「ニオイ」を測るビジネスが大盛況

「ニオイ」を測るビジネスが大盛況

世の中のあらゆる迷惑に「ハラスメント」がつけられる時代です。そしてとうとう、ニオイにもつけられてしまいました。そうです、スメルハラスメントです。
加齢臭と口臭はスメルハラスメントの代表格で、職場や学校などでは撲滅運動の標的になっています。人々はニオイにとても敏感になり、自分のニオイも他人もニオイも消そうと懸命です。
しかしニオイは見ることができません。同じ場所にいて同じニオイをかいでいながら、「くさい」という人と、「気にならない」という人がいます。
そのため、ニオイ対策をするにはニオイを客観的に測定しなければなりません。
メーカーの開発競争も激化していて「ニオイ測定ビジネス」が活況を呈しています。

そもそもニオイとは

匂い 大気中

ニオイには次のような特徴があります。

  • ニオイの元は、大気中に浮遊する物質である
  • その物質は主に、分子量が3,000以下の有機物である
  • その物質は、水や脂質に溶ける性質がある
  • 通常、複数のニオイ物質がニオイを構成している

ニオイは酸素や二酸化炭素や窒素のような空気ではなく、固体としての物質なのです。

ニオイの量や強さはどう測るのか

におい イメージ

ニオイの測定には、厳格に測定する方法と感覚で測定する方法の2種類があります。

厳格に測定する成分濃度表示法

有害物質が充満して厳密にニオイ測定をしなければならないときは、成分濃度表示法という方法でニオイ物質を測ります。ガスクロマトグラフィ・分光光度計という機器を使い、ppmという単位でニオイの量や強さを表示します。
ただ成分濃度表示法を使うには専門的な知識が必要で、さらにコストもかさみます。
また、「このニオイ成分を測定する」というターゲットが決まっていないと狙いとおりの測定ができません。そこで一般的なニオイの測定では、感覚で測定します。

感覚で測定する嗅覚測定法

一般的なニオイの測定は何を使うのかというと「人の鼻の感覚」つまり嗅覚です。
「感覚で測る」と聞くと、「感覚は人それぞれ違うから、測定値に客観性がないのではないか」という疑問がわくと思います。しかし複数人のニオイの専門家が繰り返し測定することで、客観データとして用いることができるレベルに高めることができます。
人の嗅覚に頼る方法を嗅覚測定法といい、次の3つの測定方法があります。
<臭気強度表示法>は、人がニオイをかいで、「0:無臭」から「5:強烈なニオイ」までの6段階の臭気強度で評価する方法です。臭気強度表示法は悪臭防止法で規制するときの基準にもなっています。
<快・不快度表示法>は、よいニオイと悪いニオイを区別する測定法です。よいニオイを「匂い」と書き、悪いニオイを「臭い」と表記するように、人々が除去しなければならいのは悪いニオイです。よいニオイはむしろ放置しておいたほうが環境によい効果をもたらします。そこで「-4:極端に不快」~「0:快でも不快でもない」~「+4:極端に快」までの9段階の快・不快度でニオイを評価します。
<臭気指数表示法>は、ニオイの量や強さに注目しない点が、前2者と異なります。臭気指数表示法では、「あるニオイを、無臭の清浄な空気で希釈して無臭にするまでに、何倍の無臭の清浄な空気が必要か」を測るのです。例えば「臭気指数100」とは「原因のニオイ(原臭)を無臭にするには原臭の100倍の無臭の清浄な空気が必要」という意味です。

感覚を機械にしたニオイセンサの原理

センサー 電気 イメージ

嗅覚測定法は人の嗅覚に頼る測定法なので、ニオイのプロを養成する必要があります。そこで、機械に嗅覚測定法をさせることはできないかと考えて生まれたのが、ニオイセンサです。
ニオイセンサも機械ですが、先ほど紹介した「ガスクロマトグラフィ・分光光度計」とはまったく異なる方法で測定します。そのため、ニオイセンサでの測定値にはppmなどの単位がつかず、嗅覚測定法で用いられる臭気強度や臭気指数などの「単位なしの数字」で表示されます。

