加工の現場で使用される「寸法公差」と測定の関係性、なぜ公差は必要なのか?

機械加工の世界では当たり前に規定される「寸法公差

加工の現場においてはこの寸法公差を守るために測定が行われているといっても過言ではありません。

それではなぜ機械加工において寸法公差は重要なのでしょうか?また、その数値はどのようにして決められてるのでしょうか?

計測機器の進化により、近年その重要度や正確性がさらに求められることとなった「寸法公差」

今回は測定と寸法公差の意味や関係性についてお話します。

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そもそも寸法公差とは?

「寸法公差」とは加工で物を作る際の大きさや長さなどに与えられた許容値です。

例えば長さ100㎜の製品の場合、長さに対して何も特記の無い場合は100.1㎜であっても反対に99.9㎜であっても図面とは合致しないため、その製品は不適合であると判断されかねません。

しかし、その製品の用途によっては100㎜が99㎜であっても101㎜であっても、使用上は問題ないといった場合も存在します。

また、いくら精密な機械で加工をしているとはいえ100㎜の長さを1ミクロンの狂いもなく、毎回再現することは不可能です。

そのような場合を考慮して、その製品に許容できる寸法などの許容値を表したものが寸法公差です。

寸法公差の決め方は?その基準は?

寸法公差の基準は大きく分けて2つあります。1つはJISによって規定されている寸法公差をそのまま利用する場合、もう一つは製品の特性や用途を考慮して設計者が独自に寸法公差を設ける場合です。

JIS(日本工業規格)による寸法公差

JISでは様々な場面で共通して使用できる寸法公差の基準を、各用途別に細かく規定しています。設計者が特別な用途を想定して寸法公差を決定する場合を除いては、基本的にこのJISの規定公差が用いられるのが一般的です。

JISで規定されている寸法公差は、一般的な機械加工公差の他にも

  • 嵌め合い公差
  • 鋳物の形状公差
  • 鋼材製造時の直径や板厚に関する公差

など、その種類は数百を超えています。

設計者が意として設ける公差

他方が、設計者がJISの規定公差を引用することなく、独自に設定する寸法公差です。

多くの場合はその製品の使用上の特性などを考慮して設定されるこの任意の公差は、JISで規定された公差よりも厳しい公差範囲が要求される傾向にあります。

JISの規定公差はあくまでも標準的な交差で且つ、その規定はここ数十年に渡り大きな見直しは行われていません。

計測機器の発達により、計測で確認できる寸法がより正確になったことを背景に、設計者が製品に求める精度要求が高くなり、そのれに伴って求められる寸法公差の要求も高く、厳しいものになっています。

実現できない幾何公差の横行は、製造の現場を疲弊させる

そうした計測機器の発達を背景に、要求される寸法公差がさらに厳しくなっていく中で数々の問題も起こっています。

旧来、ものつくりの原点はコピーでした。

例えば嵌り合う2つの製品がある場合、凸側の製品を先に(または凹側)加工し、それに合わせて反対側の製品を、現物合わせて作り上げていく方法が原点です。

しかし、近年の大量生産や作業の分業化の流れのかなでは、上記のような一品ごとの現物合わせによる作業は現実的な加工方法とは言えません。

その為、設計者は各製品に許容可能な範囲での公差を与え、その製品を寸法値という数値で管理することで、別々の場所で別々に生産した製品であっても、問題なく使用できる製品の製造方法を確立しました。

測定誤差の許容と寸法公差の関係

しかし、現代においては本来の「現物合わせが基本、公差管理はその代用策」という認識が薄れ、

加工公差を厳しくする=良い製品ができる

といった、寸法公差に対して間違った認識や寸法公差の意義を拡大解釈する設計者が多いのも事実です。

例えば、現在の三次元測定機の測定範囲は1/1000㎜単位と非常に小さな単位まで計測できる測定器がほとんどです。そうしたことを背景に近年の図面では当たり前のように1/1000㎜単位まで記載された寸法公差の図面が横行しています。

幾ら計測機器が発達し、1/1000㎜まで計測でき製品もその範疇に収まっていたとしても、そればあくまでも結果論にすぎません。

なぜならば、整品を加工する機械にもそれを計測する計測器にも、必ず誤差は存在するからです。

この誤差は測定器や加工機が機械である以上、完全に抑制することは不可能です。もちろん1ミリや2ミリといった大きな単位で誤差が生まれてしまうことは論外ですが、1/1000単位の誤差は測定誤差として認識されるべき数値誤差なのです。

現場を疲弊させる、寸法公差の罠

こうした現状のなかで、実際にモノを加工し検査する現場は疲弊しています。

図面に再現不可能な寸法公差が記載されると、現場としてはたとえそれが無理難題であってもその寸法公差を遵守することが求められます。

更に、計測機器の発達により数値的には1/1000㎜単位での計測が可能(見かけ上)となっていることも、現場のプレッシャーの要因です。

本来は適切な形状を適切な寸法公差を用いて管理することで、様々な生産体制を維持するための道具であった寸法公差が、いつのまにか独り歩きしてしまっている現実は看過できるものではありません。

適正な寸法公差は適正な製品を生む

とはいえ、現在の世界的なモノ作りの潮流では寸法公差の重要性は増すばかりです。

また、その結果を計測する計測機器の進化も著しいものがあります。

計測機器の進化と適正な寸法公差の維持管理が高次元で融合することが、本当の意味での最高の生産環境と呼べるのではないでしょうか?

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ライター紹介
ライタープロフィール
シバ

広島県出身の41歳。現在は製造業で管理職の傍ら執筆活動を行っている。実は調理師出身という経歴の持ち主。得意分野は工業系の専門分野からアウトドアクッキングまで幅広く対応可能。

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