放射線はこのように測定しています

放射線はこのように測定しています

放射線が持つ強いエネルギーは人類に大きな恩恵をもたらしています。
しかしそのエネルギーの強さために、放射線は、制御できなくなると人々に健康被害を引き起こします。
制御するにはまず正確に測定できなければなりません。それで放射線を測定する技術や機器は進化してきました。
放射線と健康被害の関係を解説したうえで、環境省の測定方法と、原子力発電所から出る放射線の測定方法、さらに病院での放射線管理について紹介します。

放射線はなぜ健康被害を引き起こすのか

放射線は、レントゲンやCTやがん治療機器などの医療機器に使われています。

医療機器

(著作権者:katta-hosp、ライセンス:CC BY-SA 3.0 出典元:リンク

また原子力発電ではエネルギーをつくります。放射線はいわば「人類の味方」です。
しかし大量の放射線を被曝すると、人は死んでしまいます。そういった意味では、放射線は「人類の敵」です。

人体の奥深く入り込んで破壊する

放射線は、ピストルやナイフのように人を傷つけるわけではありません。
広島市のホームページに「放射線による被害」という記事があるのですが(*)、放射線による健康被害のメカニズムを次のように解説しています。

  • 原子爆弾は大量の放射線を放出して人体に深刻な障害を生じさせる
  • 放射線は人体の奥深く入り込み、細胞を破壊し、血液を変質させ、骨髄の造血機能を破壊し、内臓を侵す
  • 原子爆弾によって被爆しながら外傷がまったくなかった人たちが、月日を経て発病し死亡した例も多くある
  • 被爆後に広島市内に入って救護活動した人たちも、残留放射線によって後に発病したり死亡したりした人もいた

ピストルの弾やナイフは、まずは皮膚を切り裂き、さらに奥に進むことで人を傷つけます。
放射線は、皮膚を傷つけることなく体内に侵入し、そこで猛威を振るうわけです。

がん治療に使われる理由

がん治療写真

(著作権者:OpenStax、ライセンス:CC BY 4.0 出典元:リンク

この「皮膚を傷つけることなく体内に侵入し、そこで猛威を振るう」性質こそが、がん治療に役立っています。
がん治療の基本は、メスで皮膚を切り、メスでがんを取り除く外科手術です。
しかし患者の体調が悪化していると、外科手術はもちろんのこと全身麻酔にすら耐えられないことがあります。
そのような患者には「皮膚を傷つけることなく体内に侵入し、そこでがん細胞を叩く」ことができる放射線が活躍するのです。
放射線を味方にするか敵にするかは、放射線の使い方と放射線のコントロール次第といえます。
ちなみに「ひばく」には「被曝」と「被爆」の2つの漢字があります。
被曝は、CT検査を受けるときに放射線を浴びることなどをいいます。
被曝は、原子爆弾の爆撃を受けることをいいます。

環境省の放射線測定方法

放射線は公害になることもあります。
水質汚染や土壌汚染や空気汚染であれば、ある程度目にみえるので危険を察知できますが、放射線は目にみえないので予防にも対策にも対応にも困ります。
そこで環境省は放射線測定方法に工夫を凝らしています。

GM計数管式サーベイメータ

環境省が使っている測定方法のひとつに「GM計数管式サーベイメータ」があります。

GM計数管式サーベイメータ

これは放射線と気体の間で発生する電離作用という現象を利用しています。
放射線が気体に触れると、気体の原子は陽イオンと電子に分離します。
放射線によって原子が破壊され、陽イオンと電子という「破片」になる、というイメージです。
陽イオンと電子の数を数えれば、放射線の強さがわかります。
これもイメージで解説します。
ボールを投げてブロックの山を崩すゲームでは、大きなパワーで投げたボールのほうがブロックの山をたくさん崩せます。
したがって、崩れたブロックの量からボールが受けたパワーの大きさを推測できます。
GM計数管式サーベイメータは、密閉容器のなかに空気を入れ、そのなかに入る放射線によって発生した陽イオンと電子の量を測定します。
原子の「破片」である陽イオンと電子の量で、密閉容器のなかに入った放射線の線量を算出するのです。

原発周辺地域を見守る日立の放射線測定装置

日立製作所は1954年から放射線測定装置をつくっています。
現在は、放射線の状態を管理するシステムを、原子力発電所、大学、研究所、病院などに提供しています。
東日本大震災(2011年)以降、全国各地で放射線管理をする機運が高まりましたが、日立はその動きを最新機器を提供することで支えているのです。
日立の放射線測定サービスのひとつに環境放射線監視システムがあります。
これで原子力発電所の周辺の環境放射線量を24時間365日常時測定します。
環境放射線監視システムでは、モニタリングポストという「小さな観測所」を使います。
原子力発電所周辺の観測が必要な地点にモニタリングポストを置き、空間の放射線量を測定したり、大気中の塵(ちり)に含まれる放射性物質を測定したりします。
モニタリングポストが集めたデータは自治体や原子力発電所関連施設に送ります。
モニタリングポストで使われている測定器とその特徴は次のとおりです。

<温度補償型NaI(Tl)シンチレーション検出器>

低線量の放射線を感度よく測定できる。
測定範囲:バックグラウンド~10μGy/h
測定エネルギー範囲:50keV~3Mev

<加圧型電離箱検出器>

高線量を安定して測定できる。
測定範囲:バックグラウンド~100mGy/h
測定エネルギー範囲:50keV~∞

医療現場での放射線の測定

病院などの医療現場では、治療目的で意図的に患者を被曝させることがあります。そのため放射線の量を厳密に測定し調整していくことが欠かせません。

レントゲン、CTでの検査

日本医学物理学会によると、医療現場で問題となる放射線には、

  • 体の外からの外部被曝
  • 体の内側からの内部被曝

などがあります。
外部被曝は、患者がレントゲンやCTで検査を受けるときの被曝です。
また医療従事者は常に外部被曝のリスクを負っています。
内部被曝は、放射性物質を含む大気や塵、野菜、肉、魚などを体内に取り入れたときに、体内から放射線が出て被曝することをいいます。
外部被曝の測定方法と内部被曝の測定方法は異なります。

外部被曝の測定方法

医療機関で特定の場所で外部被曝を測定する場合、持ち運びできる小型サーベイメータを使います。
医療機関で使う主な小型サーベイメータには「電離箱式サーベイメータ」や「GM管式サーベイメータ」「シンチレーション式サーベイメータ」があります。
また患者や医療従事者など個人の線量を測定するときは、「リアルタイム個人線量計」や「積算個人線量計」を使います。

内部被曝の測定方法

体内の放射性物質が発する放射線の測定には、「ホールボディカウンタ」を使います。
これにより体内の放射性物質の種類と量を推定できます。
長崎県の市町村では、住民の健康チェックのためにホールボディカウンタを導入して市町村民の内部被曝を測定しているところもあります。
放射性セシウムを体内に取り込むと、β線とガンマ線が放出されます。ガンマ線は体内から体外に出てくるので、ホールボディカウンタはこれを測定します。
測定したガンマ線の量から、体内の放射性セシウムの濃度を推定し、内部被曝線量を算出するのです。

まとめ~測定できると恐怖が少し減る

「目にみえない恐怖」ほど怖いものはありません。姿をみせず、足跡すら残さず人の体を蝕む放射線は、まさに見えない恐怖です。
放射線の測定装置と、常に放射線を測定する体制は、恐怖を減らす効果があります。
放射線の強いパワーを有効活用するには、技術革新と地道な取り組みが必要なようです。

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