車や自転車、冷蔵庫にエレベーターやエスカレーター。
私たちの生活の近くには様々な場所で、ベルトによって駆動している器機がたくさんあります。そんなベルトの寿命に大きく影響するのが、ベルトの張り具合。いわゆるベルトテンションです。
ベルトのテンションをコントロールすることはベルトの寿命を延ばすだけでなく、その機械の効率的な運転にも欠かせない大切な要素です。
今回はそんなベルトの生命線、ベルトテンションを計測することのできる「ベルトテンショナーメーター」についてご紹介します。
このページの目次
身近にあるベルトってどんなベルト?ベルトに種類ってあるの?
ベルトといっても実はその種類や大きさは様々で、用途や目的によって使われているベルトの種類もまちまちです。
まずは、ベルトのる種類とその主な用途についてご説明します。
Vベルト
最初にご紹介するのは工業用ベルトの中でもっとも一般的で使用用途の広い「Vベルト」です。
このベルトの専用のプーリーに加工されたV型の溝にはまり込む形で作用します。プーリーが回転し動力が伝達される状態になると、ベルトの斜辺部とプーリーのV溝が密着し、摩擦抵抗によって動力を伝達します。
材質は用途や仕様環境によって様々ありますが、基本的にはゴムと繊維から作られています。
もっとも一般的なベルトであり、車関係などのファンベルト用のベルトとしても使用されるなど、身近な環境でもよく目にするベルトです。
平ベルト
先ほどVベルトと対象的に、平面形状をしたベルトです。このベルトはベルト内側が相手のプーリーと接触し、そこに生じる摩擦を利用して動力の伝達などを行っています。
先ほどのVベルトと比較すると動力の伝達ロスが大きい為、大きなトルクのかかるような完了ではプーリーとベルトが滑ってしまい、動力を効率よく伝えることができません。
身近なところでは最近の軽量型自転車などで、旧来のチェーンにかわる動力伝達機構として平ベルトを使用したものが増えています。
タイミングベルト
タイミングベルトは平ベルトの内側にプーリーとかみ合う突起状の形状を有したベルトです。
このれまで紹介した2種類のベルトが、摩擦抵抗を利用して動力の伝達を行っている為どうしてもスリップによるロスがある構造であったのに対し、タイミングベルトはギアやチェーン式のように凹凸を利用して駆動する方式の為、動力の伝達ロスがほとんど発生しません。
また、ギア式と同じように毎回同じ位置でスリップすることなく回転するため、回転数の把握や動力側と作用側の同期が必要な機械などでは、タイミングベルトが必須となる機構も多くあります。
なぜベルトはテンション管理が必要なのか?
それでは、様々なベルトの使用環境においてどうしてテンションの管理が必要となるのでしょうか?
ここではベルト駆動の機構に発生するトラブルについてご紹介しながら、ベルトのテンション管理の必要性についてもご説明します。
ベルト駆動のトラブル、その最大の原因は?
ベルトのトラブルで最も多いのはベルトが切れることに起因するトラブルです。
ベルトの多くはゴムをベースとした素材であるため、どうしても切断というトラブルは付きものです。そんなベルト最大のトラブルである切断が起こてしまう原因は主に次の3つです。
- テンションの調整不足
- 劣化
- 異物による切断
このうち、異物による切断については不可抗力的な要因も大きいことから、事前に察知して対処することは難しい問題です。しかしそれ以外の2つについては事前に確認し対応することが可能です。
ベルトテンションの調整はどうやって行う?
多くのベルト駆動の機構では、ベルトのテンション調整するテンショナーと呼ばれる仕組みを有しています。ガイドローラーのように外部からもう一つローラーを押し当てる方式や、プーリー自体が移動してテンションを調整する方式など、その方式は様々です。
その際、ベルトが適正なテンションに張られていること確認するための測定器がベルトテンショナーメーターです。
ベルトテンショナーメーターの仕組みは?
ベルトテンショナーメーターの基本は上の絵の中の「F」の値を計測し、数値として表すことにあります。
一定のテンションで張られたベルトの反発力を計測することで、そのベルトが適正なテンションで張られているかを確認することができます。
各ベルトの適正なテンションは、そのベルトの使用環境や条件によって大きく左右されることから、一概に「この数値であればOK」と言える数値は存在しません。
設計の段階からベルトにかかる負荷を計算しベルトを選定、その後使用環境などを考慮して適正なテンションを導き出します。そうして導かれた適正なテンションを再現するために必要となるのがベルトテンショナーメーターです。
ベルトテンショナーメーターはどんな計器?
アナログ式の最も簡易的なテンションメーターです。写真の右側の部分を直接ベルトに押し当てそのまま押し込んでいくことで、目盛り部分でそのテンションを確認することができます。
作業にある程度の広さ(作業スペース)を要しますが、電源も必要なく重機のメンテナンスや現場での据え付け作業など幅広く使用することが可能です。
超音波を利用した非接触式のテンショナーメーターです。非接触且つ超音波方式の為、電源(電池式)は必要となりますが、アナログ式のような作業者による測定結果のばらつきを最小限に抑えることが可能です。
また、正確な数値をディスプレイで確認できるため、より正確なテンション調整が可能です。