工場の「邪魔者」にも「味方」にもなる静電気を測定する

工場の「邪魔者」にも「味方」にも なる静電気を測定する

工場などの製造現場で、静電気は「邪魔」な存在です。静電気を持つことを「帯電」というのですが、帯電したホコリやゴミが製品に付着すると不良品になり歩留まりが落ちます。そこで工場では静電気対策に取り組むわけですが、その前にどれくらい静電気が存在するのか知る必要があります。そのとき「静電気測定器」という機器が活躍します。

しかし、自動車のボディの塗装では、静電気が「味方」になります。静電気のくっつく性質を利用すると、効率よく塗ることができるのです。この場合、静電気が足りないと困ってしまうので、やはりここでも塗料にどれくらい帯電しているかを厳密に測定する必要があります。
静電気の測定技術の最前線を紹介します。

そもそも静電気とは

雷 静電気

物質は普通は帯電していません。つまり静電気を持ちません。なぜなら、物質をつくっている原子内のプラス電荷の陽子とマイナス電荷の電子の数が一致しているからです。「プラスマイナスゼロ状態」は静電気を引き起こさないのです。
ところが、例えばAという物質とBという物質が接触すると、Aの電子(マイナス)がBに移動することがあります。そうなるとAはマイナス(電子)が減るのでプラスになり、Bはマイナス(電子)が増えるのでマイナスになります。この場合、AもBも静電気を持っている状態になります。静電気を持った物質は、自分から別の物質に吸いついたり、別の物質を自分に吸いつけたりします。
静電気と聞くと、服を脱ぐときのパチパチ現象やパソコン画面にホコリがつく状態をイメージすると思いますが、静電気は個体だけでなく、液体や気体にも発生します。

静電気が邪魔になる工場

工場

大半の工場では、静電気に困惑しています。静電気に悩まされている製造現場を紹介します。

樹脂製品への塗装で静電気を持ったホコリが不良品の原因になる

樹脂製品への塗装ではホコリを入れないクリーンルームで作業をしても、どうしても微量のホコリが存在し、そのホコリが帯電し(静電気を持ち)、樹脂製品についてしまいます。その状態で塗装すると不良品になってしまいます。

フィルムとフィルムの間にホコリが入り込んで失敗する

フィルム製造では、複数枚のフィルムを重ね合わせて「層」状のフィルムをつくることがありますが、このとき、フィルムとフィルムの間にホコリが入ると不良品になってしまいます。この現象も帯電したホコリがフィルムに吸い寄せられることで生じます。

カプセル状の中の薬に帯電して量が狂う

ある薬品メーカーがカプセル錠を製造していたところ、カプセルの中に入れる薬の量が安定しませんでした。カプセル錠はカプセルの中に粒状の薬を入れるのですが、薬の量がカプセルによって異なると、効きすぎたり効かなかったりしてしまいます。
原因を調べたところ、カプセルの中に入れる薬の静電気の量が、ロットによって異なることがわかりました。

(株)ケー・ブラッシュ商会の「静電気測定器エルフィⅡ」

東京都中央区の株式会社ケー・ブラッシュ商会は、工場の工作機械などを扱う商社です。
同社が扱う商品の中に「静電気測定器エルフィⅡ」があります。
エルフィⅡは片手で持てる携帯タイプで、自動車工場、電気機器工場、印刷工場、包装工場半導体工場、メディカル工場などでの使用を想定しています。
エルフィⅡは、静電気の量を測定したい製品に近づけ、製品の表面の静電気の強さと、プラスになっているのかマイナスになっているのかを測定します。
エルフィⅡと測定対象の製品は、1センチの距離まで近づけて測定することもできますし、最長20センチ離しても計測することができます。
エルフィⅡのボディに液晶画面がついていて、そこに帯電している静電気の強さがボルト(V)で表示されます。

静電気を味方にしている工場

静電気は原則、製造業の敵ですが、例外的に味方になることがあります。その例外の1つが、自動車のボディ塗装です。
静電塗装という塗装方法は、わざと塗料に帯電させて(静電気を持たせて)、自動車のボディに噴きつけます。帯電した塗料はボディに吸いつくので、塗装効率が向上するのです。
しかし塗装への帯電をコントロールしないとうまくボディに付着しないことがあります。ボディに付着しなかった塗料は廃液になります。
静電気を正確にコントロールしないと、塗料が無駄になりますし廃液処理にもお金がかかるので、2重にコストがかかるわけです。
静電気をコントロールするには何よりもまず、帯電の様子を測定しなければならないのですが、これは簡単ではありません。なぜなら塗料は液体だからです。液体はゆらゆらと揺れるので静電気の測定が困難になります。
さらに塗料は、自動車のボディに噴きつけるときは霧状になっています。霧状になった塗料の1粒1粒の静電気を測定することはさらに困難を極めます。

ユーテック(株)の「電荷量測定装置EA02」

静電塗装の霧状になった塗料の1粒1粒に帯電している静電気の測定に、大阪市のユーテック株式会社が成功しました。製品名は「電荷量測定装置EA02」といいます。

EA02は、霧状の塗料の電荷量(帯電量)と質量を測定し、1粒にどれだけの静電気がたまっているかを計測します。

静電気の量を正確に測定できたことにより、「塗料に加える電圧」「塗料の噴射圧力」「塗料の吐出量」が塗装条件を左右していることがわかりました。つまりこの3項目をコントロールすることで、塗装効率を上げ、廃棄する塗料の量を減らすことができたのです。

まとめ~静電気を制する者が製造現場を制す

静電気をコントロールできれば、製造歩留まりを向上させたり、原料のロスを軽減させたりすることができます。
静電気は人間の意図に反して発生したりなくなったりするので、製造現場では静電気の測定が欠かせないわけです。まさに、静電気を制する者が製造現場を制す、なのです。

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