寿命設計における故障解析の手順

寿命設計における故障解析の手順

「すぐに壊れた!」
お客様がそう感じてしまうことは、製造業にとって致命的です。今回は製品の寿命設計についてのお話です。

材料設計の観点は2つ

材料

材料開発における観点は大きく2つあります。

【寿命設計】

製品が長く使用できるか、使用環境によって壊れたりすることがないか…熱応力や分解の観点で適切な材料を開発・選定する必要があります。

【工程設計】

寿命設計が「出来栄え」の観点ならば、工程設計は「作りやすさ」の観点です。出来栄えが良くても、一つ作るのに膨大なリードタイムをかけているのでは生産性が悪くなってしまいます。
作りやすい・組み立てやすい材料を開発・選定するのも大事になってきます。
今回は寿命設計の観点で、故障解析について述べます。

故障解析の手順

故障

温度サイクル試験などの寿命試験を行った場合の故障解析の手順を解説します。

故障解析とは何か

前述した「寿命設計」の観点で、製品が十分な寿命があるかどうかを試験します。寿命を確認する手段として「高温/低温試験」「温度サイクル試験」「THB試験」「プレッシャクッカー試験」など…様々な試験方法があります。(このような試験は実際の使用環境より厳しく、早く故障するため「加速試験」と呼ばれます。)

こういった試験を行った際、開発途上では製品は故障します。
その故障の真因を突き止めるために故障解析を行う必要があるのです。

故障解析フロー

故障解析の簡単な手順として

  1. 外観検査
  2. 電気検査
  3. 非破壊検査
  4. 精密分析

となります。

1.外観検査

外観検査 顕微鏡

故障したあとはまず、外観検査をします。
外観検査はまず「目視観察」から始めます。違和感がないか、コゲや変色がないかをチェックします。その後、「実体顕微鏡」で観察します。実体顕微鏡は立体的に細かく観察することができます。部品周囲になにか異物がないか、変色なのか異物付着なのかなど観察できます。
さらに細かく観察するために「金属顕微鏡」で観察します。金属顕微鏡は「明視野」「暗視野」に切り替えて観察できます。例えば、異物が金属なのか有機物なのかを明確にすることが可能です。
そのほか、レーザ顕微鏡やマイクロスコープなどの外観検査方法があります。

2.電気検査

エレクトロニクス

単純に通電しているかどうかを確認します。「テスター」でもチェックできます。
テストボードを用いて特性変化を見る方法もあります。
通電試験を行うことによって、どの回路・接続端子に不具合が発生したかを明確にします。

3.非破壊検査

X線

X線検査装置

まずはそのままの形状を維持して、不良原因の探索をします。「X線検査装置」がもっとも利用されています。X線検査装置で内部構造を確認し断線などを明らかにすることができます。

X線CT

X線CTは立体的に内部構造を確認できるメリットがあります。しかし大きなデメリットとして、小さいものしか測定できない点です。装置によりますが1センチ立方でないと観察できないといったような制約があります。

回転してX線を照射するので、大きなものの観察には向いていません。
半導体パッケージなど小さいものには向いています。

SAT(超音波探傷)

層状のもの、例えばBGAなどの半導体パッケージ内の剥離観察にはSAT(超音波探傷)が向いています。ダイアタッチ材やはんだ、モールディングの剥離などが観察可能です。
SATは水中に入れて観察するので、非破壊検査の中でもリスクが高い方法です。実施する際には、失敗してもいいような故障片でまず行いましょう。

4.精密分析

外観検査・非破壊検査で全体像を捉えたあと、真因を突き止めるために精密分析を実施します。

FTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)

異物が金属顕微鏡で「有機物ではないか」と判断された場合、その異物をピックアップしてFTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)で分析し、どのような物質なのかを確認します。
ここで注意すべき点は、「どこから異物が混入したか」という観点で工程内のあらゆる物質(例えば皮膚片・ゴム手袋のタルク・装置摺動部のオイルなど)を採取しあらかじめFTIRで分析しておく必要があります。
FTIRは内蔵されたライブラリで近い物質を割り出してくれますが、その結果「身に覚えがない」時に犯人探しに時間がかかってしまいます。あらかじめ工程内の物質をライブラリ化することで、素早く分析結果を出すことが可能になります。

断面研磨

断線・剥離していた場合、その断線・剥離部を精密に分析するために「断面研磨」を実施します。
埋め込み樹脂に故障サンプルを埋め込んで硬化させ、ダイアモンドソーなどで余計な部分を切り落とします。

その後、故障部まで研磨を行いますが、研磨手法は

  • 手動研磨
  • 機械研磨
  • 化学研磨(エッチング)
  • クロスセクションポリッシャー
  • ミクロトーム

などが挙げられます。

故障サンプルの状態でベストな手法を選択しなければ、その故障部が失われしまい二度と真因を突き止めることができなくなります。

SEM/EDX

断面研磨を実施後、SEM(走査型電子顕微鏡)で断面観察を行います。断線部はどのように壊れているのか、剥離はどうして発生したのかなど原因に近いところがわかってきます。

また、EDX(メーカによってはEDSとも)を使うことで、観察部の組成が分かります。主に金属の組成を分析することに向いています。

異物が金属であった場合、SUS片なのかはんだ片なのかキャビ片なのか…どのような金属なのかを明確にできます。

真因を突き止めるために

パズル 謎

このような手順で、故障解析を実施します。真因を突き止めるためのポイントを簡単にご説明します。

1.非破壊検査での情報をたくさん集める

まず、非破壊検査で多くの情報を集められるかがポイントです。
本稿では「金属顕微鏡」と取り上げましたが、他にも非破壊検査はあります。

  • 大きく反っていないか
  • リーク部はあるか
  • 寸法は図面通りか

など、故障品そのものの形状から得られる情報を多く集めることが大事です。それらの情報を元に、故障の真因に「あたりをつけておく」ことが重要です。

2.測定器・分析器の適切な利用

精密に測定・分析を行う際、故障品を研磨などで破壊するため、謂わば「ワンチャンス」なのです。適切な測定・分析手法を選び、研磨などの前処理を行わなければ、失敗した際に元に戻すことはできません。

まとめ

このように、故障解析は「真因」を突き止め「より良い製品にする」ために重要なことなのですが、一歩間違えば「試作工数の増大」「開発費の肥大化」に繋がります。

余分な試作工数や開発費にお金をかけるより、今までご紹介した「測定器・分析器」にお金をかける方が最終的にローコストで済みます。しかし、いきなり数千万の投資というのは「効果」がはっきりしないのに出すことは難しいでしょう。

測定器・分析器の効果確認がしたい、そのために中古品の購入やレンタルなどを検討してはいかがでしょうか。

また、買い替えの際に中古品を売ってみませんか。故障解析の重要性を理解すればするほど、中古品の需要が高まってきます。

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