計測器、測定器紹介 vol. 8 – 示差走査熱量計(DSC)

計測器、測定器紹介 vol. 8 - 示差走査熱量計(DSC)

物質が化学反応するとき、熱を吸収したり、自ら発熱したりします。わずかな温度の時もありますが、その変化がものづくりを支えています。
今回は反応熱の世界を覗いてみましょう。

物質が変化するときに何が起きるか?

金属 高熱

金属は溶ける時に吸熱する

金属がどろっと溶ける…
例えば電子工作で使う「はんだ」は共晶はんだ(スズと鉛の合金)ですと融点が183℃で、金属材料では比較的低温で液状になります。この低温で溶ける性質を利用して電子部品の接合に使われています。
金属は単体の個体である時、金属結合をしており強固です。しかし、はんだといった合金は結晶です。単体の金属よりも結合が弱まります。その結果、融点が低くなります。
熱を加えて金属を溶かす時、金属は吸熱反応をします。吸熱反応というのは、周りから熱エネルギーを得て液体に変化しているということです。
この吸熱反応はどの金属でも起こりますが、結合が弱い、つまり合金では比較的低いのエネルギーで溶けることになります。

接着剤は固まる時に発熱する

接着剤

接着剤は様々な種類がありますが、ここでは「熱硬化接着剤」を例にあげます。
熱硬化接着剤というのは、名前の通り加熱して接着する材料のことです
身近な例ですと「針と糸がいらない布用接着剤」は、アイロンの熱を使って接着剤を固めます。
布と布を熱硬化接着剤で固めてしまうので、丈夫な継ぎ目ができます。
熱硬化接着剤などの、熱を加えたら固まる物質はほとんどが発熱反応をしています。
どういうことかというと、液状の接着剤が固まる時に化学反応し分子結合を促進し強固な網目の構造を作ります。
化学反応しているので、接着剤自ら反応熱を発するのです。

ものづくりは変化を利用して成り立っている

家電や自動車、建材などあらゆる工業製品は、これらの変化を利用して成り立っています。金属同士でつなげたいときは、はんだ付けやろう付けをします。何かを貼り合わせたいときは接着剤を使います。
何も変化しないもの同士は、くっつきにくかったり強度が弱くなってしまいます。ものづくりには物質の変化が欠かせないのです。

示差走査熱量計(DSC)とは

温度計

熱分析装置と言われる、加熱しながら分析する装置は様々な種類があります。中でも示差走査熱量計(DSC)は非常にシンプルな装置です。

わずかな温度差を電流で検知する

ちょっと難しい話をします。
2本の金属ワイヤを用意し、その両端を接合します。各接合部に温度差を与えると、その金属ワイヤに微量に電流が流れます。この効果を「ゼーベック効果」と言います。
ゼーベック効果のおかげで、わずかな温度差でも「電流値」で換算できます。
DSCはその仕組みを応用しています。加熱炉の中にサンプル置き場が2つあります。サンプル置き場の片側に基準となる材料(主にアルミナ)をセットし、もう片側に測定したいサンプルをセットします。
炉を加熱し測定サンプルに変化があれば、基準材料と温度差が生まれます。この温度差を「示差熱」といい、得られた電流値から換算されてプロットされます。

温度差が大きいと反応も大きい

この「示差熱」が大きいほど、つまり山の面積が広いほど反応が大きいことを示しています。また、上に凸の時は「発熱反応」、下に凸の時は「吸熱反応」を示しています。
炉は時間あたりの温度上昇を精密に制御されています。その結果、どの温度で反応が始まったか、そして終わったのかがわかります。

示差走査熱量計(DSC)でわかること

得られるデータは1つですが、そのプロットから様々な情報が得られます。

1.反応開始温度と反応終了温度がわかる

金属や接着剤は、ある温度で化学反応しますが、ものづくりの現場ではその温度を一定に保つ装置を用意できません。一般的に反応開始温度以上に加熱します。
例えばはんだはリフロー炉と呼ばれる装置で加熱されますが、リフロー炉の加熱プロファイルはなだらかに温度上昇します。
この温度上昇プロファイルをDSCで再現することによって、何度で反応が開始し何度で反応が終わるかが分かります。

2.合金などの組成比の検討がつく

合金はその組成比(金属配合比)によって、融点が変わります。
具体的にどんな組成かを調べたい時は、合金の反応温度とそのピーク高さなどからなんの材料かが検討つくようになります。
合金の文献には「相図」というものがあり、組成比による融点の記載があるのでそれと照らし合わせてみると分かりやすいでしょう。

3.接着剤の硬化プロファイルの検討ができる

前述した、はんだの加熱プロファイルと同様に接着剤の硬化工程の検討にも使われます。金属と違い、熱硬化接着剤は反応が複雑なため示差熱の面積が広くなりがちです。
金属は冷却すれば固まりますが、接着剤は不十分に加熱すると「半生」の状態になり、強度が落ちたりします。そうならないように加熱プロファイルを検討するのです。

4.接着剤の反応率がわかる

前記とは逆に、接着剤がちゃんと固まっているかどうかを確認する際にもDSCを用います。
未硬化の接着剤のDSCを測定したものと、硬化後の接着剤のDSCを測定します。
その示差熱の山の面積がどれぐらい減ったかで、接着剤の「反応率」を求めることができます。

示差走査熱量計(DSC)はレンタル?中古?

工程設計のために必須の装置です。ぜひ手元に置いて欲しい!
でもすぐに手に入れられるでしょうか?
DSCは示差熱を測定する、というシンプルな装置にも関わらず、エントリーモデルで500万円します。さらに、液体窒素を用いた「急冷オプション」などをつけるともっと高くなります。
ですが、確実にはんだをとかしたい、接着剤を固めたいと考えた場合…。DSCは製造現場に欠かせない装置です。安定した品質のために手にして欲しいのです。まずはレンタルを利用して、装置の利点を肌で感じて欲しいです。
また、DSCはシンプルが故に、装置自体は原理的に変化していません。ですので、中古品でも十分使える装置かなと思います。買い替えなどでDSCを手放す方も、高額で買い取ってもらえる装置だと思います。

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