光と超音波で微小血管を測定するアドバンテスト。皮膚がん予防、美白にも

光と超音波で微小血管を測定するアドバンテスト。皮膚がん予防、美白にも

計測機器メーカーの株式会社アドバンテストが、微小血管(毛細血管)の形と位置を測定する「in vivoイメージング技術」を東北大学と共同で開発しました。
ヒトの体内の血管は、最も太いものは500円硬貨ほどもありますが、微小血管になると数十マイクロメートルの細さになります。1マイクロメートルは100万分の1メートルです。

微小血管は皮膚の下にありますが、in vivoは光と超音波の「二刀流」で皮膚を傷つけずに画像化します。
in vivoで微小血管の状態がわかると、皮膚がん予防や美白促進などにつなげることができるといいます。

なぜ光と超音波の二刀流でなければならないのか

皮膚の下にある微小血管の状態を、なぜ光と超音波で測定することができるのでしょうか。
そしてなぜ、光と超音波の2つの技術が必要なのでしょうか。1つではなぜ足りないのでしょうか。

光で測定する、とは

in vivoの光による測定手法の正式名称は「光超音波イメージング法」といいます。ここに「超音波」という単語が入っていますが、in vivoでは光超音波とは別に超音波単体も利用するのです。超音波単体の技術については次の章で解説します。

人体に特殊な光を照射すると、血液の一部の成分が光のエネルギーを吸収します。エネルギーを吸収した血液の成分は、超音波を発生します。光超音波イメージング法では、血液の成分が発生した超音波を測定し、その測定データを画像データに置き換え、画像をつくります。

血液の成分はもちろん微小血管のなかに入っているので、血液の成分を画像化できれば、微小血管を画像化したことになるのです。例えば、ペットボトルのなかのジュースの状態を画像化できれば、ペットボトルの形を画像化できるのと同じことです。

in vivoで微小血管を測定するために光を使うのは、人体への侵襲(しんしゅう)を回避するためです。光は、人に当てても傷がつかないことから、非侵襲的手法といいます。
侵襲は医療現場で多用される言葉で、「体を傷つける、人に負担を与える」といった意味です。
例えばメスで皮膚を切って顕微鏡で微小血管を確認することは、視認できるので確実な測定方法ですが、侵襲が大きいため対象者のデメリットが大きくなってしまいます。そうなると「微小血管を測定しないほうがよい」ということになってしまうのです。

ところが光を使って皮膚の下の微小血管を測定できれば対象者を傷つけないので、測定するデメリットはなく、メリットだけが残ります。

ただ光超音波イメージング法は、微小血管の形は画像化できるのですが、それが皮膚内のどの場所にあるか特定できないのです。
そこでin vivoは、超音波を併用することにしたのです。

超音波測定

超音波で測定する、とは

 

測定

超音波測定は、実は珍しい技術ではありません。妊婦の胎内の赤ちゃんの様子は、超音波検査でわかります。超音波を妊婦のお腹の上から当てるだけで、母体も赤ちゃんも傷つけることなく、赤ちゃんの画像をつくることができます。
超音波検査は内科でも行われていて、肝臓や腎臓や膵臓などを映し出します。

超音波は音の一種ですが、振動数が毎秒2万ヘルツ以上に達するため、人の耳で聴くことはできません。
超音波(つまり音)と光は、A地点からB地点へと「飛ぶ」点は同じですが、そのほかはかなり違います。
音が飛ぶには媒体が必要になります。媒体とは、空気、固体、液体などのことをいい、音はこれらが詰まった空間を飛ぶことができます。
媒体がない状態のことを真空といい、音は(つまり超音波も)真空内では伝わりません。

