本日の記事では、プレス機械についてまとめていきます。
今世紀、さまざまな分野で省資源・省エネルギーの「地球にもやさしい」技術として
注目されているプレス加工。世界に誇れる日本の高い技術でもあります。
そんなプレス加工を行うプレス機械の概要や仕組みについて、
おさらいしていきましょう。
プレス加工とは?
そもそも、プレス加工とはどんな加工方法なのでしょうか。
定義としては…
機械の押し付ける力で、材料を曲げたり伸ばしたりして金型のサイズどおりに変形させる方法です。
その手順は…
プレス機械の中へ一対になった工具である金型(かながた)を取り付け、
その間に金属の素材を入れて圧力を加えます。
大きな圧力をかけることにより、素材に金型の形状が写し取られ、成形加工されるのです。
大きなものでは3000t以上もの圧力をかけます。
プレス加工は、短時間で連続して同じものを生産できるため大量生産に適していると言えます。自動車産業など世界中の様々な現場で活用されているメジャーな加工方法になります。
プレス加工製品の例
プレス技術は、多種多様な製品作りに活用されており、一度の工程で製作できる単純な形状の製品から、幾度もの工程を必要とする高度な加工製品まで実に様々。
この多様性から、プレス加工が利用される分野も多岐に渡っているのです。
ざっと挙げただけでも、自動車関連、家電、HDDなどの電子部品、医療器具やキッチン用品まで。実に多種多様であることが分かります。
お金(硬貨)もプレス技術で加工されるものの代表的な例です。
高度なプレス技術が産業を支える
近年の自動車産業では、環境配慮の取り組みが非常に重要視されており、燃費を上げるための製品改良開発に各社力を入れています。その中で、使われる素材にも加工に高度なレベルが要求されています。
必然的に、プレス技術にもより難しいレベルが求められている現状があり、現場では目覚ましい技術進歩が行われています。それに伴って、従来プレス加工では対応できなかった加工素材も成形可能となってきました。
例えば、ハイブリッドカー用のモータに使用される電極は、非常に精密で繊細な加工技術を用い、プレス機械で生産が行われています。
プレス加工の技術の向上が、製品全体の高性能化に貢献しているのです。
プレス機械のメリットとデメリットは?
プレス機械の加工のメリットは、切削作業のような切断部分や切り屑が出にくいため、素材の歩留まりが良いという点。そして、上下から圧力をかけるというシンプルな方法は、スピーディーで生産性が高く、自動化を進めやすいことも特筆すべきメリットです。
デメリットとして挙げられるのは、金型の制作コストやノウハウが必要であることや、安全面の配慮がより必要とされることです。
プレス機械の種類は?
プレス機械は大きく分けると「機械プレス」と「液圧プレス」があります。
■機械プレス
電動モータの回転運動が変換されてプレス加工を行う。
生産速度は速め。ストローク:あまり長くできず調整が難しい。か圧力の調整が難しく、保持もできない。保守が液圧プレスより簡単。
■液圧プレス
水圧式や油圧式のプレス機。水や油の圧力を利用して加工を行う。
生産速度が遅め。ストローク:比較的長めにでき、調整が容易。
圧力の調整や保持が可能。保守に手間がかかる。
プレス機械の安全対策について
プレス機械は比較的、単純な構造であることから作業中の油断を招くこともあり、事故の危険があることでも知られています。安全対策についてしっかりと押さえておくことが大切です。
-自主的な安全点検を習慣づける
-安全装置に異常がないか随時チェックする
-作業従事者への安全教育の徹底
労働安全衛生法に定められた内容はもちろんのこと、ここの現場での安全面に関する体制づくりが必要になります。
プレス機械の労働安全衛生法について詳しくは、下記のページで確認できます。
一般社団法人 日本鍛圧機械工業会|プレス機械の労働安全衛生法一覧表
(https://j-fma.or.jp/legal_commentary/industrial-safety-and-health-law-list-of-press-machine)
終わりに
今回は、多種多様な産業で欠かせない技術であるプレス加工と、それを行うプレス機械についてまとめました。
大量かつスピーディーに製品や部品を量産できることから、世界中で活用されているメジャーな加工技術。用途や目的に合わせて、能力や形状を選定することで分野を問わずこれまでも活用されてきました。
さらに、現在ではサステナブルな観点からも、需要は増加しています。たゆまぬ技術進歩によって産業を支えていく、今後も期待値の高い技術であることが分かります。