世界中に無数にある工業規格、その役割と歴史について

今回は少し志向を変えて、計測機器の製造やメンテナンス方法にも深くかかわりのある様々な工業規格についてご紹介していきます。

現在、日本で製造される多くの工業製品や日用品などには、いわゆるJISマークの記載のあるものが多く存在します。

これはその製品がJISの定める規定によって製造されていることを示すためのもので、このJISマークを使用するためには非常に厳しい審査や工程の管理が求められています。

こうした一般的に工業規格と呼ばれる規格は実は世界中に数多く存在し、それぞれに特徴をもった規定・規約となっています。

今回はそうした世界各国に定められている工業規格について、代表的な工業規格について詳しくご紹介していきます。

そもそも工業規格がなぜ必要なのか?

まずは、工業規格と呼ばれる規格がなぜ必要なのか?についてご説明します。

ちなみに「工業規格」との名はついていますが、その網羅範囲は工業だけにとどまらず世間一般に出回っている様々な製品にその規格範囲は及んでいます。

さて、例えば工業製品のなかでも一般的なねじを例に工業規格の必要性をご説明します。

現在、日本国内に出回っている多くのねじは「JIS」と呼ばれる工業規格に準拠した形状をしています。

例えばM10というねじの規格の場合、ねじの外径・ねじ山の深さ・有効径の大きさ・ねじ山とねじ山の距離などが、JISによって細かく定義さえれています。

仮に、基準となる工業規格が存在しなかった場合どうなってしまうのでしょうか?

先ほどの「M10」という規格のねじはねじの外径寸法にJISで定められた規格が適応されています。

しかし、工業規格そもののが存在しない場合には同じ「M10」と呼ばれるねじであっても、外径の寸法に違いが生じ双方を組み合わせることが出来ない可能も出てきます。

こうした事態を防ぐ目的で工業規格は設定されているのです。

では、日本の工業規格であるJISにはどのようなものが「基準」として網羅されているのでしょうか?

JIS(日本工業規格)によって定められている様々な規格

 

JISでは一般的な工業に関わる規定だけでなく、次のようなものも「工業規格」としてその基準を示しています。

  • トイレットペーパー
  • QRコード
  • ビール瓶のサイズ
  • 様々なプログラム言語
  • その他たくさん

「工業規格でトイレットペーパー?」

といぶかしがる声が聞こえてきそうですが、JISではトイレットペーパーの幅を114㎜と規定しています。

実はこの規定のおかげで私たちは、どのメーカーのトイレットペーパーを購入しても、自宅のホルダーに簡単に装着して使用することが出来るのです。

世界中に無数に存在する規格を無理やりまとめた「ISO」

さて、ここまで日本の工業規格であるJISに焦点をあててご紹介してきましたが、実は世界には全世界共通の「ISO」という規格が存在します。

このISOは工業のみでなく、世界中のありとあらゆる事柄についての標準を示したもので、工業の分野ではJISと内容が同じ部分も数多く存在します。

近年では経済活動のグローバル化の流れのかなで、JISではなくISOを生産の基準としている分野も数多く存在します。

ISOが制定された背景は?

実はISOが制定された背景には、グローバル化の一途をたどる経済活動において各国独自の工業規格が大きな弊害となっていたためです。

先ほど紹介したM10というねじの規格は、世界中の多くの国では一般的なねじの規格と言えます。

しかし、アメリカをはじめとするいくつかの国では、同等のねじの規格として「ユニファイ」と呼ばれる、インチ単位を基準としたねじが一般的に流通しています。

例えば日本で製造した自動車部品をアメリカに輸出し、現地で修理を行う場合を考えてみます。

国際的な工業基準の無かった時代には、日本で製造した自動車にどのような規格のねじが使用されているのかといった点も簡単には知りえることが出来ましせんでした。

これでは、いくら経済活動がグローバル化しても様々な面で不便が付きまとってしまします。

こうした問題を少しでも軽減することこそがISO制定の最大の目的です。

まだまだ浸透しないISO

しかし、ISOが制定され様々な基準が世界的に統一されつつあるとはいえ、まだまだ問題も山積みです。

そこには工業の分野で世界的なイニシアチブをえようとする各国の思惑も見え隠れします。

その為、現代でも様々な分野において各国独自の工業規格が幅を利かせているのが実情です。

世界の主な工業規格

それでは最後に現代での様々な分野で台頭する各国独自の工業規格について、その代表的な規格と特色をご紹介します。

二度の大きな世界大戦によって世界中に広まった様々な工業規格は現代もその国々に深く根付いています

ドイツの工業規格 「DIN」

言わずと知れたヨーロッパ最大の工業国ドイツ。、そのドイツの工業規格が「DIN」です。

ドイツは世界で初めて自動車の量産を行った国であることなどから、現在でも多くの自動車部品に「DIN」の規格が適応されています。

また、日本の重工業はその幕開けの時代にドイツをお手本としたことから、日本の工業規格であるJISはDINを基準とした工業規格としてスタートしました。

アメリカの工業規格 ANSI(ASTM)

アメリカの工業規格として制定されているのはANSIと呼ばれる規格です。

この規格の基となっているのはイギリスの工業規格だと言われていますが、長い年月をかけてアメリカ国内で独自の進化を遂げました。

また、DINやJISがその内部に素材についての規定を含めているのに対し、アメリカの工業規格では素材に関わる部分は「ASTM」という、別の規格集として制定されています。

アメリカの工業規格であるANSIは第二次世界大戦以前にアメリカの植民地であった世界中に広まっており、現代でもフィリピンなどの東南アジア諸国ではANSIに準拠した工業規格が一般的です。

日本国内でも圧力容器や航空機のエンジン部品などはこのANSI に準拠して生産されることが多くあります。

世界の工業規格は無数に

ここまで世界的にも適応範囲の広い2つの工業規格についてご紹介しましたが、世界にはまだまだ特色の豊かな工業規格が多く存在します。

それぞれの国で独自の進化を遂げた工業規格をいかにグローバルな市場で統一的な規格として運用するのか?

それが今後の経済の更なるグローバル化の課題と言えます。

 

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ライタープロフィール
シバ

広島県出身の41歳。現在は製造業で管理職の傍ら執筆活動を行っている。実は調理師出身という経歴の持ち主。得意分野は工業系の専門分野からアウトドアクッキングまで幅広く対応可能。

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