日本のものづくりの現場で欠かすことのできないものの一つに、様々な非破壊検査があります。
非破壊検査は製品を破壊することなく、その製品の健全性を確認できることから近年では破壊検査以上に需要のある検査方法となっています。
そんな様々な非破壊検査に使用する薬剤や試験資材を提供している会社、それが今回ご紹介する「タセト」です。
元々は溶接部材の販売からスタートし、現在では非破壊検査の試薬の販売でも確固たる地位を気づいたタセトの経営方針や、今後の展望についてもご紹介します。
タセトの原点は?
株式会社タセトの原点は、現在の主力であるケミカル製品とは大きく離れた特殊溶接資材を扱う会社がその発端です。
当時の社名「高田船底塗料製造所」の頭文字をとって、株式会社タセトと名づけられました。前身の業態からタセトはいつしか、特殊鋼の溶接というニッチな分野に傾倒していきます。
SS400などに代表される溶接用鋼材は一般的に低炭素で溶接性の良い素材です。
タセトが本業としたのはそうした溶接性の良い素材ではなく、様々な化合物を含有する特殊鋼の溶接でした。一般的に鋼材は、そこに含まれる鉱物や元素が複雑になればなるほどに、溶接は難しくなると言われています。
特に炭素などの元素は含有量が0.3%を超えると、余熱や後熱などのしっかりとした管理の基、溶接を行う必要があります。
その為、S45Cなどの高炭素鋼やSCMなどのようにモリブデンやニッケルなどの鉱物を含有する特殊鋼は溶接性の悪い素材ということができます。
タセトはそうした他社の嫌う特殊鋼の溶接技術の確立や、その溶接に使用する機材・素材の供給といういわば溶接業界としてはニッチな分野に特化することで、多くの大手企業を相手に確固たる地位を築いていきました。
その特殊性は国内の溶接資材供給の最大手、神戸製鋼をもってしても一目を置く存在として注目を集めていました。
2004年にはその技術を乞われる形で神戸製鋼グループの傘下に入りますが、それは単なる吸収合併ではなくタセトの持つ特殊技術を神戸製鋼がどうしても手中にしたいとの思惑から持ち掛けられた傘下入りでした。
溶接資材販売からアフター製品の販売まで
またタセトは、単に特殊鋼の溶接技術だけでなく、その溶接の健全性を自ら証明するため非破壊試験の検査薬の取り扱いにも進出していきます。
特殊鋼の溶接で培った、金属にたいする様々な知識と見分を活かし溶接箇所の検査に使用する薬剤の開発と販売にいたります。
自身の得意とする分野において、材料の供給から施工法・検査法までを一貫して提案できることで、世の中のタセトに対する需要はさらに拡大していきます。
また、国内でも同業他社が二の足を踏んでいた、ISOの取得に関しても他者に先駆け早い段階から導入を戦前していました。
自身の持つ専門性を表に出し、ISOという品質を後ろ建てにタセトは躍進を続けました。
なぜ、タセトが選ばれるのか?
特殊鋼の溶接で言えば国内では神戸製鋼、海外ではヘインズなどがシャアの大半を占めています。また、検査資材においても国内はもとより、海外にも非常に多くの専用メーカーが存在します。
日本国内の小さな一企業の溶接技術や検査資材がどうしてここまでもてはやされるのでしょうか?
その秘密は、実際の施工やその後の熱処理など、複合的な観点によって生見出される製品のクオリティーもさることながら、タセトの掲げる「ユーザーの求めるモノ作り」の精神に由来しています。
実際の現場では、溶接資材・溶接法案・検査法のそれぞれに必要な資材の調達は、別々の専業メーカーに委ねられることが一般的です。
しかし、その場合トラブルが発生した場合の検証にそれぞれの見解の違いが生じるのが常です。しかしタセトのようにワンストップですべてを提供できる環境の会社であれば、問題発覚時の対応も速やか且つ効率的な対応にも期待が持てます。
より高度に複雑化の一途をたどる現代のものつくりにおいては、不適合の検証や是正の水平展開は大きな課題です。
そうした課題を一手に引き受けることのできるタセトは、現代のものつくりにおいては最善のパートナーともいえる企業です。
タセトの描く、今後の展望は?
タセトのHPには次のような言葉が掲載されています。
「お客さま第一主義」
そして、その姿勢を堅持するとの決意も同時に掲載されています。
溶接資材・法案のパイオニアであったタセトがお客様の要望に応えるべくケミカル製品に進出したように、タセトはこれからもユーザーの求めに応じて、様々な挑戦を続けていくことでしょう。