スーパーやコンビニなどの青果コーナーで「糖度〇〇%」の表示を目にしたことのある方も多いかと思います。その糖度を計測しているのが糖度計と呼ばれる測定器です。目にする機会は少ないものの、実は私たちの暮らしに大きくかかわっている糖度計についてご紹介いたします。
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糖度計の種類と測定方法の違い
糖度の計測は大きく分けて光の屈折を利用したタイプと、赤外線を利用した2つの方式があり、用途によって使い分けがされています。また、計測を電子的に行うタイプとアナログに行うタイプなどにも分類され、その種類は多岐に及んでいます。特屈折式糖度計は、その取扱いの簡便さから多くの現場で採用されているのに対し、赤外線式はその判別速度の速さや性格さから、果樹の選別場などに設置されることが多く一般の私たちではあまり目にする機会もありません。
ここでは、最も一般的に使用されている光の屈折を利用した糖度計について、その仕組みや特徴についてご紹介いたします。
屈折式糖度計の原理
透明なガラスコップに水を注ぎ、太陽の光を当てます。するとコップの中の水を通った太陽の光は、その角度によって違った色を地面に映し出します。透明な水を通っただけの太陽の光が、青やオレンジの光となって地面に映し出されるこの現象。これこそが「屈折式糖度計」の原理となっています。
元来、水は太陽などの可視光線を当てると一定の割合でその光を屈折させる特徴があります。その屈折割合は、水の中に含まれる成分やその密度によって変化することが知られています。その中でも「蔗糖(しょとう)」はその含有量によって一定の割合で屈折率を変化させる含有物で、その屈折割合を計測することで対象となる水にどの程度の割合で蔗糖が含まれているのかを推測することができるのです。その屈折の違いを数値で表したのが「糖度」です。
実際の屈折式糖度計では、試験体をガラス面の上にのせ、そこに光を当てた時の光の曲がり具合をメモリで読み取り数値化することで糖度を観察することができます。簡易的な屈折糖度計の場合は蛍光灯や太陽光を光源として使用し、実際に人間の目でメモリを読み取り糖度を計測するのに対し、電池式などで光源を持つデジタル方式の屈折糖度計もあります。
デジタル式の場合は測定者による誤差も小さく、比較的簡単に計測ができることから近年では多くの現場で導入が進んでいます。
ハンディタイプのアナログ屈折式糖度計
屈折式糖度計の中でも、最も簡易的且つスタンダードな糖度計です。自然光や蛍光灯などの光を光源として、目視でメモリを読むことで糖度を確認するタイプの糖度計です。つくりも簡易であることから価格も比較的安価で入手することができ、多くの現場で様々な用途で導入されています。
「アタゴ MASTER-53M」
屈折式糖度計の中でも、スタンダードなモデルです。自然光を利用した糖度計の為明るい環境下であれば場所を問わず糖度の計測を行うことができます。簡易的な計測器としてのイメージの強いハンディータイプの屈折糖度計ですが、機能はしっかりと充実しています。糖度計測の際に数値変化の原因となる環境温度について自動的に補正を行ってくれることはもちろん、測定範囲も通常の果樹や野菜類をほぼカバーできるだけの測定レンジを持ち合わせています。
デジタル式屈折式糖度計
計測の気軽さから導入の進むデジタルタイプの屈折糖度計。電池式で光源を自ら有する構造の為、暗所や夜間で光源の無い場合でも糖度の計測が可能です。また、測定値がデジタルで表示されるため数値の読み間違いも少なく、経験の浅い測定者でも簡便に扱うことができます。
「アタゴ PAL-1」
アタゴ製デジタル式屈折糖度計としてはもっともスタンダードなデジタルタイプの糖度計です。試験材を測定部に数滴のせて、スタートボタンを押すだけで簡単に測定が可能です。結果もデジタルで大きく表示されますので、初心者でも安心して計測を行うことが可能です。もちろん使用後は水洗いできますので手入れについても簡便です。
屈折式糖度計はその用途に合わせて適切なものを
今回は屈折式糖度計についてその種類や用途など様々な情報紹介してきました。実際の糖度計はその方式や用途によって非常に多くの種類の糖度計が発売されています。また、今回は「糖度」という大きなくくりでご紹介しましたが、もっと特定の果樹や野菜・液体に特化して開発された専用の糖度計も多くあります。糖度計の購入を検討する際には、どのような用途・環境で使用するのか?などをもとに、しっかりした見極めが肝心です。