5G基地局の性能テストで沖縄の企業が注目

打ち合わせ

スマホの新時代「5G」が間もなく私たちの生活に到来します。5Gは第5世代移動通信システムといい、インターネットなどの通信利用が格段に快適になります。
しかし、「随分前から5Gという言葉を聞くが、なぜ実用化に手間取っているのか」と感じている方もいるのではないでしょうか。世界で初めて5G対応のスマホが使えるようになったのは2019年4月で、その場所はアメリカのシカゴとミネアポリスの2都市だけです。
5G導入に時間がかかっている理由はいくつかありますが、「携帯基地局の準備が大変」であることもそのひとつです。
その携帯基地局の準備を効率化する技術を、沖縄の通信計測器開発の株式会社マグナデザインネットが開発しました。
1台1億円もする基地局性能テスト機器「端末シミュレーター」を紹介します。

5Gとは

現行のスマホは4GやLTEという世代になります。5Gに進化すると、通信の「超高速、大容量、低遅延、多接続、高信頼」が実現します。
スマホやパソコンやタブレットのユーザーのなかには、今でも十分便利で、支障を感じたことがない、という人もいるでしょう。
日常生活のなかでスマホを使っているだけであれば、もしかしたら5Gに切り替わってもその「すごさ」は実感できないかもしれません。
しかし4Gから5Gへの進化は、固定電話から携帯電話に切り替わったときや、携帯電話からスマホに進化したときの「劇的な変化」に匹敵するといわれています。

5Gが始まっても日常で使うスマホがそれほど変わらないのに、なぜ劇的な変化が訪れるのでしょうか。それは、5Gになると、AI(人工知能)、IoT(モノとネットの接続)、自動運転車、ロボット、バーチャルリアリティ、ゲームなどが、格段に進化するからです。

AIやIoTや自動運転車などの最新技術の開発者たちは今、「通信が遅い」「大容量データを送信できない」といった不満を持っているのです。5Gによって開発者たちのこうしたフラストレーションが解消されると、一気に開発が進むはずです。
また5Gになると、4Gでは提供できなかったサービスを楽々提供できるようになります。したがって5G関連のサービスが次々開発されるでしょう。
5Gは「未来づくり」に欠かせないインフラ整備であり、「未来そのもの」なのです。

5Gが簡単に導入できない理由

次に、5Gが簡単に導入できない理由をみていきます。
5G対応のスマホをつくることは、「5G導入」の一部の作業にすぎません。「5G導入」でより重要なのは環境整備です。
4Gは低い周波数帯だけを使っているのですが、5Gと呼ばれるだけの性能を引き出すにはそれだけでは足りず、広帯域で超高速通信ができるミリ波帯が必要になります。そのためには、携帯基地局を高密度で整備する必要があります。

例えば、新幹線の線路にリニアモーターカーを走らせることはできません。リニアモーターカーを走らせるには、リニアモーターカーの車両を開発するだけでなく、専用の線路をつくらなければなりません。
5Gもこれに似ています。5G専用のスマホが必要ですし、携帯基地局を5G用にアップデートする必要があります。

その携帯基地局がどれほどあるかというと、ドコモは202,400基、auは119,100基、ソフトバンクは126,500基を保有しています。これらを含め、国内には574,500基もの携帯基地局があります(2018年8月現在)。

そして携帯基地局のアップデートも簡単ではありません。なぜならスマホやタブレットなどの端末で5Gに対応している製品がほとんどつくられていないからです。
つまり、携帯基地局を5G対応にしようとしている通信会社は、5G端末を使って5G設備の試験を行うことができないのです。
つまり5G開発の世界では今、リニアモーターカー車両がないままリニアモーターカーの線路をつくっているようなものなのです。

そこで沖縄のマグナデザインネットが開発した基地局性能テスト機器「端末シミュレーター」が必要になるのです。

1台1億円の基地局性能テスト機器「端末シミュレーター」とは

基地局性能テスト機器「端末シミュレーター」とは、5G対応の端末ように動くもの、です。
携帯基地局を5G対応に整備したとき、この端末シミュレーターを使えば、5G端末で問題なく動くかどうかがわかります。
端末シミュレーターと携帯基地局を結ぶことで、通信速度試験やパラメーター調整試験を行うことができ、さらに通信機能やシステムの稼働状況も確認できます。

端末シミュレーターはこれまで、アメリカの1社とヨーロッパの1社の計2社しかつくっていませんでした。そしてアメリカ製が世界市場の90%を占めている状態です。
沖縄のマグナデザインネットが開発した端末シミュレーターは早速、国内の携帯大手(キャリア)が購入しました。また、ヨーロッパの携帯基地局メーカーからも引き合いがきているそうです。
マグナデザインネットの端末シミュレーターの価格は、1台1億円ほどです。

こうした背景を知ると、なぜパナソニックや富士通などの大手が端末シミュレーターをつくらないのか、と感じるかもしれません。
それは端末シミュレーター市場がとても小さいからです。端末シミュレーターは携帯基地局の性能チェックしかできません。5G対応のスマホが出回ればそれを使って携帯基地局の整備を進めることができますし、そもそも携帯基地局の5G化が済んでしまえば必要なくなります。
端末シミュレーターづくりは、高い技術力を持つ小さな企業のほうが適しているわけです。

マグナデザインネットとは

沖縄県那覇市に本社を置く株式会社マグナデザインネットは2001年、琉球大学工学部の教授が発起人となって設立されたベンチャー企業です。
事業内容は、モバイル通信とデジタル放送に関わる最先端技術の開発で、システムや組込機器をつくっています。

まとめ~地方の企業も未来をつくる

5Gの実現にはまだまだいくつもの課題があります。携帯基地局だけでなく、スマホなどの端末の開発にも手間取っている模様です。冒頭で、5Gスマホが世界で最初に使えるようになったのは2019年4月と紹介しましたが、この時点で使える5Gスマホはモトローラという会社の1機種だけです。アップルのiPhoneでもサムスンのギャラクシーでもありません。
5Gの実用化にはまだまだ「やるべきこと」がたくさんあり、そのやるべきことは「細かいこと」が多いのです。そのため小さな会社であっても、高い技術力があれば参入できるわけです。

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ライター紹介
ライタープロフィール
アサオカミツヒサ

フリーライター、ライティング事務所office Howardsend代表。北海道大学法学部を卒業後、鉄鋼メーカー、マスコミ、病院広報などを経て2017年独立。取材した分野は、地方政治、地方経済、過疎化、ワーキングプアなど。現在の執筆領域はIoT、AI、産業一般、人事制度、金融、最新抗がん剤、生活習慣病治療など。趣味はクルマとバイクと登山。北海道釧路市在住。

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