レーザマーカについて

印字のイメージ

アイスクリームの箱やジャムの瓶、各種電子部品やボルトやナットなどの部品に印字される製品名や製品番号など、これらの文字や番号は、レーザマーカで印字されていますが、平面だけでなく曲面上へも非常に高精細な印字ができることから、様々な製品への印字にレーザマーカが使われています。レーザマーカは非接触印字なので、従来のインクジェットプリンターと比べてインク換えなど消耗品がなく、「メンテナンスが楽」、「ランニングコストが抑えられる」などという利点があります。このコラムでは、レーザマーカの原理、印字される基材の素材と各種レーザマーカの相性、取り扱いメーカーや価格帯などについてご紹介したいと思います。
レーザマーカ印字例

引用元:キーエンス「マーキング機器ガイドブック」より
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原理

印字方法

レーザマーカにおける印字の方法には2つの方式があります。ひとつは「マスク方式」でもうひとつは「スキャン方式」です。マスク方式では、任意の形をしたマスクを通過したレーザ光により基材に印字されます。この方法では、印字内容によってマスクを準備しなくてはならないため、手間やコストがかかるというデメリットがあります。

一方スキャン方式では、ガルバノスキャニング方式により、1本のレーザ光を2枚のミラーで反射させてX軸方向・Y軸方向(Z軸方向もスキャンできるものもあり、曲面への印字が可能になります)にスキャンすることにより、レーザー光を平面上で自由自在に動かして印字します。現在ではこの方式のレーザマーカが主流となっています。
ガルバノスキャニング方式

引用元:キーエンスHP「レーザマーキングとは?」より

また基材表面に印字する、印字の方法には大きく分けて「剥離」、「彫り込み」そして「発色」の3種類あると言われています。「剥離」は、コーティングを剥離して下地を出し、下地とのコントラストで人の目で認識できるようにします。「掘り込み」は、ワーク(基材)の表面を削るまたは溶かして掘り込み、そのコントラストで人の目で認識できるようにします。そして「発色」は、レーザーを照射した箇所が化学変化を起こして変色することにより、人の目で認識できるようにします。
マークングの方法

引用元:Panasonic HP「レーザーマーカ技術のご紹介」より

レーザマーカで使われているレーザーは、基材表面を削ったり化学反応を起こさせたりするため、比較的パワーの大きいレーザーが使われています。主に使われているレーザの種類は以下の4種類です。それぞれのレーザの性質や特徴を以下に列挙します。

CO2レーザ

非常に高出力なレーザーで、金属の切断からレーザーメス、レーザー溶接などに使われています。レーザマーカで使われている波長は10.6μmです。紙・樹脂・ガラス・セラミックなどへのマーキングに使用されており、金属のマーキングには不向きです。高出力であるため、切断などにも使われています。

YAG(またはNd:YAG)レーザ

YAGは「Y:イットリウム・A:アルミニウム・G:ガーネット」の略です。YAGと呼ばれるイットリウムとアルミニウムの複合酸化物(Y3Al5O12)から成るガーネット構造の結晶に、Nd(ネオジウム)が微量に添加された結晶をレーザーの発振媒質として使用しています。基本波長は1064nmです。

第2高調波(532nm)はグリーンレーザとも言われ、シリコンウエハなどへのソフトマーキングに使われています。微細な印字、加工ができるのが特徴です。

また第3高調波(355nm)は、UVレーザとして使用されていますが、素材への吸収率が非常に高いため、レーザパワーをそれだけ上げなくても精細なマーキングができることが特徴です。またレーザ照射による基材の熱損傷も少ないのも特徴です。

YVO4(またはNd:YVO4)レーザ

YVO4はイットリウム・4酸化バナジウムで、その結晶に微量のNdが添加された結晶がレーザの発振媒質として使用されています。YAGレーザほど高出力ではなく、出力10Wまでの精密マーキングに使用されています。波長は1064nmです。

Yb:Fiberレーザ

ファイバレーザとは、光ファイバを増幅媒体とする固体レーザの一種です。光ファイバの中心にあるコアに、希土類元素Yb(イッテルビウム)がドープ(添加)されています。波長は1090nmです。

基材の素材とレーザー光波長の相性

基材の素材の種類によって、レーザ光の吸収度合いは異なります。そのため、基材の素材によってレーザの種類を選定する必要があります。適した素材と波長の関係性の図を以下に引用します。
レーザ波長と素材の適合

引用元:キーエンスHP「マーキング学習塾」より

取扱メーカー・価格帯について

出力が上がると、印字はより鮮明に深くなりますが、価格は上昇する傾向にあります。またレーザ光の波長が短くなるほど価格が上昇傾向にあると言われています。出力別での価格帯の目安は、10Wで300万円〜、20Wで500万円〜程度です。

取扱メーカーには、「キーエンス」、「Panasonic」、「ブラザー」、「(株)横浜システムズ(出力20〜60Wを安価で提供)」、「日立産機システム」、「Videojet Technologies Inc.」、「松定プレシジョン」、「イーデーエム(株)」、「オムロン」、「(株)堀内電機製作所」、「芝浦エレテック(株)」など多くのメーカーが製造・取り扱いをしています。

数万円と安価で「レーザマーカ」と称する機器が検索をするとヒットすることがありますが、それは単にレーザ光を目印として使用するものであり、決して照射表面上に「剥離」、「彫り込み」や「発色」を施すものではありません。

さいごに

レーザマーカは、製造業における製造品へのラベリング装置として必要不可欠になっています。どのような素材のものにマーキングするかで、レーザ光の種類を選ばなくてはいけません。レーザ光には次の4種類、「CO2レーザ」、「YAG(またはNd:YAG)レーザ」、「YVO4(またはNd:YVO4)レーザ」そして「Yb:Fiberレーザ」が主に使われています。さらに各々のレーザにおいて、得意なマーキング方法がありますので、機種選定の際には「マーキングする基材の素材」が何であるかが選定のキーポイントになってきます。また数百万円もする高価な機器ですので、中古品の購入の可能性があると助かるのではないでしょうか。

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ライター紹介
ライタープロフィール
藤井暢子

小規模農業従事者、野菜ソムリエプロ、野菜栽培士。京都生まれ。大阪市立大学理学部物理学科卒業、京都教育大学大学院修了、大阪大学大学院理学研究科物理(単位取得後卒業)、2004年博士(理学)。大阪大学産業科学研究所勤務を経て、化学系の研究開発会社に8年間勤務後、2012年より農業者へ転身。実父とともに、自然農、自然栽培、無肥料、自家採種をキーワードに京都郊外で野菜を作り、地元カフェや地方家庭などへ提供している。物理と化学の研究経験をもとに、畑の研究を新しく展開するべく日々研鑽中。生物物理の研究者の夫、5歳の一人息子と同居。

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