今回、ご紹介するのはあまり聞きなれない計器「真空計」です。
現代の生活において欠かせない、様々なな製品の製造段階で必要となる「真空」の状態。その真空状態を把握する計器が真空計です。
今回は、真空計の構造はもちろん「真空ってなに」といった疑問にもお答えしてきながら、真空計を様々な角度からご紹介していきます。
このページの目次
真空計とは?
まずは真空計がどのような計器なのか?そもそも真空とはどんな状態を指すのかなど、真空の基本からご説明します。
真空とはどんな状態を指すの?
「真空」と聞くとどんなイメージでしょうか?
「空気の全くない空間」「ぺちゃんこにへこんだ風船」など、いろいろなイメージが浮かんでくるのではないでしょうか?
真空という言葉自体は聞きなじみのある言葉ですが、真空の本当の意味を理解している人は少ないのが現実です。
「真空」とは私たちの生活する大気圧よりも低い気圧の状態を指します。
つまりは空気が全くない状態でもなく、ぺちゃんこの風船でもないのです。一般的には真空=何も存在しないと解釈をされがちですが、科学的な定義では「何も存在しない」は絶対真空とよばれ、通常の真空とは区別されています。
ちなみに、宇宙は真空だとよく聞きますが、これも誤りです。
科学的な意味での絶対真空は作りだすことは不可能といわれており、一説にはブラックホール=絶対真空ともいわれていますが、この真偽も定かではありません。
また、これも「真空」=「圧力」との認識もよく耳にしますが、これも間違いです。
真空とは空間の定義です。大気圧よりも低い気圧で満たされた空間そのものを真空と呼んでいます。
では真空計はいったい何を計測している?
真空計の計測してるもの、それは「真空の度合い」です。
さきほどもご説明しましたが、真空とは大気圧以下の状態のすべてを指す言葉です。反対に絶対真空は空気も全くない空間です。
その大気圧と絶対真空の間、真空がどの程度の程度の状態にあるのかを把握しているのが「真空計」です。
真空計の構造は?
真空計の構造は、基本的には通常の圧力計と変わりません。
内部にブルドン管や感圧素子を有しており、圧力に応じてブルドン管や感圧素子に変形が生じその動きを針に伝え、圧力を掲示しています。
その意味でも、真空計は圧力計の一種であると言えます。
なぜ、真空が必要なのか?
真空といわれる状態には様々な特徴があります。
その特徴を利用することで大気圧中では実現できなかったことが、実現できるようになりその結果様々な利点が得られます。
例えば、真空の状態というのは大気圧状態と比べて酸素の含有量も少なくなっています。その特性を生かして食品など酸化によって風味や食感が失われるものを、鮮度をたもったままパッキングしたり調理したりすることが可能です。
レトルト食品をレトルトパックに入れてから調理したり、缶詰を密閉後に調理したりするのもこの特性を活かした方法です。
また、科学の分野でも大気中では様々な要因によって合成することのできない化学成分を、真空状態の中で合成するなどの活用も盛んにおこなわれています。
真空状態の特徴は?
真空の環境には次のような特徴があります。
- 電気を通しにくい
- 音が伝わりにくい
- 酸化反応が起こりづらい
- 沸点が下がる
など、たくさんの特徴があります。そうした特徴を利用して様々な活動が行われています。
そこで活躍するのが真空計という訳です。
様々な真空計と活躍の場
それでは最後に、真空計の活躍する具体的な場面といろいろな真空計についてもご紹介します。
圧力計と同様に真空計にもアナログ式やデジタル式など様々な方式の物があり、いろいろな場面で用途によって使い分けがされています。
最も一般的なモデル
アナログ式の最も一般的な真空計です。その用途は広く真空配管に取り付けてそのまま真空状態を観察します。
工業用のプラントはもちろん、様々な真空配管に取り付けられいるスタンダードな真空計です。価格も数千円から販売されており、どこでも簡単に手に入れることが可能です。
ただし、目盛りを直接読み取る仕組みの為、ある程度大まかな計測向けとなります。
デジタル式の高性能真空計
デジタル式真空計の特徴は、感受した状態をデータとして保存したり、その情報を真空装置にフィードバックできる点です。
真空の状態を常時監視し、その情報をデータとして活用することで真空装置の状態を逐次調整できるなどのメリットがあります。
その為、オートメーション化された真空装置を利用した装置などで活躍しています。例えば医薬品など高度な管理が求められる現場などでは、こうしたデジタル式の真空計が必須となっています。