原理は影絵?直接計ることのできないものは投影機にお任せ!

さて、問題です。あなたは仕事で米粒よりも小さな時計用の歯車の寸法を計測しなくてはならなくなりました。手元にはマイクロメーターとノギスがありますが、製品が小さすぎて使えません。そんな時あなたならどのような方法で、その製品の形状を正確に計測しますか?

今回は通常の計測機器が使えない小さく複雑な製品を正確に計測することのできる装置の一つ、投影機についてご紹介します。

投影機とは?

まずは投影機がどのような機器なのかについてご説明します。

投影機は読んで字の如く、影や画像を映し出す装置の総称です。計測に用いられる投影機はもっぱら影を映し出すことでその役割を果たしています。大きなくくりで言えば会社の会議などで用いられるプロジェクターも投影機の一部ですが、ここでは別物として考えていきます。

一般的な計測に使用する投影機は、対象物の影を大きなスクリーンに拡大して映し出すことで、直接的に計測できない微細な形状を目視で確認できるようにするための装置です。

同じように微細加工品の形状を確認する手段として、光学顕微鏡や電子顕微鏡もありますがそれらの器機と比べ、比較的簡便に検査が行えることが特徴です。

では、投影機はどのような原理を用いて製品の寸法を確認しているのでしょうか?次は投影機の仕組みとそこに込められた様々な工夫についてご紹介します。

投影機を構成する部品たち

では、まず初めに投影機を構成している基本的な部品についてご説明します。メーカーや型式によって細かな違いはありますが、投影機の基本的な構成部品は次の通りです。

  • 光源
  • 透過ステージ
  • 拡大用レンズ
  • スクリーン

これらが基本の構成部品となります。

それでは次に、それぞれの構成部品の役割と特徴についてご説明します。

光源

投影機の中で最も重要で必要不可欠な部品がこの光源です。投影機は影を作り出し、映し出す機械ですから当然です。通常、光源となる部分はステージの下側や上方に配置され対象の製品に光を照射し影をつくりだす役割をしています。

また、影を作り出す光源としては「テレセントリック工学系」の光源を使用します。

(テレセントリック光学系の詳しい説明はリンク先に譲ります)

テレセントリック光学系 - Wikipedia

リンク先を読んでも良くわからない場合は、遠近感のない状況を作り出すことのできる光だと解釈いただければ問題ありません。

透過ステージ

実際に計測する製品を乗せるステージです。下から光を当てて影を作るためにこのステージは必ず光を透過する素材によって作られています。しかしただ光を通せば良いというわけでなく、光源から発せられた光を屈折させることなく計測対象に当てるため、屈折率の極端に小さな素材によって作られています。

(※近年の投影機では必ずしも光源が下からとは限りません)

また、計測のしやすさを考慮して左右や前後に移動できる機構を備えたものも多くありまが、いずれの場合もステージと光源を常に垂直な関係に保てるよう様々な仕組みが詰め込まれています。

拡大用レンズ

光源によって映し出された製品の影を大きく拡大するためのレンズです。ここで用いられるレンズも投影された影の形状や輪郭をしっかりと把握できるよう、屈折誤差の小ささが求められます。

また、光源によって映し出された影はカメラと同じ原理で左右上下が逆転していますので、レンズを複数使用し反転を補正しています。

スクリーン

最終的にレンズによって拡大された影を映し出す部分です。顕微鏡との最大の違いはこの部分にあり、大型のスクリーンを兼ね備えた投影機は一度に複数の作業者によって結果を確認することができます。

スクリーンの素材はメーカーによって様々ですが、ここでも影の形を変化させることなく映し出すことが最も重要なため、各社ともに様々な素材を使用しより輪郭のきれいな影を投影できる努力をしています。

どうやって寸法を計測する?

先の4つの大きな構成部品によって映し出される製品の影ですが、それだけでは寸法を計測したり図面に指示された形状とマッチしているかを判断することはできません。では、投影機で寸法や形状が正確であると判断できるのはどうしてなのでしょうか?

次項では投影機での計測や確認の仕組みについてご説明します。

計測の基準は比較

投影機で寸法の計測を行う場合は一般的に対象の製品と基準となるメモリの比較によって行います。仮に製品を10倍に拡大し影として投影した場合、その影の該当箇所の長さを計測した結果10.25㎜あったとします。

影は10倍に拡大されている訳ですから、実際の製品はその1/10の長さ、つまり1.025㎜であると判断できます。通常の計測機器では1/1000を手動で計測することは不可能とされていますが、投影機を用いて10倍に拡大することで、1/1000まで正確に計測することが可能となります。

また、別の方法としては顕微鏡計測の場合と同じように計測の対象物を基準ゲージと一緒に観察し、両者の比較によって計測を行うことも可能です。

形状を観察する

次に形状を観察する方法についてです。投影機を使用する目的の一つに計測機器では比較することのできない製品の細かな形状を観察するというものがあります。

例えば星形の製品の場合、一辺の長さの割合に公差があり現物を確認する必要がある場合など、単純に計測だけでは比較しきれない位相を画僧として比較することで、製品の健全性を確認しています。

方法はいろいろありますが、規定のサイズに拡大し投影された影にたいして、同じ倍率で拡大した製品の輪郭線を重ねて比較するなどの方法が一般的です。

実際の投影機はどんな装置

ここまで、投影機の構造や役割についてご説明してきましたが、最後に実際の投影機を写真と共にご紹介します。

計測機器の最大手メーカーであるミツトヨのスタンダードモデルです。計測の結果を自動でデジタル表示したりデータで出力することも可能で、これ一台で計測・比較・検証と様々な作業が可能のです。

この他にも様々な種類の投影機が発売されています。作業の内容や設置場所を考慮して最適な一台を選んでください。

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ライター紹介
ライタープロフィール
シバ

広島県出身の41歳。現在は製造業で管理職の傍ら執筆活動を行っている。実は調理師出身という経歴の持ち主。得意分野は工業系の専門分野からアウトドアクッキングまで幅広く対応可能。

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