見直される「官能試験」、精密計測が全盛の現代においてなぜ官能試験が重要なのか?

世界中で日々行われている工業製品の生産。その生産は年々高度になり求められる精度も日々向上し続けています。

それに伴って世界中の計測機器メーカーはこぞって高性能な計測機器を開発し、販売しています。そうした各メーカーや製造現場のたゆまぬ努力により、現在では世界中の数多くの場所で生産した同一の製品を同一の品質を作り出すことに成功しました。

しかし、近年になって各製造の現場において見直されている検査工程があります。それが今回ご紹介する「官能試験」です。

今回は製造の現場で見直しの動きのある官能試験についてお話します。

そもそも、官能試験とはどんな試験なのか?

官能試験とは、もっとも簡易で最も原始的な試験方法とも呼ばれる試験で、使用するものは人間の五感です。

通常、検査や試験と言えば検査機器や計測機器を使用し様々な情報を数値化したり判定基準と照らし合わせて合否を確認します。

今回ご紹介する官能試験は、そういった機器を使用することなく人間の五感を頼りに行う試験の全般を指しています。

では実際にどのような試験を行うのでしょうか?

人間の持つ五感である「視覚」「聴覚」「味覚」「嗅覚」「触覚」についての説明を交えながらご紹介します。

視覚

人間の五感の中で最も鋭敏で繊細な感覚と呼ばれるのが「視覚」です。

官能検査においては、工業製品などの検査対象を目で見て判断・判別・検査することを指します。

現代においてはロボットやセンサーの発達により、人間の視覚以上の精度での判別が可能と言われています。

聴覚

耳から情報を得るための感覚です。人間にとって音は非常に大きな情報元の一つとされています。

官能検査においては、様々な音を聞き分けることで製品の良し悪しを判断することなどに用いられます。

人間の聴覚は聞こえることのできる音域に制限があり、音をデジタル解析できる機器も豊富に販売されています。

味覚

言わずと知れた味を感じる器官です。

官能検査においては、実際に出来上がった食材や料理を味見することなどに用いられます。

五感の中ではもっとも数値化することが難しいとされるものですが、現在は味の構成を細かく解析できる解析装置も販売されています。

嗅覚

香りをつかさどる感覚器です。

官能試験においても整品や食材のにおいを嗅ぐことで様々な情報を得ることができます。

香りに関しては古くから研究がすすめられ、現代ではほぼすべての香りを数値で再現することが可能です。

触覚

いわゆる手触りです。

官能試験においてもっとも多用される感覚器です。製品を実際に素手で触ったりして情報を得ます。

タッチセンサーや画像解析機によって代用されます。

いかがですか?こうしてみると人間の持つ五感に代わる様々な計測機器が開発され、人間の五感の代わりを果たしているのが分かります。

では、なぜ今五感に頼った官能試験が見直されるのでしょうか?次項では官能検査の必要性についてお話しします。

五感を同時に活用できる官能試験の柔軟性

さて、なぜこれだけ計測機器やセンサーといった機器が発達した現代において官能試験が見直されるのか?

その最大の要因は人間だけが持つ柔軟性です。柔軟性と曖昧は表裏一体の感覚であるため、検出した要素を数値的な判断材料のみで合否判定する機械には対応のできない範疇となります。

例えば次のような場合に五感を用いた官能検査が威力を発揮します。

平面度規定0.01以下(目標0.001)の1m×1mプレートの加工

このような製品の検査を行う場合、一般的には三次元測定機などで検査を行います。

このような場合、三次元計測器では計測点を事前に決めてその点の高さを計測します。そして計測した点の平均値や最大最小の値から、その製品が合格であるか不合格であるかを見極めます。

しかし幾ら計測点を増やしても全体をくまなく測定することは技術的にも、時間の制約的にも難しいのが実状です。

しかし、人間の五感は違います!

人間の触感は鍛えれば製品を撫でるだけで0.001㎜の段差も瞬時に反応することができます。また、視覚は製品にあたる光のわずかな歪みも見逃しません。

また、触覚と視覚を同時に使うことでさらに高精度に、さらに瞬時に表面の凹凸に気が付くこともできます。こう言った検査が可能な点こそが、官能試験の最大のメリットです。

こうした感覚的な検査手法は、人間の持つ五感を最大限に活用する検査手法として過去には検査の主流であったこともあります。しかし、検査員の育成などの問題で徐々に廃れていってしまった経緯があります。

なぜ今、官能試験が見直されるのか?

では、一旦は廃れてしまった官能試験が現代になって脚光を浴びているのでしょう?そこには機械では解決しえない様々な課題があります。

機械を用いた試験では、検査結果は基本的に一律です。しかし、官能検査は検査を行う人材によってさまざまに変化する可能性があります。この点が従来の数値優先の検査手法にはマッチせず官能検査は廃れてしまうことに繋がりました。

しかし、製造の現場では数値では表せない微細な違いが製品の良し悪しを左右する場面に多々出会います。また、各製品に求める加工精度が向上すればするほどに検査機器が対応でない場合も散見されるようになりました。

そうした時に頼りになるものは、最終的には人間の五感であったというわけです。

機械で感知できない微細な違いを見つけ出すことのできる官能試験が見直される背景には、加工精度の大幅な向上が起因しているとも言えます。

理想は機械と人間の調和

しかしながら、人間は疲労もすればさぼることもあります。

製造の現場ではこうした人間の抑えることの難しい欲求に対応すべく様々な高性能な検査器機を導入してきたという背景もあります。

人間と機械、両社の長所と短所を補い合えるバランスこそがもっとも理想の形なのです。

 

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シバ

広島県出身の41歳。現在は製造業で管理職の傍ら執筆活動を行っている。実は調理師出身という経歴の持ち主。得意分野は工業系の専門分野からアウトドアクッキングまで幅広く対応可能。

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