ヘリウムディテクターってなに?なぜ真空装置はヘリウムで漏れを感知するのか?

ヘリウムという名前を聞いて何を思い浮かべるでしょうか?風船に入れるガス?パーティーグッズの変声ガス?

殆どの人はそんなイメージではないでしょうか?

実はヘリウムという気体は工業の分野では多方面で多く使用されています。その一つの用途が「リーク試験」です。聞きなれない言葉かもしれませんが、簡単に言えば配下などから中身が漏れる危険性がないかなどを確認する試験です。

その試験の場で活躍するのが、ヘリウムガスと今回ご紹介する「ヘリウムディテクター」と呼ばれる計測装置です。

今回は、そんなヘリウムディテクターについて詳しくご紹介します。

そもそもヘリウムガスはどんなガス?

一般の方のイメージにあるヘリウムは前述のような風船や変声ガスといったイメージでしょう。

ヘリウムは水素に続いて軽い気体で、自然界にも存在する安全な気体です。飛行船が発明された当時は浮力にヘリウムよりも軽い水素を使用していましたが、可燃性ガスの為たびたび爆発事故を起こしていました。その点ヘリウムガスは水素に次ぐ浮力を得ることができながら、不燃性ガスであることから爆発の心配がなく現在の飛行船ではその浮力にヘリウムを用いています。

また、ヘリウムの原子は同じく空気中に含まれる酸素や窒素、二酸化炭素と比較するととても大きさが小さい原子構造をしています。

先ほど、自然界に存在するとご説明しましたがその量はごく微量です。しかし他の気体と大きく違う特性を持ってるため、比較的検知しやすいといった特徴もあります。

ヘリウムディテクターの仕組み

さて、続いては実際のヘリウムディテクターの仕組みについてご説明します。実は一言にヘリウムディテクターと言ってもその計測・試験方式によって様々な種類の試験装置が発売されています。

ヘリウムディテクターはその装置単体で使用するといったイメージではなく、その前後に様々な装置を組み合わせて一つの試験機としての構造をなしています。

ここではまず、もっとも一般的な真空ポンプとの組み合わせによる試験装置をご紹介します。

チャンバー方式のリーク試験機

この方式を真空チャンバー方式と呼びます。真空ポンプによって内部を真空にしたチャンバーの中に漏れを確認したい対象(ワーク)をセットし、そこにヘリウムを供給します。

この時、チャンバー内の真空度と供給されるヘリウムの圧力は、対象となる製品に求められる気密性のスペックによって調整します。完全気密に近いスペックであればあるほどに、チャンバー内部の真空度は高くなり供給するヘリウムの圧力も高くなります。

そうして真空チャンバー内のワークに供給されたヘリウムは、対象ワークに存在する微細な欠陥やつなぎ目の部分から漏れ出します。漏れ出したヘリウムを集積しその量を計測しているのがヘリウムディテクターです。

この方式の最大のメリットは、漏れ量が極微量であっても比較的正確にその量を把握できる点にあります。実際、漏れを一切許容しない製品をヘリウムを大気中で直接観察する「スニファー方式」でテストを行った場合には気づくことのできない微細なもれも、チャンバー方式では発見することが可能です。

なぜ、ヘリウムを使って試験を行うのか?

リーク試験において、その際に使用する気体を総称して「トレードガス」と呼びます。リーク試験の現場ではヘリウム以外にも窒素や空気など様々なトレードガスを使用し、そのガスを検知できる専用のディテクターを用いてリークを検査しています。

ではなぜ、高精度な解析が必要な場合のリーク試験ではトレードガスにヘリウムを使用するのでしょうか?その答えは前述の原子構造にあります。

ヘリウムの分子構造は他のトレードガスのそれと比べて比較的小さい構造をしています。分子構造が小さいということはその分、微細な穴からでも漏れ出す量が多くなることを意味します。

また、窒素やその他の空気中に多く存在する気体の場合、その濃度変化を詳細に解析することは非常に難し技術を要します。その点、自然界には極微量しか存在しないヘリウムは検知性に優れている気体とも言えます。

そのような理由で、厳格なリーク試験であるほどヘリウムガスの出番、如いてはヘリウムディテクターの出番となるわけです。

様々なヘリウムディテクター

近年では半導体製造装置用の配管などの検査でヘリウムディテクターの使用される場面が飛躍的に多くなりました。それに伴って様々なメーカーが特色のあるヘリウムディテクターを開発・販売しています。

今回は沢山のメーカーの中でももっとも歴史ある「ライボルト社」のヘリウムディテクターをご紹介します。

ヨーロッパの老舗メーカーのなかでも最上位に位置するヘリウムディテクターです。

様々なインターフェースとの互換性を備えており、様々な試験装置に組み込むことが簡単にできます。もちろん検出精度やその時間についても最上位となっています。

ヘリウムディテクターは見えないところで私たちの生活を支えている

今回ご紹介したヘリウムディテクターは、普段の生活ではまずお目にかかることはありません。しかし私たちが毎日使用している様々な電子機器の製造現場を築く上では欠かすことのできない大切な試験機です。

 

 

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ライター紹介
ライタープロフィール
シバ

広島県出身の41歳。現在は製造業で管理職の傍ら執筆活動を行っている。実は調理師出身という経歴の持ち主。得意分野は工業系の専門分野からアウトドアクッキングまで幅広く対応可能。

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