計測器、測定器紹介 vol. 11 – X線CT スキャン装置

計測器、測定器紹介 vol. 11 - X線CT スキャン装置

今回ご紹介するのはX線CT スキャン装置。医療用が身近な装置ですが、工業用ではいったいどのように使われるのでしょうか。

医療機関でよく見かけるX線検査装置

X線 検査 イメージ

ヴィルヘルム・コンラート・レントゲンが1895年に発見したことで有名な「X線」。みなさんの身近な例ですと胸部レントゲン検査などの人間ドックで検査に用いられていますね。
レントゲン検査を行うと、撮像された人体は透けて見えて骨や血管・臓器などが白黒でコントラストがつき、状態が丸わかりになります。
X線の発見のおかげで、解剖しなくても人体内部がわかるようになりました。

X線CTスキャン装置

ちょっと高度な治療を必要とする怪我や病気をされた場合、X線CTスキャンという検査を行うことがあります。医療番組などで見たことがあるかと思いますが、X線CTスキャンを行うと、人体が「立体的」に透けて見せることができます。
また、コントラストを調整することで骨だけの状態にしたり、血管だけの状態にしたり、臓器だけを浮き彫りにしたりすることもできます。
もちろん、脳も浮き彫りに…。つまり、高難度な手術を行う時に欠かせないのがX線CTスキャンなんですね!

X線CTスキャン装置は非破壊検査の最高峰の装置

X線 スマートフォン

医療用だけでなく、ものづくりの世界でもX線CTは非常に有用です。例えば、X線CTスキャンを、スマートフォンに使ってみるととても驚かれると思います。高密度な配線、高集積された部品、薄い筐体や液晶パネル…。
スマートフォンを分解しないとわからないような、精細な構造や部品などが、X線CTスキャンを用いることで破壊せずに確認することができます。
分解は「破壊検査」の一つです。破壊と言われるように、機能が戻らない検査方法です。
サンプルがひとつしかない…。
非常に高額な製品である…。
そんな場合、破壊試験は躊躇しますよね。
また、破壊検査するにしても内部構造を把握してからでないと、筐体を上手に外すことが出来ない時に中の部品を痛めてしまう可能性があります。つまり、状態を維持しながら分解することが難しいのです。
そんな時にもX線CTスキャンは有効です。筐体をどこからはずしたらよいか、部品配置はどうかなどを確認してから分解することが可能になります。

断面の撮像も可能

X線CTスキャン画像は立体表示だけでなく、断面を切ることも可能です。
断面を切ることによって詳細なパーツ間距離や筐体とのギャップなどを確認することができます。

X線CTの原理

原理 イメージ

次にX線CTの原理をみていきましょう!
X線とは、可視光(人間が目で色が確認できる光)より短波で紫外線(*1)よりも更に波長の短い電磁波です。

(*1)計測器、測定器紹介 vol. 1で紹介したとおり、可視光は、波長が長いほうから赤、橙、黄、緑、青、藍、紫色をしていて、赤より少し長い波長の光を赤外線、紫より少し短い波長の光を紫外線とよんでいます。

発生原理は、フィラメントを加熱させることで電子線を発生させ、モリブデンやタングステンなどで作られたターゲットに照射することでX線が発生します。
フィラメントにかける電圧を「管電圧」と言いますが、電圧が高いほど強度が強く、波長の短いX線が発生します。また、X線の波長が短いほど、透過率は高くなります。

有機物と重金属はちょっと苦手。。

実はX線が透過しやすいものは、透けすぎて見えにくくなります。
例えば、プラスチックはX線を透過しやすいので、コントラスト(撮像の明るさ)が明るくなりすぎてしまいます。プラスチックの構造を確認したい場合は、管電圧を下げるなどして透過率を抑制する必要があります。
一方、透過しやすさを逆に利用して、金属のみの撮像もできます。金属の中でも重金属、鉛や鉄などの金属はほとんどX線を透過しません。筐体全体が鉄でできていたりすると、内部構造が確認できないことが多いです。
管電圧を上げれば、重金属でも薄い筐体は透ける場合があります。逆に、金属は厚みがあるほど透過しにくくなります。

では、CTとは??

CTとはコンピューターによる断層撮影法(Computerized Tomography)のことです。

物体をX線で撮像する際に物体を360°回転させて逐次撮影し、コンピューターで合成することで立体的な画像を作ることができます。

撮像したもののコントラストを調整することによって、配線だけの立体画像を抜き出したりすることができるようになります。

高精度X線CTスキャン

ここまでくれば、X線CTの原理の概要はお分かりになったかと思います。少し応用ですが、高精度にX線の撮像をしたいというときの方法についても少し触れたいと思います。

ターゲットから発生したX線は四方八方に分散します。X線は光と同じ電磁波の一種です。
なので、レンズを通して収束することができます。
この場合のレンズというのは電場や磁場のことで、X線が通る管内に電場・磁場をかけることによって収束します。収束したX線は焦点ができ、焦点のあう部分の撮像は高精細になります。
この原理を用いてよりX線の撮像を高精細にした装置を、マイクロフォーカスX線CTスキャンと言います。焦点の合う部分が非常に微細になるため、CTスキャンの撮像範囲が狭くなることが特徴です。しかし、この技術のおかげで、ミクロン単位の撮像が可能になっております。

X線CTスキャンでわかること・できること

PCB ボード 部品

では工業用途としてX線CTスキャンで何ができるのでしょうか??

内部構造の把握

医療用と同じで、内部構造の把握が立体的に可能になります。
例えば、故障解析を行いたい場合はサンプル数が限られることが多いので、非破壊検査のためにX線CTスキャンを用いて構造を確認することができます。
例えば断線や剥離、腐食などが確認することができます。

断面観察による故障解析

X線CTスキャンは断面を切ることが可能です。

例えば、パッケージ部品下部の半田付けが外れていたり、クラックが入っているのを、断面観察することで可能になります。

2次元的に構造を確認することができるので、接着剤内部のボイド(気泡)の有無を確認できますし、剥離や接着剤のギャップ量などを非破壊で測長することが可能です。

CAEへのモデリング

最近のX線CTスキャン画像は立体的な3次元(3D)モデリングとしてアウトプットができます。
この3DモデルはCAE(Computer Aided Engineering:コンピューター上でシミュレーションすること)のモデルとしてそのまま用いることができます。
ですので、図面から作成した理想的なモデルではなく、実際に作られた製品そのものをモデルにしてシミュレーションすることが可能になります。

X線CTスキャンは中古?レンタル?

CTスキャンのないX線検査装置の場合でも、1000万円以上します。CTスキャン機能が付いていると5000万円以上、マイクロフォーカスX線CTスキャンの場合は1億円以上します。
非常に高額ですよね!
ですが、非破壊検査の最高峰であるX線CTスキャンは、非破壊にも関わらず非常に多くの情報を提供してくれます。また開発・試作費の低減のため試作サンプル数が減っている中、破壊検査が十分行得ない状態です。つまり、X線検査装置・X線CTスキャンはものづくりに欠かせない検査装置となってきています。
高額な装置なので、まずはレンタルや中古品のご検討をしてみてもいいかもしれません。一方、装置買い替えなどで余剰装置が出た場合、買取業者に連絡すれば高価買取も可能かもしれません。

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