歯車設計に必要なモジュールって?歯車はどのように計測するのか?

時計やラジコンカー、エアコンの吹き出し口など身近なところにもたくさんある「歯車」

パッと見どれも同じように見えてしまいますが、実はその形状は複雑に緻密に設計されています。

今回はそんな身近な存在、「歯車」の仕組みや、歯車設計に欠かせないモジュール・歯車の計測について幅広くご紹介していきます。

まずは歯車の基本から

一言に歯車と言ってもその種類は非常にたくさんあります。

歯車とはそうした様々な形状のギアを総称する表現で、ウィキペディアでは

「すべりを伴わずに回転およびトルクを伝えるため,車の周辺に多数の歯を規則正しく設けたもの。二つの適当な歯車を組み合わせて用いる」と表現されています。

数多くある歯車はそれぞれに特徴のある形状をもっており、その特徴を活かし適正な場所で活躍しています。

それでは代表的な歯車とその構造について見ていきましょう。

平歯車(スーパーギア)

まずはもっとも簡単な形状の平歯車です。

回転軸に対して平行な溝の形状をした歯車どうしの組み合わせです。

減速機や動力伝達など、様々な場面で仕様されているもっとも一般的な形状の歯車です。通常は上の写真の用に円周の外径に溝が作られますが、内径に溝を切った「内歯車」と呼ばれる構造の歯車も存在します。

また、円周上ではなく直線上に同様の歯を形成したものを特別に「ラック」と呼んでいます。

はすば歯車

平歯車と同様に円周の外径に刃を持つ歯車です。平歯車との違いはその歯の形状が円周方向に対してねじれて形成される点です。

この形状を活かし、はすば歯車は平歯車では動力を伝達できなかった軸の回転方向に対して垂直な向きへの動力伝達が可能です。

かさ歯車

かさ歯車はその名の通り、傘の形状に似た構造を持つ歯車です。この歯車は回転力を垂直方向に変換することが可能で、車など多くの回転体を持つ機構に採用されています。

歯車の歯そのものは平歯車と同様にストレートの形状をしています。

スクリューギア

スクリューギアは、平行する二つのギアがシンクロしながら回転する構造のギアです。

 

最近ではこのギアと同じ構造をもったスクリュー式コンプレッサーなどが多く販売されています。スクリューコンプレッサーはギアの運動によって空気を圧縮するコンプレサーで、旧来のレシプロ式と比較して静音でコンパクトなつくりが特徴です。

この他にも

これ以外にも「スプライン」や「ウォーム」など数多くの歯車があり、それぞれに特徴的な構造を有しています。

 

歯車にとって重要なのは組み合わせ

数多くの歯車が存在する中で、すべての歯車に唯一共通している点が一つあります。

それは「歯車は必ず組み合わせて使用する」という点です。

その為、一見するとただ組み合わさっているように見える歯車の形状には様々な取り決めがあります。

モジュール

モジュールとは歯車の歯の大きさを表す言葉です。

簡単にいうと、歯車の直径に何枚の歯があるかが「モジュール」です。

モジュール=基準円直径÷歯の数で求めることができ、歯車の基本中の基本となる決まり事です。

作用角

歯車どうしがかみ合った際に、もっともかみ合いの割合が大きくなった時の、回転中心からの角度の事です。

インボリュート

こちらも歯車設計の基本となる物です。インボリュートと呼ばれる曲線に沿って歯車を設計する場合にもちいられます。

スプラインなどが代表的なインボリュート歯車です。

歯車を計測する

では、実際に製造された歯車の計測はどのように行われるのでしょうか?

歯車はその3次元的な要素の多さから、手作業で直接的に計測のできる箇所は非常に限られています。歯車の計測で最も有名なのが、歯車の歯と歯の距離を計測する「歯厚計測」です。

その際に使用するのが専用の測定子を持った「歯厚マイクロ」と呼ばれるマイクロメーターです。

写真のように、歯車の歯を規定の枚数挟み込んで計測することで、歯車の歯の厚みを計測しています。

この歯厚測定は、設計段階でモジュールや歯の形状をもとにあらかじめ導きだした寸法を確認する作業で、歯厚の測定のみで歯車の良し悪しを判断することはできません。

歯車の検査は非常に難しい

歯厚マイクロで測定のできる歯車の形状は平歯車など、一部の限られた形状のみです。

それ以外の多くの歯車は人間が手で計測できる場合は殆どありません。最近では三次元測定機などで繊細な計測が可能にはなりましたが、歯車を三次元計測することは稀です。

ではどのようにして正確な形状の歯車を製造するのでしょうか?その答えは形状の転写にあります。

多くの歯車はその製造に「ボブ」と呼ばれる専用の切削工具を使用します。専用工具は様々なギアの基準に適合するよう設計されています。

そうしたボブと製品素材を同時に回転させながら、あたかもギアがかみ合うような動作をしながら歯車を製造していきます。

そうした転写加工によって歯車を製造することで、歯車に要求される要素を満たしているのです。

まとめ

さて、いかがでしたか?

精度は求められるのに、簡単に計測をすることもままならない歯車の世界。

今後はさらに高精度な歯車の製造を求められる機会も多くなると考えられています。三次元測定機や形状測定機に代表される測定器はもちろん、赤外線やレーザー光線を使用した計測まで歯車を計測する技術は今後ますます広がっていくと考えられます。

歯車製造の際には、適切な計測方法を模索ししっかりとした寸法や形状の管理が求められます。

中古計測器、測定器を売買したい会社様へ

当サイトはAnyble(エニブル)株式会社が運営しております。 法人間で中古計測器、測定器を直接売買できるプラットフォーム【Ekuipp(エクイップ)】を提供しております。 興味がある会社様はまずは資料請求ください。
ライター紹介
ライタープロフィール
シバ

広島県出身の41歳。現在は製造業で管理職の傍ら執筆活動を行っている。実は調理師出身という経歴の持ち主。得意分野は工業系の専門分野からアウトドアクッキングまで幅広く対応可能。

計測器・測定器紹介
Ekuipp(エクイップ) Magazine