フロントローディングを可能にする ために必要なこと

フロントローディングを可能にする ために必要なこと

開発競争の激しい製造業に必要なこととして、「フロントローディング」があります。実際にやっているけどうまくいかないという声をよく聞きます。今一度フロントローディングとは何か、振り返ってみましょう。

フロントローディングとは何か

製造業 開発

フロントローディング(Front loading)という言葉は十数年前から聞こえてくるようになりました。直訳すると「前の方で牽引する」ということ。ものづくりの上流である「設計段階」で引っ張り上げるということを指しています。
その背景には、試作工数の増大化や試作費の削減などがあります。
端的に言えば、「設計を完璧にすれば、試作も量産も一発でうまく行く」という発想です。フロントローディングは案に「設計ミスを0にせよ」と言っているのです。
フロントローディングが叶えるのは低コストでの試作開発が可能になる、というのが一般的な考え方です。

フロントローディングが難しくなっている現代

ソニーやパナソニックといった時代に先駆けた家電メーカーのファウンダー(創業者)自ら製品開発をしていた頃は、彼ら自身が設計から製造まで一貫して行なっていました。
今は、設計する人・試作する人・量産する人…といったように分業化が進んでいます。
分業化のおかげで、上流の設計者が下流の量産現場の人の悩みを知ることが少なくなりました。またものづくりの経験が薄くなり、「設計感度」と言われる「カン・コツ・キモ」がわからない設計者も増えてきています。
ですので、フロントローディングつまり「設計で全て解決する」ということがどんどん難しい状況になってきているのです。

フロントローディングを可能にするテクノロジー

VR 保管

Virtual Reality (VR)

設計の現場と量産の現場はどんどん遠くなっています。海外に量産の拠点があるというのも珍しくなくなりました。
実際にどのようにものづくりしているのかを知るためにVR (バーチャルリアリティ:仮想現実)やAR(アーギュメントリアリティ:拡張現実)が採用されつつあります。
例えば、実際のものづくりをVRで見せたり、ワークがどのようにアッセンブリされるかをARで確認したりすることができます。
設計者は、試作・製造工程を止めてトライアルする必要がなくなり、仮想空間でのトライアルが可能になります。

Computer Aided Engineering (CAE)

CAE(Computer Aided Engineering)は、ざっくりいうところの「コンピュータシミュレーション」です。
設計ミスというのは例えば「強度不足」「感度不足」と言った目に見えないパラメータで起きやすいものです。
一般的にこのような「不足」を確認する手段として「信頼性試験」があります。現在も行われていますが、闇雲に信頼性試験を行うと「何が原因で起きたのか」が見えにくくなります。
そこで、CAEを利用して、あらかじめリスクを排除することと、信頼性試験でどのような不具合が出そうかを予測することができます。
さらに、シミュレーションと現物の結果を突き合わせてより良い設計につなげることも可能になります。
CAE の発展は、コンピューターの発展とともに目覚しいものがあるのですが、CAEの全てを信用することは難しく、現物と照らし合わせて使われているのが

3Dプリンター

試作する際に、筐体の作成などのために金型を起こして成形して…といった工程が以前ありました。金型設計には非常に時間がかかります。また、その出来栄えに問題があれば金型は作り直しになります。
金型作成には膨大なコストもかかるので、なんども手直ししたくない工程です。
そこに現れたのが3Dプリンターです。
CADで設計した部品を精密に再現することが可能になりました。
量産に近いところは金型で成形するにしても、設計直後の段階のモックアップなどでは十分に利用できます。
今では、製品そのものにも3Dプリンターで作られたパーツを利用するケースもあるようです。
トライアンドエラーのコストが極端に安く済むのが特徴です。

テクノロジーだけではフロントローディングはできない

テクノロジー x 人

このように見聞きしたことあるような技術で、フロントローディングの状態に近づけることはできます。しかしながら、市場不良や開発コストの増大はぴたっと止めることができていないのが現状です。
前述したように、製造業は分業化が進みすぎてしまい、若手の設計者は「ものづくり」を知るチャンスを失っています。また、ベテランも教える機会を失っています。
昔の設計者はものの作り方を熟知した上で設計を行っていましたが、現在はものに触る機会が圧倒的に減っています。
VRやCAEはその補完にはなるのですが、「カン・コツ・キモ」といった暗黙知はそこに再現できません。
フロントローディングを可能にするのは、物理的なテクノロジーだけではむずかしいのです。

ナレッジマネジメントとテクノロジーの融合

暗黙知を若手の設計者が知る手段として、「口伝」や「徒弟制度」といった泥臭い方法が今まで主流でした。ですが、ベテランもわからないような複雑な製品システムや材料が今は多々生まれています。また、「口伝」や「徒弟制度」には、伝える人間の数に限界があります。
製品カテゴリはどんどん増えています。消えゆくものもありますが、ほとんどがそれらの応用です。過去の産物に無駄はありません。
ですが、今団塊の世代が定年を迎え、過去のものづくりを知る人間が企業からどんどん去っている状態です。
つまり、企業は早急に暗黙知の収集そして再利用しなければなりません。それを「ナレッジマネジメント」と言います。
ナレッジマネジメントとテクノロジーの融合がなければ、フロントローディングを果たすことができないのです。
過去の積み重ねの上に今の製品があることを理解して、次の設計につなげるルーティーンができれば必ずフロントローディングが可能になることでしょう。

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