シャルピー試験ってどんな試験?鋼材の衝撃に対する強さを評価するシャルピー試験機

金属に対して行われる様々な機械試験、その中でもちょっと異色な試験と言えるシャルピー試験と呼ばれる試験をご存知でしょうか?

引っ張り試験=金属を引っ張る試験、硬度試験=金属の硬さを測る試験という具合に大抵の機械試験はその呼び名から試験内容を想像できます。ではシャルピー試験とは?

今回は意外と知られていないシャルピー試験についてご紹介していきます。

シャルピー試験ってどんな試験?

まずは基本的な情報として、シャルピー試験がどのような試験なのかをご説明します。ちなみにシャルピー試験の名前の由来は試験の内容ではなく、その試験方法を確立した人物の名前です。

シャルピー試験=衝撃試験

シャルピー試験という試験を日本語に置き換えると、「衝撃試験」と言い換えることができます。

衝撃試験の名のとおり、シャルピー試験は一定の条件下で対象となる試験体にハンマーをぶつけ、その後のハンマーの動きを観察して試験を行います

金属はその温度や形状によって衝撃に対する耐性が大きく変化する特性を持っています。そのためシャルピー試験を行う際には、対象物の温度や形状も大きな試験要素として規定されます。

試験体の形状についてはJISでも規定されていて、その中からもっとも用途に見合った形状を選択して試験体を成形します。

では温度についてはどうでしょうか?

前述のとおり、金属はその温度によって特性が大きく変化します。一般的には温度が上昇すると耐力が低下し、一定温度までは靭性は向上します。反対に低温になればなるほど靭性は損なわれていきます。

その為、シャルピー試験ではその試験体を使用する実際の環境に応じて試験時の試験体の温度を設定し試験を行う必要があります。この点においてシャルピー試験は他の破壊試験と比較し、もっとも使用実態に沿った試験ともいわれています。

そんな製品の素材にシャルピー試験を行うのか?

では実際、そのような現場で使用される素材に対してシャルピー試験を行うのでしょうか?

シャルピー試験を行う素材の使用先として最も有名なのが原子力発電所の発電装置やその他の配管などに使用される素材です。原子力発電所をはじめとする発電設備は、発電時と非発電時とでの温度差の大きな設備です。また配管内部にかかる圧力は非常に大きく損傷を起こした場合には大事故にもつながります。

そういった過酷な環境や高い圧力の影響を受ける装置の製造にシャルピー試験は欠かすことができない試験なのです。

 

シャルピー試験機、その仕組みは?

では、実際どのようにしてシャルピー試験は実施されるのでしょうか?

シャルピー試験の原理は、振り子と同じ原理でふりおろされる「ハンマー」を試験体にぶつけることからスタートします。シャルピー試験に用いる試験体にはあらかじめVノッチと呼ばれる傷が設けられており、ハンマーの衝突による衝撃で試験片は破壊されます。

試験片を破壊したハンマーは惰性で、振り下ろした場所とは反対側へと押し出されます。このとき押し出されたハンマーの高さを計測します。

ハンマーが高い位置まで押し出される=試験片は衝撃を吸収できなかった

ハンマーが低い位置までしか押し出されなかった=試験片はより多くの衝撃を吸収した

となり、後者の試験片の素材の方が衝撃に対して秀逸であると評価されます。また実際の試験では押し出されるハンマーの高さをあらかじめ規定し、試験を実施した際のハンマーの実測高さが、規定値以下であることを試験の合否としています。

重要なのは温度

前述のとおり、シャルピー試験では試験片の温度も重要な試験項目となります。その為実際の試験では液体窒素やドライアイスを冷媒として使用する、専用の冷却装置や反対に一定の温度まで試験片の温度を上昇・保持する保温庫などを一緒に使用します。

その際使用する温度計もシャルピー試験ではしばしば校正の対象とみなされ、校正記録の提出を求められることがあることから、その点についても注意が必要です。

様々なシャルピー試験機

シャルピー試験の原理は同じでも、現在では様々なシャルピー試験機が発売されいます。旧来のアナログタイプのものからデジタル式まで、その種類は多岐にわたっています。

ここでは代表的なシャルピー試験機を2台ご紹介します。

アナログ式シャルピー試験機

安全面にも配慮されたフルカバータイプのアナログシャルピー試験機です。試験機製造メーカーとしては実績の高い「富士試験機製作所」製です。

長年のノウハウを生かした強固な架台と、繰り返しの試験でも耐えることのできる特殊鋼を採用したハンマーや試験片の保持部分の作りに定評があります。

デジタル併用式シャルピー試験機

ハンマーの振れ量などをデジタル計測することで、より正確な試験数値を得られるようデジタル計測を併用したモデルです。この製品自体は金属ではなく木材のシャルピー試験を目的としていますが、基本的な構造は金属のそれと変わりありません。

いかがでしたか?普段は殆ど目にする機会のないシャルピー試験機ですが、私たちの生活を支えるインフラ建設には欠かせない試験機として見えないところで活躍しています。

 

 

 

 

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シバ

広島県出身の41歳。現在は製造業で管理職の傍ら執筆活動を行っている。実は調理師出身という経歴の持ち主。得意分野は工業系の専門分野からアウトドアクッキングまで幅広く対応可能。

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