ニオイ物質が付着すると電気が通りやすくなる性質を利用して測る

ニオイを測定するニオイセンサの原理を解説します。ニオイセンサは金属酸化物にニオイ物質が付着する性質を利用します。極細の白金のワイヤーをバネ状にして、そこに金属酸化物を吹き付けます。

白金は電気をよく通しますが、金属酸化物を吹き付けると電気の流れが悪くなります。この「電気が流れることは流れるけど流れにくくなっている」状態の物質のことを半導体といいます。金属酸化物を吹き付けた白金ワイヤーのことを「金属酸化物半導体」と呼びます。

金属酸化物半導体は、金属酸化物の部分にニオイ物質が付着すると電気が流れやすくなる性質があります。そこで、金属酸化物半導体に電気を流した状態でニオイが発生している場所に持っていくと、電気の流れが変わるので、その変化を測定することでニオイ物質の量がわかるのです。

ニオイセンサはどこに使われるのか

新コスモス電機株式会社(本社大阪市)がつくっているニオイセンサ「XP-329Ⅲ」は、さまざまな工場で使われています。
例えば芳香剤メーカーの工場なら、芳香剤や消臭剤の効果がどれくらい持続するかを、XP-329Ⅲで測定することができます。また食品メーカーなら、レトルトカレーに加える香辛料の強さをニオイセンサで測ることができます。弁当工場であれば、揚げ物をつくるサラダ油の劣化度もニオイでわかるので、ニオイセンサが活躍します。
化粧品メーカーもXP-329Ⅲで香水の強さを知ることができます。

島津製作所の「におい識別装置FF-2020」

株式会社島津製作所(本社・京都市)の「におい識別装置FF-2020」はさらにパワーアップしたセンサです。
これを使うと、例えば市販されているカツオだしのメーカーを特定することも可能です。またお茶の等級分けをすることもできますし、お茶の産地を当てることもできます。そのほかにもヨーグルトの発酵具合や、野菜ジュースの中のフルーツ果汁の割合、烏龍茶の中に混入した緑茶の量までわかるのです。

「口臭ガス測定システム BREAXi(ブレキシィ)」

株式会社Eテック(本社・神戸市)は口臭の測定に特化した「口臭ガス測定システム BREAXi(ブレキシィ)」を販売しています。被験者にマウスピースを加えさせて20秒で口臭を測ることができる優れモノです。
口臭の強さは、Eテックが開発した「ブレキシィ表示値」で表示します。その基準値は次のとおりです。

  • 0~30:口臭を感じない
  • 31~50:口臭をかすかに感じる
  • 51~70:いつも口臭を感じるようになる
  • 71~90:朝から口臭を感じる
  • 91~100:強く口臭を感じる
  • 101~:測定範囲を超えている

ブレキシィは、歯科クリニックの歯科医が口臭診断に使うことなどを想定した製品です。

まとめ~ニオイ測定ビジネスが盛況

ニオイ測定ビジネスが盛況です。コニカミノルタが体臭を測定してスマホでデータ管理するシステム「クンクンボディ」の開発のため、クラウドファンディングで投資を呼び掛けたところ、4,000万円近いお金が集まったのです。
投資家が「ニオイ測定ビジネスはお金のニオイがする」と言ったかどうかはわかりませんが、ニオイの追及はまだまだ続きそうです。

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ライター紹介
ライタープロフィール
アサオカミツヒサ

フリーライター、ライティング事務所office Howardsend代表。北海道大学法学部を卒業後、鉄鋼メーカー、マスコミ、病院広報などを経て2017年独立。取材した分野は、地方政治、地方経済、過疎化、ワーキングプアなど。現在の執筆領域はIoT、AI、産業一般、人事制度、金融、最新抗がん剤、生活習慣病治療など。趣味はクルマとバイクと登山。北海道釧路市在住。

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