電子天びん・はかりについて Part 2

電子てんびん・はかり

以前のコラム「電子天びん・はかりについて」では、非常に小さな質量(1μg)から非常に大きな質量(数t)まで、幅広い範囲について着目してご紹介しました。

小さな質量から順に、1μg〜200g程度の範囲を高精度に測定できるのは「分析用電子天びん」、数100g〜数10kgの範囲を測定するには「電子天びん」が使われています。「電子はかり」と呼ばれるものもありますが、「天びん」よりも精度が低いものを「はかり」と呼ぶ傾向があります。数kg〜数t(トン)を測定するには「電子台はかり」というものを使います。

今回のコラムでは、1μg〜数10kgの範囲を測定できる「分析用電子天びん」、「電子天びん」と「電子はかり」について、もう少し詳しくご紹介したいと思います。

分析用電子天びん

分析用電子天びんでは、ひょう量(測定できる最大の質量)が数100g程度になりますが、最小表示がほとんどの場合で0.1mg〜0.01mgと非常に小さい質量を精度良く測定できることができます。また上皿の周りに風防が設置してあるのも特徴です。風防の右左と天井部分がスライドする窓になっていて、試料を出し入れできます。価格帯も高価で、10万円代以上になっています。

最近ではさらに最小表示が小さくなって1μgの電子天びんもあり、エー・アンド・デイ社より「マイクロ電子天びん/ミクロ電子天びん」という名前で発売されています。ちなみに価格はBM-20が80万円、BM-22が70万円(各税抜)となっています。

最小表示が1μgのマイクロ電子天秤(エー・アンド・デイ社製)BM-20/22

電子天びん・はかり

電子天びんとか電子はかりと呼ばれるものでは、ひょう量が数100gから数10kgまで測定できます。最小表示は一番小さいもので1mg、その場合のひょう量は数100gになります。他方最小表示は大きいものでは1g、その場合のひょう量は数10kg程度です。「ひょう量が小さいと最小表示も小さく、ひょう量が大きいと最小表示も大きい」ですが、これは電子天びん・はかりの一般的な特徴です。このタイプではほとんどのものに風防はついておらず、上皿がむき出しになっています。価格帯は、10万円前後で精度が高くなると高価になる傾向があります。

新光電子製 電子天びん CJ series/CJR series/CJ-Sseries

上の写真は、典型的な電子天びんの例です。新光電子製のCJ series/CJR series/CJ-Sseries、ひょう量が220g〜15kg、最小表示が0.001g~1g。価格は、ベーシックモデル(最小表示が0.1〜1g)で8〜9万円程度、高精度モデル(最小表示が0.001〜0.1g)で15〜16万円程度です。

特殊用途の電子天びん・その他

直示(ちょくじ)天びん

Equippサイトの「科学・環境分析機器」にも出品されています「島津製作所製 直示天びん L-200D」。最近ではほとんど目にしなくなった天びんです。ここでは直示天びんの使用方法について、簡単にご紹介します。

島津製作所製 直示天びん L-200 出典:千葉大学工学部展示室のブログ

ずいぶん昔の話になりますが、もともと天びんといえば、2つの皿があり、片方に資料を載せ、もう片方に分銅を載せて釣り合いの取れるところで質量を測定していました。この方法では質量の測定に数分以上かかってしまいます。直示天びんでは、分銅を乗せる代わりにつまみを回して内臓分銅を選び取って質量を測定します。つまみには、10g、1gと0.1gがあります。それ以下の桁はスクリーンに0.1mg(0.0001g)まで表示されます。

日本では戦後になってから島津製作所から発売されたそうですが、当時は「測定時間はわずか1分以内」というのがキャッチコピーになっていたそうです。最小表示が0.1mgですので、現在使われている「分析用電子天びん」に匹敵する精度があるわけです。測定時間も(熟れれば)短いですし、まだまだ現役で使うことができます。また教育現場などでもはかりの歴史や原理に触れることができて使うことができると思われます。さらには今ではほとんど販売されていない非常に貴重なはかりとしても、価値があると言えます。

直示天びんの使用方法の非常にわかりやすい動画が、千葉大学工学部展示室により紹介されています。
また直示天びんの原理や構造などは、同大ブログ国立研究開発法人技術総合研究所で詳しく紹介されています。

比重測定

はかりの上に水などの液体に試料を浸漬できる装置が組み込まれていて、簡単に比重を測定できます。比重を測定することにより、ゴムやプラスチックの品質管理などにも使用されています。

新光電子製 比重計DME-220H

上の写真の比重計は、新光電子製DME-220Hで、ひょう量は220gで最小表示は0.01g。税抜価格は218,000円となっています。

水分計

食品、製薬、化学、工業関係において品質管理や原材料のチェックのために、水分率の測定が必要とされる場合があります。水分計では、試料を加熱して水分を蒸発させることにより、資料に含まれる水分率を手軽に測定することができます。

島津製作所製 水分計MOC63u

上の写真の水分計は、島津製作所製MOC63uで、ひょう量は60gで最小表示は0.02g。税抜価格は19万円となっています。

取引・証明用

スーパーなどで肉や魚の重さを計量するはかり、健康診断などで使う体重計、病院や薬局で使用する薬調剤用のはかりなど、はかりを使ってものを売買する際に、その測った量から料金を決めることを「取引」と言います。取引の際には正確な測定が必要です。このような場合に、「取引・証明用」のはかりを使用しなくてはなりません。国の基準に適合したはかりには、下図にあるような証印のどちらかが、はかり側面にあるプレートに刻印されています。また「計量法」では「取引・証明」に使用するはかりの使用者には、2年ごとの定期検査を定められています。

検定証印

基準適合証印

その他

その他・特殊用途の電子天びんには、以上でご紹介したもの以外にも、

・動きのある動物でも体重が測定しやすい「動物天びん」
・部品の個数をすばやく数えることができる「個数はかり」
・ダイヤモンドをカラット単位で、真珠をもんめ単位で測定できる「宝石用はかり」
・ジャブジャブ洗える「防水タイプ」のはかり
・危険物取扱場所で使える「防爆タイプ」のはかり
・生コン・アスファルト土質試験用に使える「土木試験用はかり」

などなど、様々な用途の電子天びん・はかりがあります。

効率よい作業のために

1μg〜数10kgの範囲を測定できる「分析用電子天びん」、「電子天びん」と「電子はかり」について、以前のコラムより少し詳しく各機種の特徴についてご紹介しました。また特殊用途の天秤やはかりについても、様々な分野ごとに特化されたはかりがあることに着目しました。より効率よく作業を進めるために、ただ質量を計るだけでなく自分の目的に合う機種を選ぶのもいいかもしれませんね。

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ライター紹介
ライタープロフィール
藤井暢子

小規模農業従事者、野菜ソムリエプロ、野菜栽培士。京都生まれ。大阪市立大学理学部物理学科卒業、京都教育大学大学院修了、大阪大学大学院理学研究科物理(単位取得後卒業)、2004年博士(理学)。大阪大学産業科学研究所勤務を経て、化学系の研究開発会社に8年間勤務後、2012年より農業者へ転身。実父とともに、自然農、自然栽培、無肥料、自家採種をキーワードに京都郊外で野菜を作り、地元カフェや地方家庭などへ提供している。物理と化学の研究経験をもとに、畑の研究を新しく展開するべく日々研鑽中。生物物理の研究者の夫、5歳の一人息子と同居。

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