金属の成分までも丸裸?PMI検査装置の実力とは?

金属加工の現場において最も単純なミスでありながら、作り上げた製品を根底から否定することにもなりかねない、素材の取り違え。きちんと整理しておいたはずなのにいつの間にかいろいろな素材が混ざってしまい、そのすべてが使用できない状況に・・・。加工現場では誰しも一度は経験のあるトラブルではないでしょうか?

そんな、材料トラブルを未然防ぐ際に活躍してくれるのが「PMI検査装置(合金成分解析機)」です。今回は加工現場以外でも私たちの知らない場所で活躍しているPMI検査装置についてご紹介します。

PMI検査装置とは?

まず初めにPMI検査装置とは一体どのような装置なのかをご説明します。

PMIとはPositive Material Identificationの略で、合金の中に含まれる元素の種類や含有量を測定する検査の事を指します。多くの場合は蛍光X線を使用し、含有成分の把握を行っています。溶解による分離検査と違い、合金そのものを変質させることなく行うことのできる「非破壊検査」に分類されます。

冒頭の加工現場で発生するような複数の材料が混入してしまったケースや、既設構造品の材質を製品を破壊することなく正確に把握できることから、製造の現場だけでなく多くのプラントや発電所などでも近年積極的に採用が進んでいます。

どのようにして成分を計るのか?

ご存知の通り、金属はその見た目の容姿からだけでは中身の成分までを完全に把握することはできません。一昔前であれば、回転砥石を使用した火花検査(詳しい説明はまたの機会に譲ります)などで含有する成分を大まかに把握する方法などが現場レベルでは主流でした。しかしそれはそもそも現場に存在する材料の種類が少なく、それぞれの材料が特徴的であったことが火花検査によっての識別を可能としていました。

現在は合金と名の付く鋼材が数千種類あり、見た目や火花検査では到底計り知れないほどの微量な含有物の違いによって種類分けされています。ではPMI検査装置はどのようにしてその微細な違いをも把握しているのでしょか?

使用するのはレントゲンと同じX線の一種

PMI検査に用いるのは私たちが病院でレントゲンを撮影するときに使用しているX線の一種です。この特殊なX線は蛍光X線と呼ばれています。もちろん使用するX線の量は極微量であるため使用する作業者への影響はほとんどありません。

もともとX線はその種類によって特定の物を通過する性質を持ており、その性質を活かし特定の成分や含有物を特定、計量しています。

どうして混ざってしまった金属の種類を特定できるのか?

それでは、X線をどのように利用して成分を計測しているのでしょうか?

まず、前提として金属を含む概ねすべての元素はX線を照射されると特定の長波を出すという性質があります。この時発せられる長波は元素ごとに異なっており、この長波を観察することでそこにある元素を特定することができます。

また、発せたれた長波の種類と一緒にその量(厳密には量ではないがここでは分かりやするため、あえて「量」と表現します)を計測することで、その元素がいったいどの程度含有しているのかを把握することができます。

そうして集めた情報(含有元素・含有量)をデータベースと照合することで、測定した合金がなんであるのかを瞬時に言い当てることができるのです。

※多くの合金は合金内の各含有物の量を細かく規定し、公開しているためデータベースとして利用可能です

どのくらい正確に言い当てられるのか?

では、PMI検査装置によって導き出された合金の種類はどの程度信用のできるものなのでしょうか?

その答えは「99%以上」と言われています。実際の計測の現場ではX線を妨げるような要因がないかぎり、含有成分自体はほぼ確実に、正確に把握することができます。あとは不確定な要因を考慮したうえでのデータベースとの照合となり、その正答率は前述のとおり99%以上と言われています。

実際、間違いの許されない過酷な使用環境下にあるガスタービンや航空機のエンジン部品でも、最終的な素材の健全性の確認としPMI検査が導入されており、その確実性はゆるぎないものとして認知されています。

計測は意外と簡単!?

ここまで、紹介するとなんだかとても複雑で大掛かりな装置をイメージされる方も多いかと思います。しかし実際は次に紹介する製品に代表されるように非常にコンパクトで、計量なつくりとなっています。
オリンパス社製 DELTAシリーズ

出典元:「オリンパス社製 DELTAシリーズ」https://www.olympus-ims.com/ja/applications/pmi-inspection-material-verification/

オリンパス社製のハンディタイプPMI検査装置です。プラントなどの過酷な現場での作業に対応できるよう設計されており、最大480℃までの試験体を検査することが可能です。また、上位モデルは計測の難しいといわれる「Si」の計測にも対応しており、金属だけでく土壌などの計測にも対応しています。重さも600gほどで、簡単に持ち運ぶことができます。

素材を見極めることは全ての基本

普段は目にすることのほとんどないPMI検査装置ですが、ものつくりの基本である素材の把握にはなくてはならない大切な装置です。

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ライタープロフィール
シバ

広島県出身の41歳。現在は製造業で管理職の傍ら執筆活動を行っている。実は調理師出身という経歴の持ち主。得意分野は工業系の専門分野からアウトドアクッキングまで幅広く対応可能。

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