風邪をひいたときに誰もが一度はお世話になったことのある、風邪薬や栄養剤。これらの製造と切っても切れないのが今回ご紹介する「パーティクルカウンター」です。
薬を製造する工場のイメージは?と聞かれるとどんな様子を想像しますか?「白衣を着た研究員が試験管とフラスコを使って実験をしている」。そんな風景を想像される方も多いかと思います。薬を開発する研究室や実際に薬を製造する工場では、万が一にも製造中の薬に悪影響のある物質が混入してしまわないよう、細心の注意が払われています。そんな薬の製造工程の衛生環境を支えているのが、クリーンルームと言われる設備です。
クリーンルームとは一定量の空気中にどれだけの量のチリやほこり・有害物質があるかを計測し、その量によって空気の清浄度を求められる基準によってレベル分けし管理された空気環境の部屋の事です。その際に活躍するのが空気中のチリやほこりの量を計測することのできる計器であるパーティクルカウンターです。
このページの目次
パーティクルカウンターが目に見えない小さな埃までも数えられる仕組みとは
クリーンルームの基準として数えられる埃の数は、目に見える大きさのチリや埃ではなく、肉眼では観察することさえできないナノサイズの粒子です。ではパーティクルカウンターはどのようにして目に見えない小さな物質の粒子を計数しているのでしょうか?
まず、パーティクルカウンターには空気中などの気体に含まれる微粒子を計数するものと、液体中の微粒子を計数するタイプとに分類されます。
ここでは主に、気体中の粒子を検出し計数する気中パーティクルカウンターの原理につてご説明します。
基本構造は?
パーティクルカウンターの基本構造は気体の流量を計測できる吸引口と赤外線レーザーの照射装置、集光レンズと受光素子と呼ばれる光の情報を電気信号に変えることのできる素子で構成されています。メーカーによって多少の構成部品の違いはありますが、概ねこれらの部品で構成されています。
どうやって瞬時に数を数えるのか
それでは前述の部品で構成されたパーティクルカウンターはどのようにして、気中の微粒子を計数しているのでしょうか?まずは暗室構造となった機器本体に一定流量の気体を吸引します。その状態で吸引される気体に赤外線レーザーを照射、なんの不純物もない気体の場合、赤外線レーザーはそのまま吸引された気体を通過します。しかし、気体中に不純物が含まれていると赤外線レーザーはその微粒子にぶつかって屈折してしまいます。微粒子によって屈折した赤外線を集光レンズで集め、受光素子へと照射します。受光素子は集められた光が何本あるかを電気信号としてカウントします。この時カウントされた数が、気体中の不純物の数となる仕組みです。
様々な場面で活躍するパーティクルメーター
それでは具体的にどんな用途で使われているパーティクルカウンターがあるのか?実際の製品を紹介していきます。用途や使用環境によって様々な種類が発売されていますので、機種選択の参考にしてみてください。
半導体製造工場での実績豊富
持ち運びが簡単なハンディタイプのパーティクルカウンターです。測定レンジは3チャンネル同時に計測することができ、清浄度のまったくわからない環境でもチャンネルの切り替えなしに測定が可能です。
もちろんUSBによるインターフェイスの他、1500件までのデータ保存が可能で簡単にデータを比較したり解析したりすることが可能です。お部屋の空気の清浄度から半導体製造工程のクリーンルームまで幅広く対応可能なオールラウンドモデルです。
空気だけじゃない、油中の不純物も観察できる
清浄度を求められるのは何も空気に限った話ではありません。近年の精密機器の中には油圧を使用した機器も多くあり、その中で使用される油に清浄度が必要な場合も多くあります。空気の清浄度同様に油の清浄度を計測できるのが、このタイプのパーティクルカウンターです。この機種は多様な油の清浄度を計測することが可能で、特に高粘度の油を希釈することなく計測することができるという特徴を備えています
私たちの暮らしに大きくかかわっているパーティクルカウンター
パーティクルカウンターという聞きなれない機械ですが、実は私たちの暮らしに大きくかかわっている計測機器、それがパーティクルカウンターです。