計測器、測定器紹介 vol. 9 – 超音波探傷検査装置(SAT)

計測器、測定器紹介 vol. 9 - 超音波探傷検査装置(SAT)

製造したものには「寿命」があります。
寿命が延びるようにものづくりで実施することが「設計」です。
正しい設計をしなければあっという間に壊れてしまいますね。
それら、製品の“死に様”を刻々と観察できる装置が超音波探傷検査装置(SAT)です。

作ったものはいずれ壊れる

トンネル

2012年2月に発生した、笹子トンネルの天井崩落事故はまだ皆さんの記憶にあることかと思います。トンネルの天井が崩落したこの事故は、報道では設計ミスなども指摘されておりますが、ほとんどの理由は「経年劣化」です。

経年劣化に対する検査・試験は事故以前もありましたが、ボルト外れや腐食などの「目視検査」が主でした。ですが、この事故は「内部構造の老朽化」が主たる原因と考えられています。

目視検査だけでは不十分だったことが考えられます。

打音試験

各地のトンネルは、工事が完了してから30年〜40年経過しているものが最も多いのです。懸念されるのは当時の設計に対する耐用年数です。

ボルトなどの締結部表層は目視チェックできますが、コンクリートの継ぎ目やボルト内部に発生している侵食やひびの進行は十分チェックできません。

笹子トンネルの事故以降、各地で「打音検査」によるトンネルの内部構造のチェックが重点的に実施されています。

打音試験というのは、物体にハンマーなどを打ち付けて発生した音の高さや響きを正常な状態と比較して変化を知る手段です。一般的に、腐食やひびがない状態は音が低く、ある場合は高い音がするそうです。

各地でトンネルや橋などのインフラ全体の老朽化が進む中、打音試験などで内部構造を知り、いち早く経年劣化を捉えて対策することが急務になっています。

変化の兆し

物質は様々な環境の中、刻々と変化し続けます。高温多湿状態や高圧負荷状態が継続していると、物質に対する寿命は短くなります。
物質が本来持っている強度、例えば剛性などの値を総じて「ストレングス」と言います。
そして、環境や熱応力などの繰り返し発生する負荷を総じて「ストレス」と言います。
ストレングスがストレスよりも大きい場合は、物質は壊れません。
ですが、徐々に物質に腐食やクラックが発生したりすることで、ストレングスが小さくなっていきます。そして、ストレングスが小さくなりストレスが逆転して大きくなると物質は破壊されてしまうのです。
破壊、それはつまり笹子トンネルのように手遅れの状態です。
ものづくりの観点では、「いつ壊れそうか」といった寿命を正確に把握する必要があります。
その上、寿命の「マージン」を設けて計画的に補修などの行うといった対策が必要になってきます。

非破壊検査の重要性

道路 クラック

トンネルなどの例では、はるかに大きいものの経時変化を説明しました。ありとあらゆるものは、同様の「ストレス-ストレングス」の関係で壊れていきます。
身近な例を挙げると、家電製品もある程度の期間使用していると壊れてしまいます。中でも、デジタル家電に多用されている「半導体部品」は「通電」「発熱」「衝撃」など多くのストレスにさらされているものです。
このようなストレスを加味して、半導体部品は寿命を保てるような設計にする必要があります。

寿命を予測する試験方法

寿命を予測するために実施する検査は大きく分けて3つあります。

  • 通電検査
  • 非破壊検査
  • 破壊検査

です。
通電試験は「電気を通すか」「信号が返ってくるか」などもっとも簡便な方法で壊れたかどうかが分かります。ただ、電気的接点の変化を捉えるものの、「通さない」場合の原因までは分かりません。
また、破壊検査は「分解」「断面観察」など内部の状態を調べる手法で、原因がはっきり分かるのが特徴です。ですが、その原因は「分解したサンプル、その時刻」のピンポイントの情報しか得ることができません。
ですので、破壊検査を実施する際には「作った直後〜各時刻」で「複数のサンプルで統計を取って」を観察しなければ寿命の予測をすることができません。

