大きな電圧をかけると電気が流れてしまう」
このような場合は、絶縁崩壊と呼ばれ絶縁とは言えない状態になります。
この弱ければ絶縁状態を維持できるが、電圧が大きくなると絶縁状態を維持できなくなる状態を、その耐えられる電圧の大きさによって数値化したものが「絶縁抵抗」です。
つまり、その物質がどの程度の強度で絶縁を維持できるかを計測する装置が「絶縁抵抗測定器」です。
絶縁体とは一体どのようなもの?
それでは絶縁を維持できる物質としてはどのようなものがあるのでしょうか?
有名なところでは、電柱や発電設備などので多く使用されている「碍子」があります。碍子の素材はセラミック、つまり陶器です。セラミックは形状の成形も簡易で、絶縁能力も大きいことから絶縁体としては最も多く使用されている絶縁体です。
その他にもゴムやガラスなど、通常電気を通さない素材は絶縁体として使用することができます。しかし、その絶縁能力についてはその材質ごとに大きな差があります。
絶縁体は大きく分けると次の3種類に分類されます。
- 気体
もっとも身近な絶縁体、それは空気です。通常の低電圧では電機は空気中を伝わることはできません。反対に空気を電気が流れる状況は雷としても有名です
- 液体
液体の場合はそのほとんどが鉱物油などの油を使用した絶縁です。油は流動性に優れながら熱の吸収能力にも優れていることから、絶縁体としても良く使用されています
- 個体
碍子などに代表される、もっとも一般的な絶縁体素材です。
セラミック・プラスチック・ナイロン・ポリエルテルなど様々な素材が、その特徴をいかして絶縁体素材として利用されています。
なぜ絶縁抵抗測定が重要なのか?
それでは、なぜ絶縁抵抗測定は必要なのでしょうか?それは絶縁体の絶縁能力が永遠ではないためです。
電気設備において絶縁状態の維持は必要不可欠な要素です。適切な絶縁が保たれていない状況では、通電によって周囲の器機の故障が起こったり、最悪の場合は火災の原因にもなってしまいます。
また、絶縁体の多くは劣化や素材の変質等によって絶縁抵抗が適正な数値を維持できなくなってしまいます。そのため、新品の状態はもちろんですが適切なタイミングでその絶縁体の絶縁抵抗が保たれていることを確認する必要があります。
その場合に使用するのが「絶縁抵抗測定器」と呼ばれる計器です。
絶縁不良によって引き起こされる様々なトラブル!
絶縁不良によるもっとも身近なトラブルは電気火災です。本来は絶縁が保たれることで電気のプラスとマイナスが接触しないようになっている電気配線ですが、絶縁抵抗の下がってしまった配線はプラスとマイナスの電線どおしが接触し、そのこから発火を起こす可能性が高くなります。
また、電気回路によっては過剰に電流が流れてしまいその結果コイルなどの部品が加熱され、火災の原因となる可能性もあります。
絶縁抵抗測定器の仕組みは?
そんな大切な情報を把握する、絶縁抵抗測定器のしくみはどのようなものなのでしょうか?
ここでは、絶縁抵抗測定器の仕組みをご説明します。
絶縁抵抗測定の基本は対象の物体(絶縁体)に電圧をかけて、その時に絶縁できずに漏れ流れる電気の量を計測します。その数値を「(印加した電圧V)/(漏れ電流I)」の公式に当てはめることで、絶縁抵抗値を求めることができます。
あらゆる場面で活躍する、絶縁抵抗測定器
50V~1000vまでの5つのレンジで絶縁抵抗を測定できる、標準的なモデルです。
電池式の為、ポータブル機としてどこへでも持ち込み測定をすることが可能です。アース側がクリップ式ですので、片手で操作できるのも魅力のモデルです。
測定の際に実際に絶縁体に接触される必要のない、デジタル式の絶縁抵抗測定器です。測定部分に漏電の可能性がある場合でも安全に測定をすることができます。