職人が生み出した最高品質の鋳物 ホーロー鍋「バーミキュラ」を生んだ愛知ドビーとは

職人が生み出した最高品質の鋳物 ホーロー鍋「バーミキュラ」を生んだ愛知ドビーとは

私の友人が数年前に「バーミキュラ買ったよ!」と教えてくれました。料理が好きな彼女は、バーミキュラが届くのを何ヶ月も待って届いた喜びを周囲にふりまいていたのを覚えています。今回は、バーミキュラの製造元である「愛知ドビー株式会社」についてと「バーミキュラの誕生」についてお話しいたします。

バーミキュラで一躍有名に

鋳物

「バーミキュラ」という調理器具、お鍋をご存知でしょうか。
バーミキュラは野菜の水分だけでスープができるというほどの気密性を維持できるという点で世の中に評価されました。一時、納品まで15ヶ月待ちになる程になった大ヒット商品です。
鋳物ホーローの鍋といえば、フランスの「ル・クルーゼ」や「ストウブ」が非常に有名です。バーミキュラは純日本国産の鋳物ホーロー鍋です。
鋳物ということは液体にまで熱した金属を鋳型に注ぎ成形します。ホーローはガラス質の釉薬を高温で焼き付けたものです。
前述した通り、バーミキュラは非常に気密性が高いのですが、その秘密は蓋と鍋本体のクリアランスにあります。なんとその隙間や寸法は0.01ミリ単位で管理されているそうです。
金属は加熱時に膨張します(熱膨張)し、液体から固体になる時には硬化収縮します。ホーローも塗膜厚み管理が必要です。このような性質があるにも関わらず、0.01ミリ単位の品質管理ができることは驚きです。
バーミキュラというネーミングは、鋳物に使う金属の種類「CV(Compact vermicular)鋳鉄」から取っています。このCV鋳鉄の特徴は高熱伝導で且つ鋳造製に優れていることです。ちなみに、バーミキュラ(Vermicular)本来の意味は、含有している黒鉛が「芋虫状」であることから「Vermicular:うねうねとした虫の形、蠕虫(ぜんちゅう)状」と名前がついています。
この一躍有名になった「バーミキュラ」の生みの親、愛知ドビーについてお話いたします。

愛知ドビーについて

愛知 名古屋 都市風景

愛知ドビーとは

1936年(昭和11年)に、愛知県名古屋市にて現社長の祖父である土方司馬一氏が創業した会社です。
当時の日本は繊維産業が盛んで、愛知県もその中でも指折りの大繊維産業圏でした。愛知ドビーは、その工業用織機の一つであるドビー機の動力源を製造する会社でした。

ドビーって何?

布地には様々な織り方がありますが、ドビー織機の特徴は「紋織物」です。生地に直接模様(ドビーの場合は幾何学模様などのシンプルなものが多い)を織ることができます。愛知ドビーの名前はこのドビー織機から取っています。

繊維産業の衰退とともに下請けへ

日本の繊維産業は1970年代に入ると一気に衰退します。その頃から、ドビー機も売れなくなります。そのため、鋳造技術を用いて船舶や建設機械向けの鋳造部品を製造したり、機械加工したり…このように下請けへと転換しました。

業績の悪化、そして土方兄弟の入社

海外の下請が増え、国内の下請業者は困窮します。海外の安い加工費に対抗し、従来の3分の1まで価格を下げたこともあったそうです。そのような下請け状態からの脱却のため、2001年には現社長で兄の土方邦裕氏が、2006年には弟の智晴氏が愛知ドビーに入社しました。

2007年からバーミキュラの開発着手、そして大ヒット商品へ

2007年から、下請けからの脱却を目指して「バーミキュラ」の開発に着手します。構想から3年経った2010年にバーミキュラの販売開始となったのです。

事業承継問題と成功の鍵

TOYOTA トヨタ

兄の邦裕氏は豊田通商の為替ディーラー、弟の智晴氏はトヨタ自動車の経理部に所属していました。これらの経歴も華々しいものだったのですが、家業を救うためにキャリアを捨てました。実際はキャリアを生かしていた面もあったと思います。ですが、ものづくりに関しては素人だったのでしょう
家業を立て直すために「バーミキュラ」の開発を開始しますが、現場を知らなければどのように作るのかを理解出来ません。また、ものづくりを知らないと改善ができません。前述した「開発の3年」はどちらかというと「開発できる体制作りの3年」だったようです。
社長は全ての機械操作を覚えることに努力してきたそうです。
このように、ものづくりを一から知り、経営体制を立て直したことでバーミキュラの成功につながっていったのです。

座右の銘

愛知ドビーはこのように、下請からメーカー直販へと変貌したのです。現在では、料理教室やレシピ提供などを通じてユーザーの声を集め、日々研鑽しています。

社長である兄の土方邦裕氏の座右の銘は「現地現物主義」だそうです。前述した通り、邦裕氏は家業を継ぐと決めてから現場を歩き回り、装置の操作を覚え、工程を理解していったそうです。「現地現物主義」とは、豊田通商の親会社・弟智晴氏が勤務した「トヨタ自動車」のものづくり・マインドそのものです。キャリアは捨てたのではなく、マインドと経営に引き継がれていったようです。

副社長である弟の土方智晴氏の座右の銘は「物は嘘をつかない」だそうです。この言葉は前社長である父親が日頃から兄弟に言っていた言葉で、「物には口がないから、嘘のつきようがない。いい商品を作ればお客様が評価をしてくださる。」という意味だそうです。それは、いいものを作ることが最高のマーケティングなのです。

このような事業承継努力のおかげでバーミキュラはまさに、「職人が生み出した最高品質の鋳物ホーロー鍋」として、お客様に愛される製品となりました。

まとめ

下請け脱却そして高付加価値製品のリリース、そしてビジネスモデルの転換といった大業を土方兄弟は成し遂げました。背景には、創業者の祖父・先代の父のものづくりに対する姿勢、それに加えて兄弟のキャリアが生かされたように思えます。二つの流れを上手に掴んで利用した新しいものづくりのあり方、今後も注目して行きたいところですね。

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