非破壊検査のメリット

非破壊検査は、「壊すことなく、内部構造をありのまま検査する」手法です。破壊しないので、非破壊検査に用いたサンプルは再度環境試験などに投入することができます
つまり、「同じサンプルで引き続き経時変化を確認できる」ということです。
同じサンプルでトレーサビリティを取ることによって、「壊れ方=死に様」が見えてきます。壊れ方が見えることによって、設計のまずさが分かるようになるのです。
今回紹介する超音波探傷検査装置(SAT)は非破壊検査装置の一つです。

超音波探傷検査装置(SAT)の原理

超音波 検査

打音試験と根本的な原理は同じです。波の反射を観察します。打音試験は音の反射を利用しています。打温試験と違うポイントが2つあります。

  • プローブから超音波をサンプルに発振して直接触れずに試験する
  • 水中で行ない、超音波をサンプルに伝えやすくする

つまり、サンプルに直接ハンマーを打ち付けるようなことはせず、「超音波」を直接サンプルにぶつけます。サンプルに発振された超音波は、サンプル内部を透過する際に「物質の変化部(継ぎ目)」や「空隙」などの変化点で反射します。
それは、水と油をビーカーに注いだ際、水と油の境目で光が反射することと同じ現象です。境目がある部分では超音波は反射しやすくなります。
SATはプローブをスキャンさせ、反射した超音波を「撮像」することで、「剥離」や「ひび(クラック)」を2次元平面で観察する装置です。

周波数による違い

超音波の種類(高さの違い)によっては、物質を透過しにくいものがあります。その場合、超音波の周波数を変えて観察する必要があります。
また薄膜(サブミクロン以下)を使用している場合、周波数が小さいと(波長が大きいと)全体像を捉えにくくぼんやりとした撮像になってしまいます。つまり、サンプルによって使用する周波数を検討する必要があります。

超音波探傷検査装置(SAT)でわかること

ひび割れ

ひび(クラック)

「探傷」と書いてある謂れは、ひび(クラック)を観察するための装置だからです。内部に発生しているごくわずかなひびでも、SATは捉えることができます。
超音波は空気の層があると最も反射しやすいです。撮像の際に、白色で表されることが多いです。

ボイド(気泡)や異物の有無

前述の応用で、接着剤などの内部にボイド(気泡) や異物があるかどうかを観察することができます。ボイドが多いほどストレングスが弱くなるため、製造行程変更や材料変更が必要になります。

物質の境目

多層構造の場合は物質の境目を観察することで、層が均一の厚みかどうか、欠陥がないかを確認することができます。

変化

非破壊で検査を実施するため、同じサンプルで負荷試験(冷熱サイクル試験など)を行うことができます。刻々とクラックが進展する様子を観察することができます。その情報から、破壊寿命を予測することが可能です。

超音波探傷検査(SAT)は中古?レンタル?

スキャン分解能が上がるほど、価格は高くなります。例えば、半導体部品向けの高精細モデルで800万ほどの価格です。
実はプローブはオプションで設定されている場合が多く、1本50万ほどします。様々なサンプルに対応したい場合、様々な周波数のプローブを用意する必要があります。
基本は大中小の3本ほど用意しますが、さらなる高密度化でより高い周波数が求められる傾向があります。

寿命予測のために

ものづくりには寿命の設計が必要不可欠です。
デジタル家電で5年程度、白物は10年、自動車は20年…
と言ったように、消費者は「それぐらい使える」と考えて購入しています。いや、実はこの期間よりもっともっと長い間使えることを消費者は望んでいます。
寿命設計にはSATのように、破壊のトレーサビリティが取れる装置が不可欠です。
レンタルや中古品を購入で、一度SATを手元に置いてみませんか?破壊を観察することが、お客様の満足度に繋がっていくと考えています。

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