さまざまな業界や業種で、IoT技術が注目される中、製造業でもその導入が進んでいます。人ができないところを機械が行ってくれたり、効率的にデータ処理ができるなど、IoTの導入による生産効率アップは目をみはるものがあります。
この記事では、企業名を上げながら、製造業におけるIoTの導入事例を紹介いたします。
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カンバン方式で知られるトヨタ
トヨタ自動車は、カンバン方式によって、製造現場の効率化と生産性アップに注力していることが知られています。カンバン方式とは、パーツの詳細が記載された看板を使って、ロスのない生産体制を行う方式です。
必要な時に、必要なものを、必要な数だけ作ることによって、ジャストインタイムの生産体制を構築することが可能です。
そんなトヨタは、カンバン方式をIT化し、ITによるカンバン方式を実現しています。カンバン自体をITで管理しており、IoTの先駆けともいわれています。
センサーからの情報で生産性アップの旭鉄工
旭鉄工は、生産システムの以上を通知してうれる光センサーや、製品個数を検知してくれる磁気センサーを活用して、生産効率アップに成功しました。これらのセンサーによって数値化された情報は、スマートフォンやモニターで閲覧することが可能で、生産工程の可視化が可能となったのです。
これらの情報をベースに、生産工程の改善に尽力した結果、工場の稼働率が14%上がったとのことです。また、驚くべきことに、利用したセンサーは秋葉原で販売されている汎用センサーとのこと。
工夫によってIoT化を実現したユニークな事例だといえるでしょう。さらに、旭鉄工は、自社のIoT成功ノウハウを他社に水平展開するサポートも行っており、一石二鳥にも三鳥にもなっているようです。
IoT以前から遠隔監視をしている三浦工業
「三浦のボイラー」で知られる三浦工業は、ボイラー業界で国内トップのシェアを誇っている企業です。三浦工業は、遠隔状態監視を行っており、ボイラーに付けられているセンサーからの情報を集め、作業員がリアルタイムに監視を行ってきました。
もしも、何らかの異常を検知すれば、すぐに作業員が駆け付け、対応をしているため、万一のトラブルを未然に防ぐことに役立っています。
実は、三浦工業は、IoTという言葉が広がるよりも昔の、1989年から遠隔状態監視サービスを行っており、保守契約における差別化としてきました。現在普及が進んでいるIoTをいち早く実践している、先見の明のある企業だといえるでしょう。
上海企業のINESAに富士通IoT技術導入
富士通は、地域をまたいだ工場におけるデータをネットにつないで、見える化することによって、生産性の向上するサービスを提供しています。富士通の強みとしては、独自の解析ソフトを利用しているところです。
通常、生産ラインに付けられているセンサーからの情報を解析するためには、その膨大なデータ量から時間を要してしまいます。しかし、富士通の解析ソフトを利用することによって、解析時間を短縮し、タイムリーな見える化を実現させています。
そんな富士通のIoT技術は、上海のエレクトロニクス企業であるINESAに導入され、生産向上に一役買っています。INESAの工場における生産ラインでは、情報や映像がタイムリーに確認することができるようになったため、トラブルの未然防止や、改善のスピードが格段に上がりました。そのため、品質と生産性が共に上がったのです。
ダントツ工場を目指すデンソー
デンソーは、2020年までに、2015年比の生産性を30%上げることを目標に掲げています。このデンソーの取組は、競争力の高い「ダントツ工場」構想となづ得られ、その中核技術としてIoTの導入が進められています。
デンソーの考えによると、ものづくりのことを熟知している人に、有益となる情報を与えれば、生産性の工場や改革につながるとのことです。そのため、ものづくりのことを熟知している人に、高い質の情報を数多く提供することが可能なIoT技術は、重要な要素だと考えられています。
デンソーではIoTの導入により、工場の稼働が止まらず、不良品を作らないとうことも念頭においています。工場において、設備が故障してしまったり、品質が安定しないことは悩みの種ですが、このような兆しを早めに察知することで、未然に防ぐことが可能です。
さらに、IoTは経営管理者にも効用をもたらすと考えています。生産現場における作業員から、経営管理者まで含め、それぞれに必要な情報を簡単に扱えるようになると、会社一体となった改善が望めます。
ただし、システムに振り回されると、システム負けの可能性があるため、人を中心とした共創型のIoTシステムを作る取組を行っています。
まとめ
IoTの普及が各業界で進む中、製造業におけるIoTは工場の生産性を高めてくれるため、製造業×IoTは親和性が高いといえるでしょう。人がロボットのように働いていた時代から、人が管理する時代へと変わりながら、品質向上の恩恵を受けることも可能です。今後も、IoTの益々の普及が期待できるでしょう。