さて、前回ご紹介した農業系の計測器に続き、今回も農業と深いかかわりのある計測器をご紹介します。
今回ご紹介するのはものの白さを把握・測定・数値化する測定器「白色度計」です。
色彩計と呼ばれる部類の計測器の一種ですが、中でも白色を検知することに特化した計測器で、工業分野でも用いられることはあるものの、もっぱら主な用途は農業系での用途です。
そんな、一風変わった計測器「白色度計」について今回はご紹介します。
このページの目次
白度計とは?
では、白度計とは一体どのような計測器なのかについてからご説明します。
白度計とは読んで字のごとく、白さの度合いを計測する計測機器の総称です。白さの度合いと言っても実はその把握範囲は様々で、「漆黒を0・真っ白を100」と考えるような場合の白色の把握はもちろん、他の色の中にどの程度既定の白色が存在するかを把握するのも白色度計の仕事の一部です。
とりわけ、農業分野でいえば全体の色調のうち白色の割合を求めるような使用方法で多く用いられます。
白色度計のしくみは?
白色度計の仕組みの基本は、色の持つそれぞれの波長を検出することで白色を認識しています。
人間が色を認識する場合、例えば太陽のような光源が対象の物体に当たり反射する際に発せられる、色ごとの特有の波長を認識し、赤や青・白といった色を認識しています。
白色度計の原理もこれと同じで、対象のサンプルに光源から発した光をあて、反射によって得られた波長を解析、白色の波長(実際には波長の重なり)を検知し、そのサンプルの白色度合いを数値化しています。
白色度計はこんな場所で活躍している
それでは、白色度計はいったいどのような場所で活躍しているのでしょうか?
実は白色度計の活躍の場は私たちの生活の身近な場所にもたくさん存在しています。
例えば、小麦粉の精製工場や桃農家の選別工程など、白い色の物のある場所には白色度計ありと言っても過言ではありません。
もちろん製紙工場なども例外ではありません。
なぜ白色度計が必要とされるのか
ではなぜ、そんなに様々な分野で白色度計は必要とされるのでしょうか?そこには日本人の潔癖とも呼べるほどの完璧へのこだわりがあります。
例えば紙を製造する製紙工場を例に見てみます。
日本古来の紙と言えば「和紙」です。和紙は木の皮の繊維を精製し漂白したものを原材料としています。そのため和紙そのものは純白というよりも、少し雑味のある色合いを有した紙です。
対して、現在多くのオフィスや家庭で使用されている洋紙は素材は同じ木材ですが、製造過程で念入りに漂白され紙として精製されます。特に国内な日本の技術を持ち込んで作られた紙は、その白さは純白そのものです。
「紙は白いもの」という概念や理念を基に、できるだけ白く混ざりっ気のない紙を製造することを目標に生産される、これらの紙はその製造工程においても「白い」ことの証明が求められます。
そのような場面において、白さを数値で確認できる白色度計はその存在価値を高めています。
白いか否かだけではない、白色度計の役割
「白色度計」と言う名前から想像すると、白さを計測する計器との印象の強い白色度計ですが、実際には白さを把握するだけでなく、同じ白でも色的な要素の違う白を見分ける役割もに担っています。
例えば、白いバラが2本あるとします。
言葉でそのバラの色を表現するならば、どちらも「白」と表現されます。
しかし、白色度計の場合は同じ白に見える2つのバラの色を数値を使って区別することが可能です。こうした比較を相対比較と言いますが、白色度計をはじめとする色彩計と呼ばれる計器では、こうした相対比較に基づいた色の選別が可能な点も大きな特色です。
実際の白色度計はどんな計器?
では、実際の白色度計をみてみましょう。
手軽に使えるハンディタイプの白色度計
コニカミノルタ製のハンディータイプの白色度計です。試験体に直接接触させて計測できるため、粉体・ペーストを問わず使用することができます。先端部分にはガラスキャップを有していますので、掃除も簡便です。
家庭での料理やお菓子つくりなどでのも手軽に活用できる、白色度計としては入門クラスの製品です。
本格的な計測や比較のできる、ハイグレードモデル
色彩計のトップメーカー「日本電色工業株式会社」製の白色度計です。試験体を選ばないのはもちろんの事、単純な白さの把握ではなく、比較や解析まで行えるハイエンドモデルです。
様々な業界において、白さの基準の準拠目的や解析作業に用いることのできるフル装備モデルです。また、カラー液晶に映し出される測定結果は様々な形式のデータとしても出力することができ、他の計器や解析機との連動も可能です。
ますます見直される白色度計
いかがでしたか?白いことが当たり前の製品でも実はその白さを確保するためには様々な努力が行われています。
会社で家庭で、真っ白な用紙を目にした際に白色度計の存在を少しでも思い出してもらえれば幸いです。