マイクロメーターの自主校正について

計測機器の校正の仕組みや役割について以前説明しましたが、今回からはさらに実践的な内容として、様々な計測機器の自主校正の手法や留意点についてご紹介していきたいと思います。

もっとも使用頻度の高い計測器だけに、校正を必要とする機会も多いマイクロメーター。しっかりとした手順と要点を押さえて、正しい校正を目指します。今回は外側寸法を精密測定する工具であるアウトサイドマイクロメーター(以下アウトマイクロ)について掘り下げていきます。

校正のポイントと確認箇所

では、まず最初にマイクロメーターの自主校正において押さえておくべきポイントと確認箇所についてご説明します。マイクロメーターの校正を行う際に確認すべき箇所は大きく次の4か所です。

  1. 外観の傷
  2. 測定子の平面度
  3. 繰り返し精度
  4. 測定誤差

どれも当たり前の項目のように見えますが、それぞれの項目に見るべき点があり大切な項目です。次項ではそれぞれの確認方法と確認の目的について詳しくご説明します。

校正の基本、外観確認

計測機器の校正において外観の確認は非常に重要な項目となります。もちろん、対象となる計測機器の見た目が汚れているからと言って「校正不可」となるわけではありません。

しかし、例えば目盛りを読み取る部分が油汚れで曇っていては正確な数値を読み取ることはできません。また、油などの汚れが蓄積することで計器本体に悪影響を及ぼす可能性も多々あります。その為、計測機器の校正において一番最初に行うのは、外観の確認と清掃です。

アウトマイクロの自主校正における外観確認におけるポイントは次のような項目です。

  • 過剰な汚れが蓄積していないか
  • 回転部分の摺動はなめらかであるか
  • ラッチ部分に損傷はないか
  • スピンドル部に錆や汚れは付着していないか
  • 目盛り部分は正確に読み取ることが出来るか
  • その他、損傷はないか

以上が外観検査での確認項目です。

このうち、目盛り部分が擦り切れてしまているなど寸法精度に直結するような瑕疵のある場合は「校正不可」となりますが、それ以外の計測活動に影響を及ぼさない且つ、修復可能な個所については部品交換や清掃といった対応を取ります。

マイクロメーターの命、測定子の平面度

マイクロメーター、特にアウトマイクロの場合は測定子先端の実際に製品と接触する部分の平面度は非常に重要です。
この箇所の平面度が狂っていたり、凸凹がある場合には計測結果にバラツキが生ずる原因ともなり、計測器の重要なポイントである「再現性」が失われることに繋がります。その為、アウトマイクロの校正では実際の計測誤差や再現性の確認の前に、当該箇所の確認を行うことが重要となってきます。

測定子の先端の平坦度の確認には「オプチカルパラレル」と呼ばれる、ガラスやアクリルの透明な板を使用します。測定子の先端にこの透明な板をまっすぐに押し当てると、測定子先端が平坦である場合には光の屈折が均一なものとなり現れます。反対に平面制度の悪い測定子に押してた場合は、光が湾曲したり屈折したりして均一なものとなりません。

校正に用いるこの「オプチカルパラレル」は非常に精密に作られており、表面に傷などがあるとその傷が原因で屈折が起こってしまうなどして正確な確認ができなくなってしまうため、管理方法にも注意が必要です。

繰り返し精度の確認

計測器にとって繰り返し精度は非常に重要な項目です。幾ら校正の際に規定の数値が確認できても、それが繰り返し確認できなければ意味がありません。その為、校正の際にはこの繰り返し精度の確認は非常に重要な確認ポイントとなります。

アウトマイクロにおいて、繰り返し精度が悪くなる要因としては次のようなものが挙げられます。

  • ねじ部分のがたつき
  • ラッチ部の破損
  • 測定子の偏摩耗

繰り返し精度が安定しない場合には、これらの要因を再確認し問題があれば是正または修理します。その上で修理不可であるものについては「校正不可」として扱います。

測定誤差の確認

ここまでの確認が終わった段階で初めて寸法精度の確認となります。寸法精度の確認には「基準棒」と呼ばれる寸法の基準となる専用ゲージを使用します。この基準棒は通常アウトマイクロと共に保管されているもので、各サイズのアウトマイクロにそれぞれのサイズの基準棒がセットになっています。

基準棒は予め規定の温度下において、基準となる寸法に対しどの程度誤差があるかが刻印(マーキング)されています。また、自主校正においてはこの基準棒の寸法が、精度の基準となるため外部校正によってその精度が保証されているものを使用するのが一般的です。

アウトマイクロで実際に基準棒を測定し、その際のアウトマイクロの、目盛りによって読み取れる寸法と基準棒に刻印されている寸法の誤差を読み取ります。この時も1度の計測ではなく数回同じ計測を行い、繰り返し精度が出ていることを確認します。

数値の補正→アウトマイクロの調整

基準棒の計測の結果、アウトマイクロの目盛りに誤差が確認された場合にはアウトマイクロの補正(調整)を行います。アウトマイクロの補正方法はメーカーによってその手法に違いがあるため、ここでは詳細を省略しますが各メーカーのアウトマイクロの調整方法を熟知した後に調整を行う必要があります。調整後は再度、基準棒の測定を行い誤差がなくなっていることを確認し校正は完了します。

校正履歴の管理

日々の自主校正において、一定以上の補正(調整)を行った場合にはその記録を保管し管理することが望ましいとされています。

一般的に日常の検査の際の自主校正では、アウトマイクロ本体の目盛りの補正を行うほどの誤差は発生しません。その為、目盛りの補正が必要なほどの変化があった場合には、可能な限りその要因を追求し履歴として残しておくことで、計測器の寿命管理や修理の際の指針とすることが出来る為です。

目盛りの大幅な変化の主な要因は落下などの外的要因ですので、使用する検査員や作業員は落下などの事故を起こさないよう気を付けることはもちろん、実際に落下事故などが発生した際は速やかに担当者に連絡する必要があります。

連絡を受けた担当者は、計測器の健全性を確認すると共にその履歴を残しておくことで、その後の校正の際の指針とします。

アウトマイクロの校正のまとめ

アウトマイクロは計測器の中でも最も身近な計測機器の一つです。その分、使用頻度も高く自主校正を行う機会も多いと言えます。

今回ご紹介したのは、自主校正の基本です。アウトマイクロを使用する現場ごとの特性や特色を踏まえ最善の方法で校正を行い、正確な計測の基本としてください。

 

 

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シバ

広島県出身の41歳。現在は製造業で管理職の傍ら執筆活動を行っている。実は調理師出身という経歴の持ち主。得意分野は工業系の専門分野からアウトドアクッキングまで幅広く対応可能。

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