ガウス・テスラメーターについて

ガウス・テスラメーターについて

ガウス・テスラメーターは、磁束密度を測定できる装置です。磁束密度とは、単位面積あたりを貫く磁束のことで、CGS単位系ではG(ガウス)、SI単位系ではT(テスラ)と表されます。
ここで磁束とは磁力線の総量のことで、SI単位系でWb(ウエーバー)と表され、1Wb/m2=1Tです。そしてG(ガウス)とT(テスラ)の関係は、1T=10000Gとなっています。
主な用途としては次のようなものがあります。
「地磁気の測定」、「永久磁石のN・S極の判別や品質管理」、「電磁石の磁場計測」、「滞留磁気の測定」、「漏れ磁束の測定」、「磁気材料の特性測定」そして「各種研究・教材用」などです。
ここでは、ガウス・テスラメーターの原理、機種選定の際に注目すべき項目、そしてメーカー・価格帯についてご紹介します。

計測の原理

磁場

(著作権者:Peo、ライセンス:CC BY-SA 3.0 出典元:リンク

ガウス・テスラメーターにおける磁束密度の検出には、半導体における「ホール効果(Hall effect)」を利用した「ホール素子」というものが使われています。
電流が流れている半導体素子に磁場をかけると、電流を担う荷電粒子がローレンツ力(フレミングの左手の法則による力)を受けて、半導体素子の端に移動するために、素子内に電位差が生じる現象のことを「ホール効果」と言います。
ここで「ホール」は半導体によく出てくる「正孔(hole)」ではなく、発見者エドウィン・ホール(Hall)のことです。
ホール効果によって生じる電位差は、素子にかける磁場と比例することから、磁束密度を換算することができます。

機種選定の際に注目すべき項目

磁場

測定範囲と精度

私たちの身の回りで発生する磁場には、地磁気、送電線・電車・家電製品からの磁場などがあります。これらの磁束密度の強度は、数μT〜数mTの範囲です。
病院の検査などで使われるMRI(Magnetic Resonance Imaging・磁気共鳴画像)には大きな磁石が使われているため、発生する磁場の磁束密度は数Tと大きくなります。

ガウス・テスラメーターには、現場測定で使用できる「ハンディタイプ」と「据え置きタイプ」があります。
「ハンディタイプ」は一般的には数mT〜数Tの範囲での測定ができます。
また限られた機種になりますが、ハンディタイプで数10μTを測定できるものもあります。
ただしハンディタイプは多くの機種で精度がフルスケールの±2〜5%程度ですので、精度の高い測定が必要な場合にはお勧めできません。
他方「据え置きタイプ」も、微小な磁束密度(数10μT)から測定できますが、超強力磁石のような強い磁束密度(数10T)まで測定できるのが特徴です。
また高精度(フルスケールの±0.1%以下)・高分解能(最小分解能0.1nT)な測定ができるのが、ハンディタイプと異なる点です。

プローブの種類

プローブの種類には、主にトランバース(平板)型・アキシャル(円筒)型があります。
トランバーズ型は長方形の形で、軸に対して垂直方向の磁場を測定することができます。
例えば磁石のN極とS極の間に生じるような直線的な磁場を測定するのに適していて、非常に狭い隙間でも測定できる特徴があります。
プローブの厚さは約0.5~3mm程度です。
アキシャル型は円筒型で、プローブの端面に垂直に入射する磁場の測定ができます。
例えば小さなコイルなどの磁束密度の測定に向いています。端面の直径は約1.5〜6mm程度です。
また一般的な使用は少ないようですが3軸プローブというのもあり、方向が不明な磁気(環境の漏れ磁場や地磁気など)について使用できます。
3軸方向(X・Y・Z)の磁束密度を同時測定できますが、据え置きタイプで使用する場合がほとんどです。また一般的な3軸プローブは誤差が大きいため、SENIS社(ドイツ本社)からは、「フルインテグレート3軸磁気センサ」という、位置のずれなく正確な3次元ベクトルを測定できるプローブが発売されています。
後述しますが、SENIS社製の製品は、日本国内ではSENISアジア総代理店である株式会社アイエムエスが取り扱っています。

