多くの場合火災は炎や熱が発生する前に、可燃物から煙が発生しています。
発生する煙の種類は可燃物の種類や温度などによって様々ですが、可燃物が発火する前にはほとんどの場合煙が先行して発生します。
その為、古くから火災の初期段階の発見には「煙感知器」と装置が活躍してきました。
今回はそんな火災の予兆を発見できる「煙感知器」について詳しくご紹介していきます。
ちなみに近年住宅への設置の義務化が叫ばれている「火災報知器」とは、この煙検知器の事です。
このページの目次
煙感知器の仕組み
煙検知器の基本は光源とそれを検知する受光部によって成り立っています。
光の直進性と煙の中の微粒子による光の屈折をいう、非常にシンプルな仕組みを利用した検知器です。
煙検知器の基本構造
それでは煙検知器の中身について詳しく見ていきます。
先ほどもご紹介しましたが煙検知器の構造は非常にシンプルかつ合理的です。
煙検知器欠かせない要素としては、光を発する「光源」とそれを遮蔽する「遮蔽構造」、そして光が当たると反応する特性を持った「受光素子」の3つです。
光源
光を発する部分の構造を光源と言います。
この光源は常に微量の光を出し続ける必要があり、以前の煙検知器では常時電源の供給が不可欠でした。
しかし、最近では光源の多くがLEDとなったことで煙検知器をワイヤレスで設置することが可能となりました。
遮蔽板
光源から発せられた光を直接受光素子にあたることが無いように遮ることを目的とした構造物です。
光の反射が少ない素材が用いられることが一般的で、光を吸収する作用のある「黒色」であることが多いです。
受光素子
光が当たると反応する特性のある素子を用いた、構造物です。
光があたると反応をおこし、それを電気信号などに変換することのできる特殊な素子です。
煙感知器の精度や検知能力を決める重要な部分となります。
受光素子については別の記事で詳しくご説明しますが、デジタルカメラなどに搭載されている「CMOS」などのセンサーもこの「受光素子」の一種です。
煙を検知する仕組み
「光源」「遮蔽板」「受光素子」の3つで構成される煙検知器が煙を検知するしくみはいたってシンプルです。
光源から発せられた光は、澄んだ空気中では直進します。そのため光源と受光素子の間に設けられた遮蔽板の存在が、受光素子への光の到達を妨げます。
しかし、火災などで煙が派生した環境では光源から発せられた光は煙の中の微粒子によって乱反射を起こします。
乱反射した光は遮蔽板で守られていた受光部にも到達することとなり、受光素子が反応します。
この乱反射した光を検知することが、煙検知器が煙を検知する仕組みです。
なぜ煙感知が重要なのか?
煙検知器(火災報知器)はなぜ個別住宅にまで義務化がすすんだのでしょうか?
その背景にあるのは火災による死亡原因に大きく関係しています。
火事の死亡原因のトップは煙
テレビのニュースなどで流れる火災現場の凄惨な映像。
火災で人がなくなると聞くと、亡くなってしまった原因は火災の炎だと思いがちです。
しかし、火災を起因とした死亡原因の第一位は「煙」です。
現代の住宅やその他の建築物の多くには科学薬品や石油由来の多くの製品が使用されています。それらの製品は非常に優れた機能を持つ反面、火災などで燃焼した場合に有害なガスを発生させるものも少なくありません。
また、火災での死亡原因のトップである煙には「一酸化炭素」と呼ばれる非常に有害・危険なガスが多く含まれます。
一酸化炭素そのものは煙検知機では検知することはできません。
しかし、煙検知器で検知できる煙が発生している環境では概ね一緒に一酸化炭素も発生しているということが知られています。
火災は煙から起こる
薬品や火薬など特定の火災原因の場合を除き、ほとんどん火災は炎の発生よりも以前に煙が発生します。
その為初期の火災を早期に発見するためには「炎」を検知するのではなく、煙を検知する必要があるのです。
そうした観点からの煙検知器(家庭用火災警報器)の設置義務化の動きは加速しています。
様々な検知器
一口に煙検知器と言っても実は様々な種類や特性を持ったものが発売されています。
設置する環境や目的によって適切なものを選ぶことで、火災をより一層早期に発見できます。
報知器のトップメーカー「NITTAN」
火災報知器や煙検知器のメーカーとしては国内でも有数のトプメーカーの製品です。
リチウムイオン電池を電源としており、設置から概ね10年はノーメンテナンスで使用できます。
能美防災連動式、煙検知器
他の部屋で検知した情報を、すべての部屋へと伝えることのできる機能を持ったモデルです。
火災が起こっていない部屋にいても、火災を検知でき2回建ての住宅など警報音が聞こえないことが想定されえる場所などで便利なモデルです。