計測器、測定器紹介 vol. 10 – 全有機体炭素計

計測器、測定器紹介 vol. 10 - 全有機体炭素計

工場から出る廃液による海や川・また土壌の汚染や赤潮など、ユーザーからの信頼が揺らいでいる時にこそ、ちゃんとした計測器できっちり検査結果を示したいですよね。
「弊社は環境汚染に寄与していない、きわめてクリーンな会社です」「CSR(企業の社会的責任)を果たしています」と。

「ところで、そもそも全有機体炭素計ってなに?」
という企業様も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、全有機体炭素計について、解説させて頂きたいと思います。

全有機体炭素ってなに?

全有機体炭素(TOC:Total Organic Carbon)とは、水中にある有機物の総量を、有機物の中に含まれる炭素の総量(炭素量)で表したものです。水の汚れを測る指標の1つになっています。
ちなみに、有機物とは、炭素を含む化合物のことです(*1)。

(*1)正確には炭素を含む化合物の”大部分”であり、炭素を含む化合物でも例外的に無機物としているものもあります。代表例は二酸化炭素です。

なぜ、有機物の量を測定する必要があるの?

排水 水質汚濁

有機物が増えすぎると水が汚れるからです。少しわかりづらいと思うので解説します。
皆さん微生物は知っていますよね?有機物はこの微生物によって分解されます。そして、微生物が有機物を分解するときに必要なものは何でしょうか?
酸素です。
微生物はこの酸素がある水中では頑張って有機物を分解するのです。酸素を使って分解する微生物を好気性微生物とよんでいます。
では、この有機物が増えすぎるとどうなるでしょうか??
そう、酸素が足りなくて有機物を分解できなくなります。困ってしまいますね。。
そして、分解できなくなると、水が汚れたり、臭くなったりしてしまうのです。(*2)
水中の有機物の量が、水質汚染の度合いをみる指標となることはご理解いただけたでしょうか?

(*2)正確に言うと、酸素がない状態だと嫌気性微生物が有機物を分解して、その際に発生するアンモニアとか硫化水素が悪臭の原因になっています。

水質汚染の指標には、他にどんなものがあるの?

海

全有機体炭素(TOC)以外にも水質汚染の指標があるので簡単にいくつかご紹介いたします。

BOD: 生物化学的酸素要求量(Biochemical Oxygen Demand)

川などから採水した水を密閉したガラス瓶に入れ、20℃で5日間暗所で培養したときに、水中の有機物が好気性微生物により分解される過程で消費される水中の酸素量を調べます。

COD: 化学的酸素要求量(Chemical Oxygen Demand)

試料水中の被酸化性物質量を一定の条件下で酸化剤により酸化し、その際使用した酸化剤の量から酸化に必要な酸素量を求めて換算したものです。BODと違って、30分~2時間程度で調べられます。ただ無機物による酸素要求量も含まれてしまいます。

どうやって有機物の量などを測定するの?方法は?

海 貝

次に、 全有機体炭素計の仕組みについて解説させて頂きます。全有機体の測定は、次の2つの方法を組み合わせて行います。

  • 有機物を分解する方法
  • 二酸化炭素を測定する方法

これら2つを組み合わせた、以下の3つの方法があります。

1. 紫外線酸化分解導電率測定方式

【測定方法】
まず紫外線を照射します。そこで有機物を酸化分解し、そのとき発生する二酸化炭素による導電率(電気伝導率ともいいます。被検体の電気の通しやすさを示す度合いのことです。)の変化量より、全有機炭素の量を算出、測定します。

【特徴】
試薬やパージガス(パージとは、空気による圧で動く機械・機構で、圧縮空気を排気することです)が不要なため、維持費が安くなります。
その代わり、導電率に上限があります(計測できる範囲は限られます)。
原理的に、装置をコンパクトな作りにできます。
感度が高く、また校正の安定性が高いです(頻繁な校正・調整が不要)。

2. 燃焼酸化非分散赤外線吸収方式

【測定方法】
まず、白金(プラチナ)製の触媒(化学変化を旺盛にさせるよう、促す物質のこと)を使い、高温かつ純度の高い空気、または酸素で有機物を燃焼させます。燃焼により発生した二酸化炭素(CO2)濃度をガス分析計で測定し、全有機体の量を測定します。

【特徴】
触媒の交換、および試薬やパージガスが必要なため、前述の1の方法に比べ、維持費は高くなります。
その分、1に比べ、比較的低濃度の検体から高濃度まで、広範に対応が可能です。
高温で燃やすため、粒子状の有機体炭素(分解されにくい有機物や、懸濁物(水中に漂っている、水に溶けないもの)など)も酸化可能、つまり検査可能です。

3. 湿式酸化非分散赤外線吸収方式

【測定方法】
全炭素(Total Carbon:TC)と、無機炭素(Inorganic Carbon)の測定値の差から求める方法(TC-IC 法)により測定を行います。まず、試薬によって無機炭素を取り除き、紫外線で有機物を分解します。その際に発生した二酸化炭素(CO2)をガス分析計で測定し、全有機体炭素の量を測定します。

【特徴】
試薬が必要なため、やや維持費がかかります。
その分、測定濃度範囲が広いです。
こういった測定器は、環境衛生検査受託会社などの水質検査を初め、飲料・食料・医薬品などのメーカーの開発・製造・品質管理課、研究機関・大学の農学部や応用化学、環境関連学部などで、幅広く使われています。

全有機体炭素計は中古?レンタル?

ここまで読んでいただけたならば、大まかな原理と用途はお分かりいただけたかと思います。
で、気になる値段なのですが、ハイエンドモデルで6百万円近くしたりします。。
中古、レンタルのオプションもありかもしれませんね。

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