圧力試験法案の策定と方法 その1

さて、前回の記事で圧力計の選定方法やその根拠についてご紹介しました。

今回はもう少し踏み込んで、実際に圧力計を使用する場面の一つである「圧力試験」の際の注意点や圧力試験の方法を規定する際の基準などについてご紹介していきます。

圧力計を使用する場面というのは、少なからず何かしらの圧力が生じている状況です。

きちんとした管理の下、適切な試験を行うことは正確なデータを得ることにつながるだけでなく、安全管理の面からも非常に重要です。

圧力試験とは?

まずは、圧力試験とはどのような試験を指すものなのか?からご説明します。

一般的に圧職試験は次の2種類に分類されます。

  1. 加圧された圧力に関する試験
  2. 減圧された圧力に関する試験

加圧された圧力に関する試験

こちらは一般的な圧力容器や配管などに対して行われる試験で、大気の圧力以上に対象物に圧力がかかった状態で試験を行います。

「加圧試験」ともよばれ、圧力試験の中では最も頻繁に行われる試験となります。

また、加圧状態で行う試験には「耐圧試験」「気密試験」などその試験の目的に応じて様々な方法で試験が行われ、対象物の加圧状況下での健全性を確認されます。

発電所のボイラーなどの圧力容器の試験などは、この試験に分類される圧力試験です。

減圧された圧力に関する試験

先ほどの加圧試験とは対象的に、大気圧よりも低い気圧(圧力)状態で行う試験です。

大気圧よりも低い圧力の状態を「真空」とよび、こうした減圧状態での試験を真空試験と呼んだりもします。

加圧試験と同様に製品を規定の圧力条件下に置き、その時の製品の健全性を確認する目的で行われます。

加圧試験と違い、一般的な圧力計ではなく「真空計」という、負圧を感知できる圧力計を使用します。

半導体の製造装置などに多く用いられている真空設備やその周辺の配管などの健全性確認を目的とした試験は、現代の半導体製造現場では欠かすことのできない試験です。

加圧状態の被試験体は危険が満載!

今回は圧力試験の実施においてより危険度の高い「加圧状態での圧力試験」を中心に話を進めていきたいと思います。

試験の安全な遂行は、何よりも優先されるべき事項です。

きちんとした知識を持って試験に臨むことは、大変重要なことと認識してください。

加圧状態はなぜ危険なのか?

目の前に大きく膨らませた風船があります。

この風船を針で突くとどうなるでしょうか?

もちろん風船は割れて中の空気が一気に放出され、近くにいれば強い風を感じるほどの威力があります。

この時、風船の中に閉じ込められていた空気の圧力は約30hPaと言われています。

30hPaとは0.003Mpaです。

では、私たちが工場で使用しているエアーコンプレッサーの圧力はどの程度かご存知でしょうか?

機種による違いはありますが、一般的には0.8Mpaと言われています。

先ほどの風船が0.003Mpaであることと比べると、約266倍もの圧力です。

風船が破裂しただけでも、耳元であれば鼓膜が損傷してしまうほどの威力があります。その266倍です。

仮に直径30cmの風船に0.8Mpaの圧力を加えた状態で一気に風船を割ればどのようなことが起こるのでしょうか?

例えば家の中でこの破裂が起きれば、家中のガラスが砕け散り場合によっては屋根にまで損傷が及ぶレベルの爆発力となります。

たった風船1個分の圧縮された気体でさえ、それだけの威力を持ちます。

100ℓ・1000ℓといった大型の圧力容器で、同様のことが起こったら・・・

考えるだけでぞっとしますよね。

それだけ加圧状態での圧力試験は危険を伴うということです。

では、そんな危険な試験をどのようにすれば少しでも安全に行えるのか?次の項では具体的な圧力試験法案の選定方法についてお話しします。

二重・三重の安全策を

加圧状態で行う圧力試験には大きく2つの試験があります。

対象物が既定の圧力に耐えることが出来るのかを確認する「耐圧試験」と、対象物が規定圧力下で気密性を保持できるのかを確認する「気密試験」です。

この二つの試験は、対象物が実際に使用される環境や内容物などを加味して試験に用いる媒体を決定しますが、今回はもっとも一般的な空気配管の健全性確認を目的とした圧力試験を例にご説明します。

圧力試験のプロセス

圧力試験法案の立案には、次のようなプロセスが用いられます。

  1. 常用圧力の確認
  2. 最高圧力の確認
  3. 安全率の規定
  4. 対象物の圧力的耐力の確認
  5. 対象物の加圧条件下での気密健全性の確認

一つずつ説明していきます。

まず、1と2は圧力試験を行う際の加圧量を決定するために必要となります。

対象物がその程度の圧力下で使用され、またトラブルなどでその圧力容器にかかる可能性がある最大圧力が幾つであるのかを正確に把握する必要があります。

もちろん、この点については圧力容器の設計にも大きくかかわってくる部分ですので、圧力試験実施の大前提として、設計上の健全性が確保されていることが必要となります。

1と2によって導き出された試験圧力を実際に製品に対して加圧する場合に、圧力計や加圧設備・配管などにどの程度の余裕を持たせるのかを示すものが3の安全率です。

安全率はその試験の危険性の高さによって規定される為、一概に決めることはできません。

万が一にも事故が起こらぬよう、しっかりとした余裕を持たせた試験設備の選定が重要です。

4と5は実際の試験となります。実際の試験については必ず圧力的な耐性を確認する「耐圧試験」から実施します。

その為、圧力試験要綱の策定の場合には「耐圧試験」を先に実施する旨を必ず記載しておく必要があります。

この順番を誤ると、大きな事故につながる可能性があります。

圧力試験要綱に関するまとめ

さて、ここまで圧力試験に関する準備段階である「圧力試験要綱」の策定方法などについてご紹介してきました。

ここからは実際の圧力試験の実施となっていきます。

幾ら試験要綱が正しいものでも、実際の圧力試験方法が正しくなければ事故は起こります。

次回は実際の圧力試験の流れに沿って、各工程での危険項目や注意点などを総合的にお話しします。

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ライター紹介
ライタープロフィール
シバ

広島県出身の41歳。現在は製造業で管理職の傍ら執筆活動を行っている。実は調理師出身という経歴の持ち主。得意分野は工業系の専門分野からアウトドアクッキングまで幅広く対応可能。

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