工業プラントなどでは機械が動いている間は加圧、機械が止まった瞬間に負圧になるといった配管が多数存在します。
そうした配管の内部の圧力を把握する際に使用するのが、今回ご紹介する「連成計」です。とは言っても測定できる範囲に限りがあるのも連成計の特徴です。
加圧と負圧の両方を計測できる連成計は工業ブラントや圧力機械では欠かすことのできない計器です。今回はその連成計の仕組みや構造についてご紹介していきます。
このページの目次
連成計とは?
まずは、連成計の基本についてご説明します。連成計とは大きなカテゴリーで言えば「圧力計」に分類される計器です。
では、通常の圧力計とは何が違うのでしょうか?それは圧力の指示範囲の違いです。
通常圧力計は、大気圧を基準とし大気圧以上の圧力がある場合に使用します。またその逆に真空状態を観察する計器としては「真空計」と呼ばれるものがあります。
連成計はそのちょうど中間の役割を担う計器です。
連成計はどの程度の加圧と負圧を測れるの?
では、連成計はいったいどの程度の圧力を測ることができるのでしょうか?
一般的に連成計の定義は「大気圧以上と大気圧以下(760mmHg)までを測れる圧力計」とされています。つまり加圧側は計れる上限はないものの、負圧側は一定の圧力までしか計測できない仕組みを持った圧力計ということになります。
連成計が必要とされる場面は
では、実際にはいったいどのような場面で連成計が活躍しているのでしょうか?
加圧状態と負圧状態の両方が存在する場面は、実は私たちの生活の中にもたくさん存在します。例えば消防のポンプ車などのポンプ関連機器。
消防ポンプ車の給水側配管に取り付けられ、消火栓から給水を受ける場合には絶対に必要な計器となっています。
また、二次圧縮を行うようなコンプレッサーなどにも使用されています。使用環境で加圧も負圧も発生する環境でもちいられるのが連成計です。
連成計のしくみは?
それでは、連成計とどのような仕組みで加圧と負圧の両方を指示しているのでしょうか?
まずは一般的な圧力計の構造と仕組みについてご説明します。
圧力を検出する仕組みは?
一般的な圧力計は「ブルドン管」と呼ばれる仕組みを用いて、圧力を検知し指針によって指示しています。このブルドン管はスパイラル形状やC型なのど形状をした管状の構造物で、内部に圧力を感知すると規則的な変形をおこします。
その規則的な変形を指針によって示すことで、圧力を指示しています。
ブルドン管の素材は真鍮やアルミ、ステンレスなどを用いることが多いですが、近年ではより精密に計測できるベリリウム銅などの素材も開発されています。
では、連成計の仕組みは?
実は連成計も仕組みは通常の圧力計と変わりません。同じようにブルドン管の構造を有した圧力計であることは同じです。
通常の圧力計では目盛りは0からそれ以上となっているのに対して、連成計はマイナス方向にも針が動くことができる仕組みになっています。
ただ、同じ負圧(真空)を計測することのできる「真空計」との最大の違いは、その精度です。
真空計は同じマイナス0.1㎫を指すことのできる圧力計で、その負圧の状態を細かく観察できるように設計されています。しかし、連成計はあくまでも圧力の状態が加圧なのか負圧なのかを判断するための計器であるため、真空側の目盛りは参考程度にしか読み取ることはできません。
真空の状態を詳しく観察するためには専用の「真空計」を設置する必要があります。
様々な連成計の種類
それでは連成計について個別に詳しくご紹介してみたいと思います。
微細な圧力変化を観察できる、連成計
先ほどの説明で、連成計の負圧側の数値は参考程度とご説明しましたが、唯一例外的なのが上の製品のような微細圧力を感知するタイプの連成計です。
加圧側のレンジが0.1㎫と小さい為、ブルドン管の動きを加圧側、負圧側両方ともにおなじようなレンジでコントロールできることから、このような微細圧力タイプの連成計の場合は負圧・加圧ともに細かく数値を観察することが可能です。
デジタル式 小型連成計
デジタル方式の連成計です。一昔前はデジタル式圧力計は公的機関の検査では使用できませんでしたが、近年は校正の方法やその証明方法も確立され、デジタル式の圧力計・連成計が増えてきました。
計測できるレンジも広く、数値の判読に個人差や環境差が生じない使いやすさが普及の理由です。
連成計は限られた用途でしか使わない、でも大切な計器!
いかがでしたか?圧力計の仲間としてはどうしても存在感の薄い印象の連成計ですが、日常の様々な場面で活躍している、なくてはならない圧力計です。
使用するレンジや求める精度によって、適切な商品を選んでください。