空燃比計は計器ではない?

近年、化石資源の枯渇問題と大気汚染問題から日本国内でもハイブリッド自動車や電気自動車など低燃費に特化した自動車が注目を集めています。そんな低燃費自動車の開発と切っても切れない関係にあるのが今回ご紹介する空燃比計です。実際の自動車では排気ガス中のO2(酸素)量を計測することで、代用されていますが、開発の段階では各計器から得られた数値をもとに空燃比がみちびきだされ、その数値はエンジン開発の現場で今でも活躍しています。

また、早さを競うレースの世界ではこの空燃比を把握することが速さと低燃費に直結しているとして、エンジンのセッティングの根拠として重宝されています。

今回はそんなエンジン開発、低燃費車開発と切っても切れない関係にある「空燃比計」についてご紹介します。

空燃比計は何を計測しているの?

それではまず最初に、そもそも空燃比計とは一体何を計測し何を明確にしているのでしょうか?

答えは簡単、空燃比計は読んで字の如く空気と燃料の比率を計測しています。車やバイクのエンジンに代表される内燃機関は燃料と空気中の酸素を反応させ、人為的に爆発を起こすことで動力を得ています。内燃機関そのものの歴史は古く、100年以上前に燃焼理論は確率されています。しかし内燃機関は燃料の持つエネルギーを100%動力エネルギーに変化させることはできておらず、最近まで30%前後のエネルギー変換率だといわれていました。

そんな、内燃機関の効率を高める際に重要になってくるのが空燃比と言われる空気と燃料の燃焼比率です。空燃比を把握することは内燃機関の効率を考える上ではなくてはならない理論なのです。

ちなみに、自動車に使われているガソリンエンジンの理想的な空燃比は14.7であるといわれています。これは重量比率で空気14.7に対して燃料が1の割合で燃焼させるということを意味しています。

それでは空燃比計はどのようにして、空気と燃料の比率を計測しているのでしょうか?次項では空燃比計の仕組みについてご説明します。

 

空燃比を直接計測している訳ではない?

実は、空燃比計と呼ばれる計器は直接的に空気と燃料の割合を計測できるわけではありません。空燃比計が使用される代表的なシーンとして自動車を例にご説明します。

空燃比計の構成は大きく分けて3つのセンサーによって成り立っています。

  • 流入する空気の量を計測するセンサー
  • エンジンに供給される燃料の量を計測するセンサー
  • 燃焼後の排気ガスの中の残留酸素の量を計測するセンサー
これらのセンサーの組み合わせと、それらのを比率で管理し解析することで空燃比計は燃料と空気の比率を導き出しています。では各々のセンサーとそのデータから何が分かるのかを詳しく見ていきます。

エアフロメーター

空気のエンジンへの流入量を把握するための計器です。この計器はエンジンへと送りこまれる空気の量を把握するための計器です。方式は複数あるのですが、詳しい説明は別の機会に改めさせて頂きます。

空燃比計の中でもなくてはならない計器の1つです。

インジェクション流量計

続いては、比率を構成するもう一つの要因である燃料の供給量を把握している計器です。実際の自動車ではこのインジェクション流量計は0.01ml以下の精度で燃料の供給量を把握し、状況に応じて細やかに燃料の供給量を調整しています。

昔の自動車はエンジンの動きに応じて自動的に燃料と空気が供給される、キャブと呼ばれる方式が主流でしたが、自動車の燃費に対する意識が高くなって以降は多くの自動車でインジェクション方式が採用されています。

O2センサー

最後に登場するのが燃焼後の排気ガスに含まれる酸素の量を計測しているO2センサーです。このセンサーは燃焼時に燃料と反応しきれなかった酸素の量を計測するために取り付けられており、酸素濃度が高い=燃料が少なすぎるといった判断のもとになるデータを供給してくれます。

こうして得られた様々なデータをもとに空燃比を計算し、可視化してくれているのが空燃比計です。

空燃比計はどのように活用される?

実際、車を走らせている最中に運転手が空燃比を気にする瞬間は殆どと言ってよいほどありません。では空燃比計によって導かれた空燃比のデータはどのように活用されているのでしょうか?ここでは空燃比計の役割についてここでも実際の車を題材にご紹介します。

パターン1 燃料が足りていない

見出しにもあるように内燃機関にとって理想的な空燃比は14.7だといわれています。空燃比を計測した結果、燃料が不足し空燃比が20近くになったとします。その場合、自動車に積載された制御装置は燃料の量を増やし、空燃比を正常な数値に近づけるよう制御を行います。

この時、燃料不足の状態では排気ガスを観察しているO2センサーの数値は増加し、反応できず残ってしまった酸素が多くあることを制御装置に伝えます。

パターン2 燃料が多すぎる

反対に空燃比の数値が低くなり、燃料が多いと判断された場合には先ほどと反対に供給される燃料を少なくするよう、制御装置に指令を出します。

この時、制御の結果を排気ガスを観察しているO2センサーで確認し、燃料の制御が正しいか否かの確認も行っています。

一般的に市販されている空燃比計は殆どの場合O2センサー?

空燃比計

さてここまで、空燃比計についてご紹介してきましたが実際に一般向けに販売されている空燃比計を最後のご紹介します。
この空燃比計は排気ガスに含まれる酸素量を把握し、そこから空気と燃料の混合比率を導き出しているタイプです。一般的に半場尾されている空燃比計は殆どがこのタイプです。前述の通り、燃焼後の排気ガスに含まれる酸素の量は空燃比と密接な関係にあり、排気ガス中の酸素量を把握することはもっとも簡易的に空燃比の情報を得られるからです。

実際のエンジン開発の現場では燃料・空気・排気ガスを細かく計測し調整を行いますが、実際の稼働中のエンジンの空燃比の把握ではこの方法が一般的です。

空燃比計まとめ

いかがでしたか?普段は気にすることの無いエンジン内部の細かな数値ですが、燃費改善には欠かせない大切なデータです。空燃比の解析が進めば将来現在の数倍の燃費を誇る自動車が開発されることもあるかもしれません。

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ライター紹介
ライタープロフィール
シバ

広島県出身の41歳。現在は製造業で管理職の傍ら執筆活動を行っている。実は調理師出身という経歴の持ち主。得意分野は工業系の専門分野からアウトドアクッキングまで幅広く対応可能。

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