データの出力

データの出力は、アナログ、ケーブルによるPCやスマートフォンなどへの転送、そしてUSBやSDカードへの保存などが選べます。デジタル式であっても、データを記憶できない機種もありますので、購入前に確認が必要です。

直流・交流(周波数)

直流の磁束密度測定しかできない場合と、直流・交流の両方ともが測定できる場合があります。交流の磁束密度測定ができる場合は、交流の適応周波数領域を確認する必要があります。

メーカー・価格帯について

日本国内でガウス・テスラメーターを独自に製造しているメーカーは非常に少ないと思われ、輸入した海外製品を各社において(会社名を印刷するなど)独自に手を入れて販売している場合が多いように見受けられます。
ガウス・テスラメーターを販売する会社は様々ありますが、代表的なものを以下にご紹介します。

  • マグネット応用機器総合メーカーである「株式会社テクノプラン」
  • 磁気応用製品のメーカーである「東洋磁気工業株式会社」
  • 環境測定器などの製造メーカーである「株式会社FUSO」
  • デジタル計測器の製造・販売の「株式会社マザーツール」
  • 測定機器、包装機器、物流機器の専門通販サイトの「株式会社シロ産業」

また海外製品のガウス・テスラメーターを数多く本格的に取扱う日本の会社には、次のような会社があります。

  • ガウス・テスラメーターの製造・販売を手がける「株式会社エーデーエス」
  • 測定機器の大手専門商社である「東陽テクニカ」

エーデーエスはドイツの磁気センサや計測機器メーカーであるSENIS社のアジア総代理店でもあります。前述した「フルインテグレート3軸磁気センサ」を取り扱うのはこの会社です。
さらに東陽テクニカでは、アメリカの磁気センサメーカーである「OECO(旧:F.W.BELL)」 や温度測定・制御機器の世界的なリーディングサプライヤとして知られる「Lake Shore Cryotronics Inc.」の製品を取扱っています。

価格帯としては、ハンディタイプで2〜10万円程度で、測定レンジの幅が大きいものほど高価になる傾向があります。
また中国製のハンディタイプでは、非常に安価で1〜2万円代のものもあり、おそらく中国以外で生産された海外製品を輸入・転売していると思われます。
最後に、据え置きタイプの価格は非常に高価で、数10万円〜それ以上になっています。

まとめ

私たちの身近には地磁気や家電製品などから発生する磁気などが存在しています。
そしてこれらより強い磁場を発生するのが磁石です。
このような磁束密度の値を測定することができるのが、ガウス・テスラメーターです。
磁束密度は、半導体ホール素子を利用して測定することができ、測定の際に利用する主なプローブにはトランバース型とアキシャル型があります。
高い精度を必要としない測定の場合にはハンディタイプを利用することができて、測定範囲は数10μT〜数T、価格は約2〜10万円程度で入手可能です。
また高精度・高分解能で測定する必要がある場合には据え置きタイプを利用することになり、測定範囲は数10μT〜数10T、価格は約10万円からそれ以上になっています。

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ライター紹介
ライタープロフィール
藤井暢子

小規模農業従事者、野菜ソムリエプロ、野菜栽培士。京都生まれ。大阪市立大学理学部物理学科卒業、京都教育大学大学院修了、大阪大学大学院理学研究科物理(単位取得後卒業)、2004年博士(理学)。大阪大学産業科学研究所勤務を経て、化学系の研究開発会社に8年間勤務後、2012年より農業者へ転身。実父とともに、自然農、自然栽培、無肥料、自家採種をキーワードに京都郊外で野菜を作り、地元カフェや地方家庭などへ提供している。物理と化学の研究経験をもとに、畑の研究を新しく展開するべく日々研鑽中。生物物理の研究者の夫、5歳の一人息子と同居。

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