ストラディバリなどヴァイオリン名器の”音色”を測定するには?

ヴァイオリンイメージ画像

前置き 〜弦楽器の「音色」〜

弦楽器は弦の振動が空気に伝わり音を発生させます。ヴァイオリンやビオラは、擦弦楽器と言って、弦を弓でこすることで音を出す楽器になります。

音の基本的な性質を表す、音の3 要素は「大きさ」「高さ」「音色」ですが、この中でも特に「音色」は非常に複雑なものと言えます。私たちが通常、一つの音だと思って聞いている楽器の音というのは、基本となる音のほかに、成分として複数の高さ、すなわち周波数の音を含んでいるのです。それらの異なる周波数の音の割合から生まれる性質が「音色」です。

一般的には音を波長ごとに分ける周波数解析から音の成分を分析することができます。音や楽器を科学的に測定することで、演奏を聴いて「美しい音色」「素晴らしい楽器」と感じることの裏付けがより深くできるかもしれません。

オールド・ヴァイオリン 名器はなぜ違うのか?

世界三大バイオリン

数億円もの価値を持っているイタリアのクレモナが生んだ世界3大ヴァイオリンというものがあります。すなわち17~18世紀の楽器製作者アマティ、ストラディヴァリ、グァルネリが作った楽器です。これらの時代に作られたヴァイオリンは特にオールド・ヴァイオリンと呼ばれ、非常に音が良いといわれ、外観の素晴らしさや美しさ、貫禄といったものも身にまとっています。何百年も前に作られたヴァイオリンが名器と称され、人々を魅了する音を今現在でも奏でるという事実に驚きます。

”音”を客観的に測定すると

このような特別なヴァイオリンはどこが違うのでしょうか?

その違いを、”測定”により客観的に証明した例があります。

マサチューセッツ工科大学の音響技師および流体力学者チームによりクレモナの黄金時代に作られたヴァイオリンを何百本も測定しての考察が行われたことがあります。その調査では、名器には形状や材質の厚みに特徴があることが判明しました。

ストラディヴァリなど製作者が生み出した名器の音響効果を調査するために、17~18世紀当時のクレモナのヴァイオリンや図面などの資料コレクションが集められました。

X線・CTスキャン検査、音響共鳴測定、楽器の寸法比較など一通りの測定が行われ、ヴァイオリンの「形状」と、「”f字孔”の形と長さ」が、ヴァイオリンが奏でる音の決め手になっていることが分かりました。

f字孔はヴァイオリンのボディー部分に作られる空気の通り穴で、細長い形状が多一般的。スペースを取り過ぎないように計算され、さらに、「丸型の響孔」よりも、効率的に音を生み出せるものです。

次に、ヴァイオリンの裏板は音響出力に深く関連していて、音を出す際に本体が反応して、空気振動によって材質が微細に膨張すると考えられます。このことから裏板が厚いほうがより音質を高めるのではないかと推論できました。

世界3大ヴァイオリンは年代が古いものからアマティ、ストラディヴァリ、グァルネリとなりますが、後年になるにつれて”f字孔”は長く伸び、裏板が厚くなっているのです。

ただし、製作上の実際を考えると、f字孔の進化は計算した設計ではなく、偶然の産物だったようです。恐らく当時のヴァイオリン制作者は驚異的によい耳を持っており、偶然生まれた変化であっても、より良い音が出る形状を選択していったのではないかと考察されました。

その結果が、現代に「数億円の価値がある」と認められているヴァイオリンとして残っている、というわけです。

数百年前と同じ名器は作れるのか

それでは、現代のマイスター達が仮にストラディヴァリとミクロ単位までまったく同じ構造でのヴィイオリンを製作したとしたら、同じ「音色」を出せるのでしょうか?

恐らく出せないでしょう。

これについては、多くの専門家の考えから、本体の木材の性質に大きく起因するようです。

オールド・ヴァイオリンの本体の木は製作後300~400年もの年月が経過していて、そのような木材の物性値と振動・音響特性の関わりは無視できないことになります。

職人の腕と、素材、そして製作の歴史が積み重ねてきたデザインそして演奏家。すべての要素が組み合わることで類まれな名演奏に出会えるのです。

現在でもクレモナでは、プロの製作家が活動しており、クレモナの国際的な製作学校には世界10から多くの人が学びに来ます。何百年後の”素晴らしい音色”が続々と生まれているのかもしれませんね。

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Curumi

京都大学文学部卒、企業の人事部や編集部を経て現在は在宅でライティングを中心に活動。企業広告やファッション等さまざまなジャンルに取り組んでおります。関西在住、小学生男子育児に日々奮闘中です。

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