ところが光は真空内でも伝わります。ただ光は、透明な状態でないと伝わりません。例えば、大きな鉄の塊のなかは、光は伝わりません。

超音波の話に戻ります。
超音波には、発射されると直進し、物体に衝突すると反射する性質があります。超音波検査機器は、反射した超音波を拾い、その反射超音波をデータ化し、そのデータを画像データに変換して、衝突した物体の画像をつくっています。
これは、衝突する物体の形状によって反射超音波に違いが出ることを利用しています。

普通の音ではなく超音波を使うのは、超音波のほうが「しっかり確実に直進する」からです。
また超音波も光同様、非侵襲的な手法です。

先ほどみたとおり、光超音波イメージング法は、微小血管の形を画像化できても、微小血管がどの場所にあるのか特定できませんでした。
しかし超音波なら場所を特定できます。
そこでin vivoは「光超音波」と「超音波」を同時に照射して、そして「反射する光超音波」と「反射する超音波」を同時測定して、微小血管の画像と場所を示すのです。

ここで、「超音波は画像も場所も示すことができるのではないか」という疑問がわくと思います。確かに胎内の赤ちゃんの姿も、肝臓も腎臓も、超音波検査で画像と場所がわかります。
しかしin vivoが対象とするのは、数十マイクロメートルの細さの微小血管です。細すぎたり小さすぎたりする超音波では詳細を描写できないので、光の力を借りたわけです。

微小血管の位置と状態がわかると皮膚がん予防や美白に役立つ

光と超音波の二刀流を駆使してでも測定する必要がある微小血管とは、どのような存在なのでしょうか。
微小血管を含む血管は、人体の数十兆個の細胞1つひとつに栄養と酸素を送り、細胞から二酸化炭素と老廃物を受け取る器官です。
物流に例えると、鉄道貨物や船便は、大動脈などの大きな血管です。個人の住宅や企業の事務所に荷物を届ける宅配便が、微小血管です。
微小血管は直接1つひとつに細胞に接するのです。

皮膚がんのひとつに、基底細胞がんがあります。このがんは毛の組織である毛嚢(もうのう)から発生します。
この基底細胞がんが進行するとき、微小血管が拡張する現象が起きることがあります。
したがってin vivoで微小血管の様子を観察できると、基底細胞がんの兆候を検知できるかもしれないのです。

また美白や肌美容の領域では、「体の老化=肌の老化=微小血管の老化」という考えがあります。
微小血管は弱いので、加齢とともに消えていく性質があります。
血管は心臓から離れるほど細くなり、もろくなります。そして心臓から最も離れた場所こそ、皮膚(肌)なのです。
微小血管が消えると皮膚の細胞に酸素や栄養が届かなくなり、そして皮膚の細胞の老廃物は排出されずに溜まってしまいます。
微小血管が消えてしまうのは、体内の血流が滞っているからと考えられています。in vivoで微小血管が消えていることがわかれば、血流を回復させる治療や措置に取りかかることができ美白を取り戻すことが期待できます。

まとめ~アドバンテストは人を測る会社になった

微小血管測定の「in vivoイメージング技術」を開発した株式会社アドバンテストは、東京・丸の内に本社を置く、資本金324億円の東証一部上場企業です。
事業内容は、半導体、部品テストシステム、メカトロニクスなどです。連結売上高は2,000億円を突破し(2018年3月期)、従業員は約5,000人です。

アドバンテストは公式ホームページで、自社のことを「計測の企業、測る企業」と述べています。アドバンテストがビジネスにしてきた半導体や部品は工業製品ですが、同社はin vivoでついに人を測る会社になったわけです。

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ライター紹介
ライタープロフィール
アサオカミツヒサ

フリーライター、ライティング事務所office Howardsend代表。北海道大学法学部を卒業後、鉄鋼メーカー、マスコミ、病院広報などを経て2017年独立。取材した分野は、地方政治、地方経済、過疎化、ワーキングプアなど。現在の執筆領域はIoT、AI、産業一般、人事制度、金融、最新抗がん剤、生活習慣病治療など。趣味はクルマとバイクと登山。北海道釧路市在住。

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